花模様で彩られたカメラレンズが話題!花を咲かせた自然現象「バルサム切れ」とは?
カメラ好きの四葉三丁目(@4x3ch)さんがTwitter(X)に投稿した、美しくも不思議的なカメラレンズの画像が話題を呼んでいる。
ジャンクレンズ買ったけどお花が咲いてる https://t.co/8kdQIryUpv
— 四葉三丁目 (@4x3ch) 2023年8月8日
「ジャンクレンズ買ったけどお花が咲いてる」
コメントとともに投稿された画像は、花のような模様を表面にいっぱい着けたカメラレンズ。確かにレンズに花が咲いているようで、なんとも美しい。
このレンズは「ズミルックス50mm f/1.4 1st 後期※」のジャンク品であり、四葉三丁目さんがフリマサイトで購入したものだという。
※カメラメーカーのライカが売り出すカメラ
実はこのきれいで奇妙な花模様はもともとの仕様ではなく、カメラレンズ特有の「バルサム切れ」という現象によるものらしい。
@kiba_pic 自然にですよ!受け売りですがバルサム切れななのですが、長い時間完全に融解してなかったバルサム結晶が成長したという話だそうです。
— 四葉三丁目 (@4x3ch) 2023年8月8日
「バルサム切れ」とは、カメラのレンズ同士を貼り合わせる「バルサム」という特殊な接着剤が劣化し、剥がれてしまう現象だそう。本来、レンズのくもりやぼやけなど厄介な症状を引き起こす存在だが、偶然にもきれいな花模様がレンズに浮かび上がったようだ。
拡大版 https://t.co/dsPsdHlBTM
— 四葉三丁目 (@4x3ch) 2023年8月8日
花模様のカメラレンズを見たTwitter(X)ユーザーからは「めちゃかわいい」「これで撮ってみたい」といった声が寄せられている。中には「手持ちのカメラで起こったら気絶する」など、「バルサム切れ」がカメラ好きにとってゾッとする現象だと物語るコメントもあった。
ちなみに問題のレンズは、四葉三丁目さんの手で修復済みだ。いまでは花模様のない、きれいなレンズになっている。
お花消しました。めでたしめでたし。 https://t.co/PfpgotPNEJ
— 四葉三丁目 (@4x3ch) 2023年8月10日
今回は四葉三丁目さんからお話を伺い、花模様のレンズと出会った流れや感想について聞いてみた。
ここまですごい「バルサム切れ」は見たことない
こちらのレンズを購入した決め手は?
購入を決めた理由は3つあります。
1つ目は、ひどいジャンク品で直し甲斐があると思ったからです。ですが、レンズにここまで花模様が着くほどひどい状態なのはさすがに想定外でした。
2つ目は、ズミルックスの「バルサム切れ」を直すという経験です。ズミルックスはすごく好きなレンズでして、以前から収集していました。そのなかにも「バルサム切れ」を起こしていたレンズがあり、自分で直したことがあるんです。今回の型は持ってなかったので、どんなものか興味がありました。
3つ目は、職場の先輩が同じ「1stの後期」を持っていたことです。撮影された写真が素晴らしく、鏡筒の作りも良くて前から欲しいと思っていました。
美しい模様のレンズをご覧になった感想は?
「ここまですごいバルサム切れは見たことがない」に尽きます。以前持っていた「バルサム切れ」したレンズも花みたいな模様になっていました。ですが、ここまで全面に模様が出るのは今回が初めてです。
「自分のレンズがこんな状態になったらゾッとするよな…」とも思いました。反応された方の中に「防湿庫※確認した!」というポスト(投稿)があり、自分も「わかる!」と共感したくらいです。
※多湿、カビ、ホコリなどに強くカメラや精密機器の保存に適した保管庫
模様がついたままのレンズで撮影は試されましたか?
修復前に撮ってみたところ、意外にも普通に写ってました。ただ、逆光やぼけがすごく汚い感じになっていました。光の筋に変な模様が乗る感じです。
修理後はこってりした写りになりました。
本来は厄介な「バルサム切れ」だが、見方を変えるだけでカメラレンズそのものが“映える”被写体になるとは。ジャンクレンズの奥深さを垣間見るようなエピソードだった。