『ゴーストの条件』対談(村上裕一・坂上秋成)「週刊読書人」10月14日号

東浩紀氏主宰の「ゼロアカ道場」出身の村上裕一氏初の著書『ゴーストの条件』(講談社)をめぐって行なわれた対談から発言をピックアップ。
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明石健五 @kengoa1965

村上裕一・坂上秋成対談(『ゴーストの条件』を機に。「週刊読書人」10月14日号間もなく校了)。発言PUします。「『ゴーストの条件』は、そういったゼロ年代的な知見を含めつつ、哲学を使ってもう一回作品に迫ろうとしている。これはすごく有意義なことであるし、強みだと思いました」(坂上氏)

2011-10-11 10:47:51
明石健五 @kengoa1965

「一口にゼロ年代と言っても、前半と後半ではパラダイムが全然違います。前半はニューアカの雰囲気を僅かに残した東(浩紀)さんの時代で、後半は宇野(常寛)さんの時代だった。僕が引き継いでいるのは前半の東さんの流れです」(「読書人」10月14日号、村上裕一発言から)

2011-10-11 10:48:55
明石健五 @kengoa1965

「アーキテクチャ派はニコニコ動画やSNSなどが登場した際にそれがどういった仕組みで動き作用するのかに着目した・・・それと人間の欲望の動きに迫ることとは別の話だと思うんです。後者は、作品を詳細に分析することに近づいていくはずで、『ゴーストの条件』はまさにそこを重視」(坂上秋成発言)

2011-10-11 10:51:14
明石健五 @kengoa1965

「ゼロ年代の文化を規定してきたのはキャラクターであり、キャラクター文化が強いのは消費者がその市場に介入できるからですね。・・・・・・そうしたキャラクターの機能について考える上で、固有名の問題が重要になるというのが『ゴーストの条件』の主張です」(「読書人」10月14日号、坂上発言)

2011-10-11 10:52:58
明石健五 @kengoa1965

「村上君は、キャラクターやゴーストを支えるものが固有名であり、同時にその訂正可能性であるということを強調している。」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 10:53:55
明石健五 @kengoa1965

「データベースにデータが蓄積されていって、そこで全体の印象が生じる。印象はデータベースの中のデータの蓄積によって流動的に生じる。この印象は神秘的でどこにも還元できない。この寄る辺ない存在の指示をさしあたり「固有名」としています」(「読書人」10月14日号、村上裕一発言より)

2011-10-11 10:54:52
明石健五 @kengoa1965

「固有名を支えるものが二つあって、ダイナミズム(物語性)とメタボリズム(メタゲーム、ブランディング)であると村上君は言っている。具体的にはそれが「モーニング娘。」とAKBの差に繋がるわけですよね」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 10:55:40
明石健五 @kengoa1965

「「やる夫」というゴーストになると、その存在は匿名的かつ不特定多数の人による集合的無意識によって支えられているわけですね。秋元康が死んだらAKB48が終わる可能性はある。しかしネット民が二、三人いなくなっても、やる夫は滅びないでしょう」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言)

2011-10-11 10:56:38
明石健五 @kengoa1965

「ネット上で拡散しているデータベースから情報を吸い上げて、ひとつの場所にまとめるのがゴーストの機能であり、だからこそゴーストはデータベースをキャラクター化したものだというのが村上君の分析ですね」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 10:58:09
明石健五 @kengoa1965

「データベースは自然発生的なものではありませんが、自然発生的なのにデータベース的に成立してしまうというのがゴーストだということです」(「読書人」10月14日号、村上裕一発言より)

2011-10-11 10:58:44
明石健五 @kengoa1965

「集合的無意識が中くらいに再編されることによって共同体ができるという方がより正確かもしれませんね。それで、匿名の情報が中間共同体として成立する時に使われる「顔」が、やる夫だということです」(「読書人」10月14日号、村上裕一発言より)

2011-10-11 10:57:26
明石健五 @kengoa1965

「重要なのは、ゴーストにはオリジナルがないということですよね。キャラクターは設定と物語を背負っているけれど、ゴーストにはそれがない。この場合のゴーストは、やる夫と初音ミクをイメージしての話です。」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 10:59:35
明石健五 @kengoa1965

「キャラクターとゴーストの差って、綾波レイとやる夫で考えてみるとわかりやすいと思うんですよ」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 11:00:18
明石健五 @kengoa1965

「本当はやる夫にも役割があったんですよ。嫌がらせ、荒らしの為の道具です。実際、挑発的なやつですからね(笑)。けれど、彼は作品たちが描かれる中で成長していった」(「読書人」10月14日号、村上裕一発言より)

2011-10-11 11:01:59
明石健五 @kengoa1965

「キャラクターは設定と物語を背負っていて、そこから脱出する可能性、キャラ立ちの可能性として二次創作があった。でもゴーストの場合、設定も物語もない。もともとは初音ミクだって、ただ緑色の髪をした女の子の図像だけが付加された音声合成ソフト」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 11:01:17
明石健五 @kengoa1965

「ポリフォニーは拙著に通底するテーマのひとつですが、やる夫の出自にはかなりカーニバル的な面がある」(「読書人」10月14日号、村上裕一発言より)

2011-10-11 11:02:30
明石健五 @kengoa1965

「ゴーストの強みとして他ジャンルへの寄生力があると思うんですね。ゴーストはメタジャンルであり、無属性な存在ですよね。だからどこにでも存在するし、色々なものに寄生していく。やる夫も何にでも取り付きますね」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 11:03:13
明石健五 @kengoa1965

「読者の反応を見ていると、今一つゴーストと水子の関係が理解されていないように感じました。端的に言えば水子というのはゴーストの暗黒面・裏側ですよね」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 11:04:11
明石健五 @kengoa1965

「ゴーストを考えることは、同時に可能世界的な想像力、生まれなかったいくつものバージョンについて考えることであり、それが暗黒面としての水子を救済する意識に繋がっていくのだと思います」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 11:04:45
明石健五 @kengoa1965

「これからはやる夫スレの作者や初音ミクのプロデューサーみたいな人が増えていくことによって、可能世界的な問題設定を考えることが感覚的なレベルで人々に認知されるようになるんじゃないかと思います」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 11:05:36
明石健五 @kengoa1965

「様々な可能性を背負いつつも、既に選んでしまっていたこの生を肯定すること。そこに倫理があると思います。それは小林秀雄の時代から変わっていない」(「読書人」10月14日号、村上裕一発言より)

2011-10-11 11:06:11
明石健五 @kengoa1965

「『魔法少女まどか☆マギカ』脚本の虚淵玄さんも、失ったものがあるからこそ、幸せの価値がわかり、それを受けとめて生きていくのが人生だと言っていたはずです」(「読書人」10月14日号、村上裕一発言より)

2011-10-11 11:06:50
明石健五 @kengoa1965

「「実現しなかったけどあり得た世界」についてどう考えるかということはひとつ文学全体において重要なテーマになると思います」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 11:07:49
明石健五 @kengoa1965

「何も意図していない人たちによって生みだされる、アーキテクチャ上の声が存在するということも事実として受け止めていくべきだとは思いますね」(「読書人」10月14日号、坂上秋成発言より)

2011-10-11 11:08:50