「一般意志2.0」の瀧岡優氏の解説

ウェブ学会の東浩紀氏の「一般意志2.0」の説明。 http://www.youtube.com/watch?v=xclVT312rEQ#t=0m20s 関連: 一般バグ2.0 http://tinyurl.com/bqgyqvp 続きを読む
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瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

氏自身は著作の中で、全体意思と一般意思は前者が欲望の方向性を考慮しない、「みんなの意思」であり、後者を欲望の方向性を加味した特殊意思の集合体と定義しており、前者が単なる個人の欲望の総和であり、後者はその特殊意思をデータとして収集・可視化した後のデータ化された意志と区別している。

2011-12-26 21:08:57
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

つまり、それが氏の中では前者は主体が主観的に意図した個人的欲望の集合体を単純に加算したものとしてとらえており、後者は、データとして統計処理などすることにより、その個人的欲望が本人が意図しなかった(意識的にいとできなかった)欲望の傾向を掘り起こすことを前提にしている。

2011-12-26 21:11:45
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

具体的な例を挙げれば、Simson's Paradoxや合成の誤謬としてあらわされるような、主体の個人的意図と、個人的意図が最終的に示す全体として持つことがありえる意図の集合双方をくみ上げることの重要性を説いているように思える。

2011-12-26 21:14:35
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

そして。彼の定義では従来型の政府というのは、その統計処理されていない、個別の欲望の全体を単純に「民意」とみなしてくみ上げることしかできていなくて、その欲望を統計処理した結果生まれてくる、しばしばそれと矛盾するかもしれないある特定の方向性を備えた一般意思を可視化、考慮することで、

2011-12-26 21:22:39
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

その従来の単純な個人の欲望の総和というものが捕らえられなかった、ゲシュタルトとしての一般意思を顕在化させ、従来型の一般意思を批判するためのたたき台にできる可能性=夢を述べていると読むことができる。

2011-12-26 21:24:20
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

つまり、従来型の最大公約数的な「民意」に対して、それが全体としてどのような方向性を備えているのかを、顕在化させ公開し、すべての人がそれに対してアクセスできるようにすることで、ポピュリズムに対しての批判とすることを目指している。そして、そのような分析を行うことで、

2011-12-26 21:26:36
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

個別利益の追求による弊害、つまり単純に最大多数の最大幸福を目指す政治の実現が引き起こす(つまり合成の誤謬としてのファシズムの可能性)に対して、ラデイカルな批判をすることができるシステムとしてデータベースを利用できるのではないか?と氏は考えているのだと思う。

2011-12-26 21:29:03
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

そして、氏がこの総和としての全体意思とゲシュタルトとしての一般意思に対して、個人が認識的な不協和に陥るというアイデンテイテイの危機を引き起こすような経験に対して、ローテイの定義するアイロニーという概念によって、相対主義的忍耐により超克することができる可能性を夢として議論している。

2011-12-26 21:32:15
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

つまり、個人の欲望とゲシュタルトとしての欲望の際を認識しつつもどちらに対しても、どちらかの真理を信じつつもどちらも偶然に過ぎないという態度で臨むことにより、硬直した個人の欲望とゲシュタルトとしての間の差異の流動性を高めることが期待されているのではないか?と思う。

2011-12-26 21:34:35
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

ただし、問題は、氏のこの夢を実現するためには、その統計処理やデータベースを所有する主体がそれを独占できないような仕組みを作れないと、今度はゲシュタルト的「民意」によるポピュリズム、あるいは全体主義を防ぐことはできない。

2011-12-26 21:38:35
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

そもそも、その対策として氏が考えるようにそのような統計処理をすべての人が理解して行うことができるほどのリテラシーを実につけさせる必要があるし、すべてのデータが万人に公開されないといけないことになるので、例えばウィキリークスやハッカーの存在をまず正当化する必要がある。

2011-12-26 21:40:04
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

さて、そのリテラシーを身に着けるためにどうするかというと、氏はBIを導入して、それだけの勉強をさせるための時間と知識を身につけさせればよい、と主張しているが、そのBI実現のための具体策は示されていない。これらの点が彼自身の主張を脆弱なものにしていると思う。

2011-12-26 21:42:17
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

また、仮にそのデータが客観的にゲシュタルト的民意を反映したとして、その意味を決定するためには氏が否定しているハーバマス・アーレント的な公共性の概念を復活させる必要があるとうことに気がついていないか無頓着なように思える。

2011-12-26 21:44:33
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

同意です。RT  @uncorrelated (1)ある関数f: インターネットの情報 → 一般意思 が定義可能で、(2)個々の人間が一般意思を受け入れる事ができ、(3)一般意思が現行政治の意思決定システムより優れている事が示すことができ無いと、そこまで辿り着かないですよ。

2011-12-26 21:45:43
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

そして、では仮にそのゲシュタルト的民意が全体意思よりも優れていることは何によって保障されるのだろうか?これは当然出てくる疑問だ、しかし、東の中では、その優先順位をつけることは”アイロニー”により巧妙に回避している。(笑)しかし、現実の政治ではこの決定は避けることができない。

2011-12-26 21:50:11
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

なぜなら、仮にゲシュタルト的民意がどれほど全体意思よりも優れているかを示せなければ、それを考慮するための理由は「連帯」あるいは「想像力」に頼るしかないからだ、実際に氏はこれらの概念にそれを託している。私はここに合理的討議の可能性が残されていると思う。「想像力」「連帯」だけでは無理

2011-12-26 21:52:51
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

氏が軽視したという理由は、彼自身がルソーの夢と考えているような、自立的に発生するゲシュタルトとしての一般意思が今の技術だけで正当化可能と考えていると思われる点から。しかし、実際は無から有は生まれないので、この場合でもコミュニケーション、合理的討議というのを避けることはできない。

2011-12-26 22:11:38
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

一言補足すれば、東氏のルソー読解は、氏も認識しているようにかなりの「拡大解釈」であるのは事実だ。しかし、それ自体を批判するのは的外れといえる。東氏があえてこの蛮勇(彼自身の言葉)を振り絞る理由は、その”政治的読み替え”により、よりリベラルな社会の到来を正当化することに他ならない。

2011-12-26 22:00:23
瀧岡 優 (Yu Takioka) @ytakioka

そして。彼の定義では従来型の政府というのは、その統計処理されていない、個別の欲望の全体を単純に「民意」とみなしてくみ上げることしかできていなくて、その欲望を統計処理した結果生まれてくる、しばしばそれと矛盾するかもしれないある特定の方向性を備えた一般意思を可視化、考慮することで、

2011-12-26 21:22:39