H. Hosakaさんによるコホモロジー解説

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@knottyknot

僕コホモロジーもなんも知らないです……

2011-12-31 02:40:50
H. Hosaka @H_H

@knottyknot 例えばベクトル場について div rot をやると0になりますよね。だからdiv=0になるベクトル場のrotで表されるベクトル場によるmodを考えることができます。こんなのがコホモロジーです。

2011-12-31 02:47:18
@knottyknot

@H_H X={V|divV=0}として、Xの元V, Wに対して同値関係をV~W⇔∃A V-W=rotAで入れて、それで割るってことですか?

2011-12-31 03:01:47
H. Hosaka @H_H

@knottyknot まさにその通り。{0}->函数-(grad)->ベクトル場-(rot)->ベクトル場-(div)->函数->{0} という系列はどの2本を合成しても0だから、Ker/Imを3箇所で考えられます。これらを0次~3次のde Rhamコホモロジーと言います。

2011-12-31 03:05:03
H. Hosaka @H_H

@knottyknot で、今はベクトル場の言葉を使って書きましたが、普通は微分形式を使って書くことが多いです。微分形式にしておけば、一般のn次元多様体に拡張できます。

2011-12-31 03:06:46
@knottyknot

@H_H 群として函数、Ker(rot)/Im(grad)、Ker(div)/Im(rot)、{0}を考えるんですか?

2011-12-31 03:37:19
H. Hosaka @H_H

@knottyknot Ker(grad), Ker(rot)/Im(grad), Ker(div)/Im(rot), {函数}/Im(div) を考えます。線型空間にもなってますね。1次元でやればただの微分dが出るだけです。R^1だったら簡単にコホモロジーが計算できますよ。

2011-12-31 03:47:07
@knottyknot

@H_H φ:{函数}→{0}はφ(f)=0でKer(φ)={函数}ですね。なるほど。R^1では{0}-φ->{f}-d->{f}-χ->{0}という系列を考えて、とりあえず0次のコホモロジーはKer(d)/Im(φ)=Ker(d)/{0}Ker(d)同型RでRになるんですか?

2011-12-31 04:00:13
H. Hosaka @H_H

@knottyknot そうそう。言うのを忘れてたけど、函数とかは全部滑らかだと仮定してます。同様にしてR^1の1次コホモロジーもちょっと考えれば分かると思います。コホモロジーは位相的性質を反映していて、例えば(0,1)∪(2,3)の0次を計算すると、その意味が分かります。

2011-12-31 04:04:10
@knottyknot

@H_H 1次のコホモロジーは{f}ですか。(0,1)∪(2,3)だとどう変わるんですか?

2011-12-31 04:15:55
H. Hosaka @H_H

@knottyknot 1次のコホモロジーは函数全体のなすベクトル空間をdの像で割ったものですよ。もう一度落ち着いて計算しましょう。(0,1)∪(2,3)で上で微分が0になる函数の例を考えると、Rの時とは様子が変わるはずですが…

2011-12-31 04:18:38
@knottyknot

@H_H あ、1次のコホモロジーはf-g=h'となるhが全てのf,gに対して存在するので、{0}になりますか。X=(0,1)∪(2,3)では{f}として{f:X→X}を取って、0次のコホモロジーが{f; f((0,1))={a}, f((2,3))={b}}になるんですか?

2011-12-31 04:26:19
H. Hosaka @H_H

@knottyknot そうそう。不定積分が作れるからH^1=0です。もっと一般に、区間n個のdisjoint unionのH^0はR^nになりますね。つまりH^0は連結成分の個数を測ってるわけです。

2011-12-31 04:29:15
@knottyknot

@H_H なるほどなるほど。ホモロジーって奴が「部屋の数を計るもの」だって聞いたことあるんですけど、コホモロジーとはどういう関係なんですか?

2011-12-31 04:31:57
H. Hosaka @H_H

@knottyknot 一言で言うと双対です。積分路の形式的な足し算を特異チェインといいます。例えば平面内の曲線は1チェイン、三角形は2チェイン。チェインたちに対しては「境界を取る」という操作が定義でき、境界を取る操作は2回繰り返すと0だから、やはりKer/Imが考えられます。

2011-12-31 04:37:35
H. Hosaka @H_H

@knottyknot それで一般にn次微分形式と特異nチェインが与えられると、チェインに沿って微分形式を積分することが出来ます。例えばn=1なら、ベクトル場の線積分です。こうしてn次微分形式とnチェインに対して積分で数を対応させる写像が出来ますが、

2011-12-31 04:40:28
H. Hosaka @H_H

@knottyknot Stokesの定理は境界で表されるチェイン∂cに沿う微分形式ωの積分がcに沿うdωの積分と等しいことを保証します。積分は微分形式とチェインのペアで定まる値でしたが、Stokesの定理から、実はコホモロジー類とホモロジー類(Ker/Im)にしか依存しません。

2011-12-31 04:42:11
@knottyknot

@H_H 「Stokesの定理から」の後がよくわからないのですが、ベクトル解析でStokesの定理を使って境界の等しい計算しやすい別の面を取って計算できるのと同じようなことですか?

2011-12-31 04:52:38
H. Hosaka @H_H

@knottyknot 計算できるというか、上手い場合に0になるってことですね。例えばgradで表されるベクトル場を閉曲線に沿って1周したら0になりますよね。だからベクトル場の閉曲線に沿った積分の値を考えるにあたっては、gradで表されるベクトル場でmodして考えれば良いのです。

2011-12-31 04:58:57
@knottyknot

@H_H ああーなるほど。イメージや具体例がわかって、教科書が読みやすくなりそうです。ありがとうございました。

2011-12-31 05:01:11
H. Hosaka @H_H

@knottyknot この辺の話は森田『微分形式の幾何学』とか見ると分かりやすく書いてありますよ。ぜひぜひ頑張ってください。

2011-12-31 05:16:10
@knottyknot

@H_H その本少し読んだんですけど、確認するけど当然知ってるよね、みたいな雰囲気で書いてあることを全然知らなくて挫折しました。いまもうちょっと易しそうな本に手を出してます。

2011-12-31 05:21:59
H. Hosaka @H_H

@knottyknot ははは ^^; まあR^nの場合が一番分かりやすいので、簡単なR^3とかS^1でいじってみることをお勧めします。

2011-12-31 05:25:05