竹達彩奈『Sinfonia! Sinfonia!!!』はいかにしてアイドルソングとして成立しているのか?

竹達彩奈のデビューシングル『Sinfonia! Sinfonia!!!』(作詞・作曲:沖井礼二、 編曲:New Old Stock) が、いかにして「純粋性や無邪気さ」を失わずにアイドルソングとして成立しているか、その構造について考えたこと。
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ホウラク @keihouraku

これから、本日4/11に発売になった沖井礼二作詞作曲の竹達彩奈のデビューシングル『Sinfonia! Sinfonia!!!』(http://t.co/f7t1AJ71)についての雑感を連投します。

2012-04-11 20:46:11
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ホウラク @keihouraku

他の参考動画として沖井氏が手がけたTwinklestars「Dear Mr.Socrates」http://t.co/Octy75Ze、「プリーズ!プリーズ!プリーズ!」 http://t.co/n2vbDojj もあるので、余裕がある人は見ておいてください。では、はじめます。

2012-04-11 20:46:37
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ホウラク @keihouraku

1)沖井礼二作詞作曲。竹達彩奈『Sinfonia! Sinfonia!!!』。基本として勢いづいて止まらない女の子っていうモチーフが、沖井礼二が手がけたTwinklestarsの楽曲と共通してある。ただ、この歌は聞けばわかるように歌い手の立ち位置がものすごくわかりづらい

2012-04-11 20:46:48
ホウラク @keihouraku

2) Twinklestarsでは女の子は天使のように、無邪気でエネルギーに溢れ、純粋性にあふれていた。女の子たちは自身で自身のことを歌っていた。だが竹達にはそれは不可能だ。それはわかりやすく言えば年齢であり、Twinklestarsと同じような立ち位置で同じことを歌っても、

2012-04-11 20:47:08
ホウラク @keihouraku

3)説得力が持てないからだ。歌のモチーフの女の子の存在が担保できない。だからこの歌は、その女の子の純粋性や尊さに近いエネルギーを説得力を持って形にするために、歌い手の立ち位置が複雑になっている。

2012-04-11 20:47:16
ホウラク @keihouraku

4)最初に答えを言ってしまえば、この歌は「歌の語り手である男の子を、その男の子にとっての「いたずら好きな君」である女の子が演じていて(声を当てていて)、その女の子の声を竹達彩奈を演じている」という構造を持っている。そうしないと、この世界観は成立しなかったのだ。それはなぜか?

2012-04-11 20:47:28
ホウラク @keihouraku

5)Twinklestarsと同じようにその女の子自身に竹達が既になることができないというのがまず前提としてある。そして、歌を聞いてわかるように、この竹達の声質では主人公の男の子という存在に全く説得力が持てない。男の子は語り口からその存在を示すのみである。

2012-04-11 20:48:09
ホウラク @keihouraku

6)男の子の語り口からノイズのように女の子自身が我を主張してきて、モチーフである女の子が喋っている気分になる。わかりやすく言うと「男の子がノートに書いた女の子についての文章を、女の子が盗み見て勝手に読んでいる」という感じ。

2012-04-11 20:49:22
ホウラク @keihouraku

7)「そんな複雑にせずに、単純に竹達が女の子を演じているという設定で歌えばいいじゃん?」という意見もあるかもしれないが、これは「歌」なのだ。アニメじゃない。アニメのキャラクターが歌う歌ではなく、竹達彩奈が歌う歌なのだ。もしそういう設定で歌ったら、竹達が演じて歌っているつもりでも、

2012-04-11 20:50:48
ホウラク @keihouraku

8)聞き手である僕達はどうしても、「女の子≒竹達彩奈」という風に読んでしまうのだ。聞き手が共有する架空キャラクターの存在がない状態で、大人である竹達彩奈がある種のアイドル性である「純粋性、無邪気であることの尊さ」を獲得するためには、どうしてもこの構造が必要だったのだ。

2012-04-11 20:51:49
ホウラク @keihouraku

9)この歌の中でも竹達彩奈は「声優」でなのだ。大人であっても声優という存在だからこそ担保できる「純粋性、無邪気であることの尊さ」という現実を、この歌の中に沖井礼二は持ち込んだのだ。

2012-04-11 20:52:16
ホウラク @keihouraku

10)だからこそこの歌はただの大人視点の語り手にも陥らず、だからといって子供を演じて嘘をつくことにも陥らずに、もの凄く嘘のないところで竹達彩奈を「アイドル」にすることを可能にしている。

2012-04-11 20:52:47
ホウラク @keihouraku

11)(声優の楽曲は聞かないので分からないが、)現実に声優という職業である立場の人がキャラクターソングという隠れ蓑を使わずに、「声優という仕組み」を歌に持ち込むことによって、本来ならば幼い女の子が歌うことでしか表現できないものを、嘘を持ち込まずに表現した歌は他にあっただろうか。

2012-04-11 20:53:27
ホウラク @keihouraku

12)竹達彩奈『Sinfonia! Sinfonia!!!』は「声優ソング」であり、「声優」ソングであり、アイドルソングである。そうすることによって、普通では説得力を持てない表現不可能尊い世界観を表現可能にしている。竹達の声質の説得力があるのは前提だが、これは一種の発明だと思う。

2012-04-11 20:54:05
ホウラク @keihouraku

13)現時点では何度も通用する発明かどうかは分からないが、こういう世界観を無理なく可能にした上に、楽曲としてもいいなと思えるものであることは変わりない。竹達彩奈に興味がない人でも、すくなからず「アイドルソング」というものに興味がある人は聴くべきだと思う。

2012-04-11 20:57:28
ホウラク @keihouraku

以上、竹達彩奈『Sinfonia! Sinfonia!!!』の雑感兼レビューでした。

2012-04-11 20:58:07