作家・佐藤亜紀の明治大学講義 2010年第2回講義メモのまとめ
佐藤亜紀講義メモ1:最初「母の発達」を読んだ時、この人には絶対に喧嘩売るまいと思った。だって、呪殺されてしまうかも(笑)でも、読み返してみて、呪殺は無いなと。なぜなら、何処までも白い。ここで行われている言葉の魔術はホワイト・マジック(白魔術)。
2010-06-12 20:00:20メモ2:地(血)縁を完全に断ち切ってから行われる「母」の解体。しかしこれは、娘が一方的に解体するのでは無しに、母自身も共に「母」を解体する。
2010-06-12 20:03:29メモ4:言葉(呪文)によって世界を書き換える、そういうことがあるとするならば、それを魔術性と呼ぶならば、笙野頼子の言葉には確実に魔術性がある。
2010-06-12 20:11:09メモ5:笙野頼子の凄いところは、特殊な出来事(9.11やナポレオン戦争)からでは無しに、自分自身からこういった表現を取り出してきたところであり、その点には敬意をいだかざるを得ない。
2010-06-12 20:13:27メモ6:「水晶内制度」でブルーのパンプスを履いている女(=イザナミ)は「お母さん」ではないか?(「水晶内制度」未読の為よくわかりませぬ・・・)
2010-06-12 20:25:38メモ7:「母の大回転音頭」にでてくる自称ジャズ・シンガー(シンディ・ウエハラ)は後の作品につながっていくテーマ。(これも後の作品を読んでないのでわかりませぬ・・・)
2010-06-12 20:30:38先週土曜日に、笙野頼子『母の発達』を扱った佐藤亜紀さんの講義を聴いて来ました。遅くなったけど、ちょっと書こうと思います。まず『母の発達』部分を中心にすごくおおざっぱに短縮した内容を書きますが、詳しくはsorekara346さんが書かれていますし、ブログに上げてる方もいそうです。
2010-06-16 00:07:30現実に起きた事件や世界は、「語り」の網に包まれていて、私達が見ることができるのは網の部分だけだ。「中のもの」が、いままで考えられていたのと違うんじゃないかと疑われ始めたとき、表面の「語り」の網も否応なく刷新されることになる。
2010-06-16 00:10:41ゴヤは戦争によってそれまでの世界観を崩され、新しい表現を始めた。笙野頼子は事件を体験したのでなく、自分というところから取り出してきた。今まで語られてきた世界と彼女が見ている世界は全然違ったのだ。
2010-06-16 00:14:11オカルティストのアレイスター・クロウリーは「きれいはきたない、きたないはきれい」というマクベスの魔女の台詞は実際に作動する魔術だと言った。マジに効く魔術があるのだとするならば、それをもっと強烈にしたものが私にとっては『母の発達』だ。
2010-06-16 00:19:49ある言葉を発することによって世界の問題になんらかの影響を与えることができるという、言葉の魔術性を信じさせてくれる。ここに描かれているのと同じ問題を持った人がこれを読んだら、おそらく実際に効果を発揮するだろう。
2010-06-16 00:22:48今この場で世界が変わる、そういうテキストだ。読み終わったとき、とてつもない浄化の感覚があった。それまでも『レストレス・ドリーム』など試みはあったが、その時点では魔術性までは到達していなかった。
2010-06-16 00:25:02言葉の魔術性の話、要約したら意味が違ってくるようなところがあるので、正確に理解したい方は『現代思想』2007年3月号の『笙野頼子ーーネオリベラリズムを越える想像力』に収録されている『魔術的な言葉、言語の魔術』という佐藤亜紀さんの文章を参考にしてください。
2010-06-16 00:29:30