茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【美術作品の命とは何だろう?】連続ツイート

2013.1/30 茂木健一郎氏:連続ツイート第851回 【ルーブルの中で、作品の個性に覚醒した】 …そこで、私はつくづく考えた。美術作品の命とは何だろう? それは、まずは個性(individuality)ではないか。美しいとか、透明感があるとか、図像的に深いとか、そんなことは二の次。わかりにくても、人気がなくても、そこに代えがたい個性があれば、作品として成立している…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第851回をお送りします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日に続き、覚醒系、美術系ツイート。

2013-01-30 13:47:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

るさ(1)ルーブル美術館をとりあげる番組の取材で、パリに来ている。昨日は午前6時30分に美術館通用口に集合。田辺ディレクターによると、「午前7時から9時が山場!」ということで、緊張感が漂う中、休館日のルーブルで撮影をしていった。モナリザとカナの婚礼の部屋で、第一の山場終了!

2013-01-30 13:50:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

るさ(2)その後も、撮影は、昼食を挟んで午後5時30分まで、連続11時間続いた。きびしい現場だったが、撮影の合間あいまに、ルーブルの至宝とでも言うべき作品をじっくりと見る機会があった。その時にこみ上げてきた感慨ようなものを、今日は記してみたい。

2013-01-30 13:51:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

るさ(3)昨日の連続ツイートでも記したが、実は、私は、ルーブルの「メインストリーム」のような作品群が、よくわかっていなかった。オルセーのやつはみな好きなのに、ルーブルはわからなかった。ところが、前日のロケハンで、「人間」が見えてきたときに、ものの見方が変わってきた。

2013-01-30 13:53:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

るさ(4)さらに、昨日は、はっきりと見えたものがあって、その瞬間、本当に息を呑んだ。それは、ルーブル美術館に所蔵されている作品は、どれもが、紛うことなき「個性」(individuality)を持っているということ。そのことに気づいた時に、私は感動して、心が打ち震えた。

2013-01-30 13:54:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

るさ(5)ルーブル所蔵作品の中には、フェルメールの『レースを編む女』と『天文学者』、『モナ・リザ』、『ミロのビーナス』などの、人口に膾炙した絶品があって、確かに、これらの作品はいくら見ても飽きることがなく、妙なる調和と美がある。まさに人類の至宝と言ってよいだろう。

2013-01-30 13:55:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

るさ(6)では、ルーブルのそれほど有名ではない他の作品が価値がないのかと言うと、それぞれが、他の作品にはない、「個性」(individuality)を持っている。それは構図であり、書き込みであり、題材であり、質感である。「個性」が際立っていないと、ルーブルには入らないとも言える。

2013-01-30 13:56:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

るさ(7)そこで、私はつくづく考えた。美術作品の命とは何だろう? それは、まずは個性(individuality)ではないか。美しいとか、透明感があるとか、図像的に深いとか、そんなことは二の次。わかりにくても、人気がなくても、そこに代えがたい個性があれば、作品として成立している。

2013-01-30 13:58:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

るさ(8)個性(individuality)が命だということは、人間を見ればわかる。人間は、すべて美しかったり、賢かったり、人気があったりするわけではない。でも、一人ひとりは、紛れもない個性を持っている。美や人気といった「市場価値」よりも、個性の方が、かけがえのないものだ。

2013-01-30 13:59:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

るさ(9)美術と人間って、同じなんだなあ。一番大切なことは、美とか人気ではなくて、他の何にも代えがたい個性なんだなあ。そんなことを、私は、ルーブルの中を厳しいスケジュールで移動し、撮影を続けながら思った。そして、そんな風に考えれば、これからも生きていけると思った。

2013-01-30 14:00:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第851回「ルーブルの中で、作品の個性に覚醒した」でした。

2013-01-30 14:01:16