「提督が笑顔を見せなくなったのは、着任時の秘書官であった駆逐艦電が轟沈してからだという。」 #艦これ

電ちゃんかわいい
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アオタイ @aoitile

提督が笑顔を見せなくなったのは、着任時の秘書官であった駆逐艦電が轟沈してからだという。 延々と続くこの戦いに誰もが勝利の栄光を想像することができなくなって久しい今、古参の艦娘たちはしばしば目を細めて鎮守府の黄金時代を語るようになった。

2013-06-25 20:20:47
アオタイ @aoitile

駆逐艦島風の俊足。天龍姉妹の奮戦。戦艦長門の無双。華の一航。敵艦隊の撃滅。補給路の切断。 英雄譚じみた――いや、じじつ英雄譚なのだろうが、先輩の語るいささか脚色の過ぎた逸話の数々に、無垢な駆逐艦たちは目を輝かせて聞き入る。

2013-06-25 20:21:35
アオタイ @aoitile

そして、輝かしい物語の終わりは必ずこうして締めくくられるのだ。 「電が死んでから全てがおかしくなった」

2013-06-25 20:21:53
アオタイ @aoitile

彼女が轟沈した際の作戦に参加していた艦娘たちは、時折彼女の死に際について痛ましげに語る。 轟沈の瞬間、まだ幼さの残る声で発せられた最期の言葉は、無論彼女の人生を肯定的に総括したものではなく、また提督への恨み言でも、敵への憎悪でもなかったという。

2013-06-25 20:22:41
アオタイ @aoitile

「次に生まれてくるときは...平和な世界だといいな...」 そんな、彼女のあまりにも安直で、それがゆえに切実な死に際の言葉は提督の心を深く抉り、そして彼の心から何かを失わせた。

2013-06-25 20:24:25
アオタイ @aoitile

彼女が書いた稚拙な掛け軸は今でも鎮守府に飾られている。彼女の特徴的な語尾をあどけない筆遣いであらわしたそれは、彼女が存命であったならさぞかし微笑みを誘ったことだろう。

2013-06-25 20:24:54
アオタイ @aoitile

だが、当人が戦死した今となってはその作品が何よりも鎮守府に喪失の暗い影を落としている。それだけに留まらず、年端もいかない少女が戦争に投入されているというおぞましい構造の象徴と化してしまっている。

2013-06-25 20:25:06
アオタイ @aoitile

それでも提督はその掛け軸を決しておろそうとはしない。 水平線の彼方で砲声が鳴るのを遠くに、今日もその掛け軸は開け放たれたままの窓から吹き込む潮風に揺れていた。

2013-06-25 20:26:49
アオタイ @aoitile

というとこまで考えたのだけど、なんというかぶち込もうと思ってたネタと繋げられないんでとりあえず放流してみました

2013-06-25 20:27:58
アオタイ @aoitile

「空母ヲ級が艦隊を虐殺して提督に接近。『ぽっかり空いたお腹に入り込んでくる海の水はとっても冷たくて、私に向けて砲撃してくる人たちはとっても怖くて、すごくツラかったんだけど、それでも私頑張って強くなってここまで来たんだよ』と笑顔で泣きじゃくりながら消滅」ネタをどうしてもやりたくてな

2013-06-25 20:34:29