焚書太閤記

森蘭丸の年齢を無視した架空歴史ロマン的な落書き
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雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「藤吉郎! 藤吉郎はおらぬか!」 「はは、これに」 「草履をもてい」 「殿、本日は誠に霜雪深く、冷え込みが厳しくなっております。私がしっかりと懐で温めておきました。ささ、冷めぬうちに」 「……儂の草履を裸の懐でか?」 「御意」 「誰ぞある! この変態めを切り捨てい!」

2013-06-29 00:10:18
雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「敵は本能寺にあり! 信長公の首級をあげるのじゃ!」 「……」 「どうした? 何故、誰も動かぬ!?」 「ふふふふふ、君の企みなど全てお見通しだよ明智君」 「そっ、その声は」 「ある時は片眼の運転手、またある時は中国の大富豪、しかしてその実体は……!」 「……いやそれ違うから」

2013-06-29 00:32:53
雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「蘭丸……近う寄れ」 「……殿」 「本能寺で本能の趣くままに燃えるのも一興」 「……ああっ」 「殿! 一大事に御座ります! 明智公、謀反!」 「えっ? いや、ちょっと待って」 「殿!」 「いや、もう少しだから!」 「殿ぉぉおおおおおおおおおお!」

2013-06-29 08:36:36
雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「蘭丸……とうとう、我が腕に抱ける日が来たな」 「……明智様。嬉しゅう御座います」 「我が思い幾星霜。長かったぞ」 「はい」 「ささ、近う寄れ」 「そうはさせねえだ!」 「何だお前達は!?」 「蘭丸様はオラ達のアイドルだ! さあ皆の衆、竹槍でこのスケベ爺を突き殺してしまうだ!」

2013-06-29 08:49:19
雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「蘭丸……無事であったか。気を揉んでおった」 「恐れ多いことで御座います。秀吉様」 「もう、何も心配はいらぬ。其方の身は儂が預かろう」 「……なりませぬ」 「何故じゃ、利休?」 「殿はまずお世継ぎを成すが一義。私が預かりましょう」 「ううむ……そんなことを言ってお前……」

2013-06-29 09:09:31
雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「一服いかがかな」 「お手前、頂戴いたします」 「……蘭丸殿も苦労されたものよな」 「いえ、流されるままでいたまで。私など何の役にも立っておりませぬ」 「辿り着いたのが儂のところとは」 「宿縁でござりましょうか」 「黒楽に映える白い指よのう……」 「利休様、お戯れを……」

2013-06-29 11:11:21
雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「利休、其方に切腹を申しつける。何故かは分かっておるな?」 「ははっ、秀吉様直々に死を賜り、身に余る幸せ」 「……晴れやかな顔をしておるのう。まるで澄み切った蒼天のようじゃ」 「はっ、この利休、もはや何の思い残しもござりませぬ!」 「……そんなに気持ちよかったのか」 「えへっ」

2013-06-30 11:23:43
雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「徳川公…儂はもう長く保たぬ。た、頼みがあるのじゃ」 「太閤殿、分かっておる。秀頼様のことであろう。豊臣家は末永く儂が支える。御安心召されよ」 「い、いや蘭丸のことじゃ」 「蘭丸?」 「くれぐれも頼む」 「分かった」 「くれぐれも」 「うむ」 「くれぐれも」 「(滅ぼしたろか)」

2013-07-01 01:35:03
雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「殿、この忠勝、一命を賭して進言致します」 「何じゃ?」 「家中に入れられた森蘭丸と申す者、あまりに剣呑」 「…」 「貴奴に関わった者、全て滅びております」 「…手を出すなよ」 「法則が発動すれば、徳川家も危ういかと」 「法則って」 「既に某所では徳川を看取るスレも立っており…」

2013-07-01 02:01:13
雨宮淳司 @J_AMEMIYA

「殿、秀忠様未だ参着されておりません!」 「……ううむ」 「このままでは西軍に圧倒されますぞ!」 「……」 「殿! 御下知を!」 「全方面へ伝令! 我が方に寝返った者には蘭丸を一晩与える!」 「――小早川、赤座、小川、朽木、脇坂の諸将寝返り! 西軍総崩れです!」 「……勝ったな」

2013-07-01 02:18:18