即興 魔法少女まどか☆マギカSS デビルほむら×杏子 「一杯の塩そば」

悪魔になったのはいいけど、まどかのことばっかり考えすぎてて、自分のご飯が疎かになりすぎた暁美さんが飢えに苦しむ可哀想系SS。叛逆のネタバレあります。※面白かったらRTオススメ
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GammaRay @sizuoka074

「一杯の塩そば」という悪魔ほむらちゃん向けのSSを思いついたので誰かください

2013-11-14 19:29:42
GammaRay @sizuoka074

悪魔改変後、誰とも付き合いを持たず、ただひっそりとまどかの幸せを見つめ続けることを心に定めたほむらだったが、ほむらは改変時に「自分のためになること」は全部捨てちゃったので、改変後の暁美家には米と塩ぐらいしかない。金もない。まどか以外は捨てたから、今さら食い物なんて……と考える

2013-11-14 19:32:51
GammaRay @sizuoka074

親に金を無心するべきか。そんなのは甘えだ。私は悪魔なんだ、と自分に言い聞かせてしばらくは塩と米だけで食いつなぐが、そのうちお米すらもなくなり、やがて水だけの生活に。魔獣退治はやってるけど魔力で体調維持すればその分体が保ちづらくなる。飢えの中で生活を続ける悪魔ちゃん

2013-11-14 19:35:00
GammaRay @sizuoka074

ふとした時に考えつくのは食べ物のことばかり。しかしお金もない。通学路で屋台とかを見つけると、いてもたってもいられなくて目を逸らす。給食の時間は裏庭に行ってお水を飲む。弁当を食べてる子達を見てられない。マミさやコンビとすれ違って、昔食べたご飯を思い出す。だけど食えない。辛いわけない

2013-11-14 19:37:05
GammaRay @sizuoka074

構内の自販機をじっと見て、これを壊せばお金が出てくるか考える。でも捕まったらまどかといられなくなるかもしれない。葛藤。こんなくだらないことをするなんてクソだと思いながらも、釣り受けに手を入れてしまう。一度落ちればすぐだった。しゃがみ込んで自販機の下を覗き込む。小銭はなかった

2013-11-14 19:39:17
GammaRay @sizuoka074

生徒が近くを通りがかって、慌てて表情を取り繕う。ひどく惨めな気持ちで教室に。結局腹は空いたまま放課後になる。帰り際、アイス屋に寄ろうとまどさやが喋ってるのが耳に入り、耳を塞いで立ち去る。道端に落ちている十円玉を拾う。これがあと50枚あればどこかで食事が出来る。空しい。

2013-11-14 19:41:23
GammaRay @sizuoka074

飢えで頭が回らない暁美。まどかに知られそうもないところなら大丈夫なのではないかと錯乱気味に考え、風見野に。途中スーパーによって試食品を漁ろうかと思うが、惨めすぎてできない。試食品のコーナーを十分あまりさまよった後、結局商店街から逃げるように立ち去る。

2013-11-14 19:43:17
GammaRay @sizuoka074

商店街から去った暁美が辿り着いたのは、うらぶれた住宅街だった。ラーメン屋の暖簾がある。暁美はそこで決心を固めた。ここは風見野だ。食い逃げの一つぐらいしたところでバレないだろう。暖簾をくぐり、席に着く。注文を取る勇気がなかった。しばしもたつく。

2013-11-14 19:51:25
GammaRay @sizuoka074

注文はまだかと聞いてくる店主に、つい「人を待ってる」と答える暁美。納得させることが出来た。時計を見る振りなどをして時間を潰す。スマホにアラームを設定。五分経てばアラームが鳴る。電話をする振りをして時間を潰せるはずだ。それまでに注文を取って、食べて、走って逃げればいい。

2013-11-14 19:52:47
GammaRay @sizuoka074

五分経った。ほむらには結局勇気がなかった。白々しいワイドショーが古めかしいTVから流れる店内で、ほむらがひたすら固まっていたその時、誰かが店の引き戸を開いた。「ちわーっす」聞き覚えのある声だった。振り向かずともわかる。だがほむらはなぜか振り向いた。やはり、杏子だった。

2013-11-14 19:54:44
GammaRay @sizuoka074

学生服姿の杏子は店主と世間話をしながら、ほむらの二つ隣に座った。この世界では口を利いたことは一度もない。彼女は一杯の塩そばを頼み、そこでほむらの存在に気付き、すぐに目を逸らした。この世界での彼女はほむらの望み通り、親のいる家で生活している。食い物に困ることはない。うらやましかった

2013-11-14 19:57:05
GammaRay @sizuoka074

ただ惨めな気持ちで制止するほむらの鼻先を、脂の匂いがくすぐった。杏子の注文した物がきた。空き腹が刺激され、本当の限界が来た。ほむらは席を立ち、店を飛び出そうとしたその時、杏子が言った。「おっちゃん。先にこいつに食わしてやって」聞き間違えかとほむらは思った。

2013-11-14 19:59:14
GammaRay @sizuoka074

目を見開いて固まるほむらの前に、店主は特に何も言わずにどんぶりを出した。美味しそうな塩そばだった。だがほむらは本心から、それを拒否しなければならないと断じた。自分は悪魔だ。人ではない。空腹など、穢れた肉体が持つ一時の欲望に過ぎない。杏子の烏滸がましい押し付けに怒りが湧いた。

2013-11-14 20:01:34
GammaRay @sizuoka074

ほむらは立ち上がり、店主の差し出した丼をその腕で薙ぎ払い、地面に叩き付けてやろうという欲求に駆られた。理性はその通りにしろと命令している。この愚かな女に、自分の意志を見せつけるべきだ。お前の気遣いなど塵芥に過ぎないのだ、と。

2013-11-14 20:03:23
GammaRay @sizuoka074

ほむらは立ち上がり、杏子を睨んだ。腕は思うとおりには動かない。代わりに、腹が小さく鳴った。自分の眉間に、皺が寄っていくのがわかった。杏子が顎先を動かし、席に着けと促していた。ほむらは馬鹿馬鹿しくなった。より悪質な想いを得た。食べるだけ食べた後、この女に唾を吐きかけてやればいい、と

2013-11-14 20:05:59
GammaRay @sizuoka074

ほむらは座って、箸を取った。湯気を立てる丼に向かう。ゆずの香りがした。胃が蠕動している。このまま麺を飲み込めば、すぐさま吐き出してしまうことを経験的に理解し、レンゲに持ち替えて、迷い、迷った末に口に運んだ。 おいしかった。ほう、と溜め息が出るのがわかった。

2013-11-14 20:08:05
GammaRay @sizuoka074

脂は控えめで、あっさりと塩の味がした。ゆずの香りが染み渡った。箸を使って青菜を噛むと、薫り高い風味が広がる。我慢できずに麺を啜った。歯ごたえのある細麺だった。おいしかった。ずるずると音を立てて啜りながらチャーシューを噛んだ。鶏だった。おいしかった。

2013-11-14 20:10:06
GammaRay @sizuoka074

一言も言葉を発さず、ほむらは塩そばを食べ続けていると、店主が小さな丼を持ってきた。何を意味するかはすぐにわかった。だが杏子は小さく首を振ると、何も言わず水を口にし、店主は厨房へと戻っていった。胸が痛んだ。理由はわからなかった。だが次の瞬間、ほむらは涙を流し始めた。

2013-11-14 20:12:31
GammaRay @sizuoka074

ほむらは鼻水を啜り、涙を流しながら塩そばを食べ、自分が泣いている理由を考え始めた。思いつくことはたった二つだ。惨めさと悔しさだった。まどかのために全てを捨てたはずの自分が、こんなくだらない欲望に屈するなど、あってはならないことだからだ。

2013-11-14 20:14:59
GammaRay @sizuoka074

自らの浅ましさに涙するほむらの背中を誰かが撫でた。杏子の手だった。彼女は昔と同じように、友人だった時と同じようにほむらの背を撫でて言った「賭はあんたの勝ちだったよな」ほむらはいよいよ箸を止め、卓に額を付けて嗚咽した。自身を追いかけてくるこの感情から、もう逃げられないと確信しながら

2013-11-14 20:18:16
GammaRay @sizuoka074

っていう悪魔ほむが杏子ちゃんにわんわん泣かされる友情SSを誰かください。

2013-11-14 20:20:23