【再放送】サンタクロース・ライジング【総集編】

舞村そうじ(RIMLAND) @radio_rimland

バスケットに天蓋がついてなければ、その赤子は凍死していただろう。半ば埋もれた、こんもりとした盛り上がりに気づいたビッグ・ママが頑丈な蹄で積雪をかきのけ、長い鼻先で熱い息を吹きかけた。眠る赤子に生命を吹きこむように。仲間のトナカイたちが集まってくる。サンタクロース・ビギニング。

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ビッグ・ママの甘い母乳が生命を育む。健やかに成長するトナカイの子どもたち。「ボクだけどうして鼻が低いの？ボクだけどうして毛皮がないの？」涙ぐむ末の坊やに「話す時が来たかも知れないね」ビッグ・ママは示す。バスケットに一緒に入っていた、真紅の装束を。サンタクロース・アイデンティティ。

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貧民街の子供たちに噂が広がる。幼い姉弟を拐かそうとした人買いが、真紅の装束の謎の影に叩きのめされた。亡霊？怪物？いや、それは生きた人間だった。生命の証、白い息を吐きながら「12月24日の夜を待て」と言い残したという。一度は滅びたはずの、伝説の再来。サンタクロース・リザレクション。

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どうして俺が子供の頃に来てくれなかった。ズタボロに殴られた人買いは叫ぶ。「過去に戻ることは出来ない」紅の影は言う。「だが約束しよう。お前の子供は必ず訪ねる」その一言で人買いは悟る。堕ちる俺に愛想を尽かし去っていった女。あのとき生命を宿していたのか。サンタクロース・リフレクション。

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一晩のうちに街を駆け巡り、あらゆる子供たちにプレゼントを届ける。「とても無理な話だな…私の協力がなければ」ビッグ・ママが遺した最後の生き残り同士、末の弟の頼みでは断れない。強靭な脚力とタフなハートを持つトナカイ、ルドルフは暗闇で赤鼻を光らせ不敵に笑う。サンタクロース・ライジング。

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最後に聞きたい、と赤鼻のルドルフ。俺はいいがお前は。ビッグ・ママを、一族を屠った人間たち、赤子のお前を捨てた大人たちに復讐しようとは思わないのか。「復讐はするさ」紅い影は答える。「子供たちの幸せが、私にとって最高の復讐だ」サンタクロース・カミングスーン。24日の夜を待て。(完)