- eighter_rieko83
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1 半年前に仕事を辞め、昔からの夢だった小説家になるという夢を、幸運にも私は叶えようとしていた。 以前から書きためていた作品のうち、何点かをいくつかのコンクールに出し、 そのうちひとつの作品が、新人賞をいただけることになったのだ。 35才…ちょっと遅い小説家デビュー。
2014-08-14 21:33:082 それと同時に思い切って上京を決めた。 いただいた賞金とOL時代に少しずつ貯めた貯金で上京。 その後、編集者の方に今後の仕事の話などを一通り済ませ、私は自分へのご褒美に南の島への一人旅を実行することにした。
2014-08-14 21:33:193 何度か訪れるうち、地元の人たちとも顔見知りに。 仕事を辞めてから旅行も控えていた為、すごく久しぶり。 いつも行く居酒屋に顔を出すと、さっそく知ってる顔が。 「○○ちゃん、久しぶりさぁねぇ!」 笑顔で挨拶を交わしたが、直後、その人の隣を見て私は固まった。
2014-08-14 21:33:414 「コレ、知ってるかね?」 村上「コレって、なんやねん! 初めましてぇ、村上信五ですぅ。」 知ってるも何も私、eighterだし…。 「その顔は知ってる顔さ。 さすが有名人、良かったねぇ!」 震える声で挨拶をしたら、豪快に笑いながら握手してくれた。
2014-08-14 21:34:555 村上「え!eighterなん?」 しばらく一緒に飲んで、少し慣れた頃、私は思い切って打ち明けた。 村上「誰?誰?誰のファンなん?」 私 「えっ!…えっと…みんなの…」 村上「そんなんええねん!誰っ?」 私 「…えと…安田くんの…。」 正直に答える。
2014-08-14 22:12:596 村上「ヤスかぁ!」 全然気にしないって感じで彼は笑った。 それから地元の人たちも含め、遅くまで盛り上がった。 私はいつの間にか彼のことを「信ちゃん」と呼んでいた。 これはきっと夢なんだな…。
2014-08-14 22:22:377 あの夢の出来事から2週間が過ぎた。 あれはやっぱり夢だったんだな…と、毎日ぼんやり考える。 あー仕事しないといけないのになぁ…。 地元にいるeighter友達△△にだけ、この夢のような話をしたら、連絡先交換したかって彼女も大興奮。 eighterだからこそ、それはムリ!
2014-08-14 23:56:218 このまま二度と会うことはないんだろうなぁ…。 あー! それより準備しないと!! 今日の午後からは新人賞を取った作品について、雑誌の取材がある。 馴れない東京の地…早めに家を出て、何とか指定のビルへ。 ビルに入ろうとしたのと、ほぼ同時…誰かがそのビルから出てきた。
2014-08-14 23:56:279 驚きすぎて、声が出ない。 信ちゃん…! 村上「おー!○○やん!」 久しぶり、偶然やなってニカッと笑った。 聞けば、彼も雑誌の取材だったらしい。 ??「ヒナぁ、誰ぇ?」 彼の後ろから声がした。 村上「あ、すばる、この前話したやろ? 旅行ん時会った、○○!」
2014-08-15 00:10:0710 渋谷「あ、あのeighterか!」 私 「あ、あの…?」 信ちゃん、私のこと何て話したの?? ドキドキして変な汗出てくる。 村上「つーか、時間大丈夫なん?」 はっ! 慌てて時間を確認する。 私「だ、だいじょうぶ… でも、そろそろ行こうかな…。」
2014-08-15 00:10:4411 村上「んじゃ、また一緒に飲もーや! 連絡先!」 スマホを出しながら、前回会った時には考えられなかった連絡先の交換をする。 こんなにすんなり…? えっと…また夢見てるのかな? てか、すばるくんに何て話したの?! 村上「じゃ、連絡するな!」 私の頭は?のまま…。
2014-08-15 00:10:5812 取材が終わり、久しぶりにちょっとお買い物。 東京にはまだ友人と呼べるような人はいないし、土地勘もないし、仕事だって家から出ない。 ほぼ引きこもり状態だ。 今日ぐらい外で何か食べて帰ろうかなー…。 その時バッグの中でスマホが震えた。 その着信相手の名前に、私も震えた。
2014-08-15 12:11:5613 私 「も、もしもし!」 村上「おー! 取材終わったかぁ?」 私 「うん」 村上「帰ってるとこか? まだ外みたいやけど?」 私 「ちょっとお買い物してた。」 村上「ほーか。 今日、仕事はよ終わり そうなんやけど、 メシ行かんか?」
2014-08-15 12:12:0814 連絡先交換したものの、こんなに早くお誘いあると思ってなかったから、私の胸はまたドキドキが早まる。 断る理由なんて、当然あるわけも無く、待ち合わせ場所や時間を聞いて電話を切った。 私、今どんな状態だ? お化粧ちゃんとしてたっけ? 服は?大丈夫? 慌てて近くのデパートへ。
2014-08-15 12:12:1815 少し早めに待ち合わせ場所に到着。 あー、緊張するなぁ。 旅行の時はお酒も入って、なんか普通に話してたような感じになってたけど、それはあの時の空気のおかげ。 私eighterだって話したよね? そこんとこ大丈夫なの? てゆーか、2人きりじゃないよね? だめだ…パニック…!
2014-08-15 12:12:2116 スマホで時間を確認したら、約束の時間を5分過ぎたところだった。 その時、すまん!と言って近付いてくる人に気付き、目線を上げた。 村上「ちょっと遅れてしもたな! すまん!行こか!」 お昼に見た笑顔が私を誘導する。 ついて行くと落ち着いた雰囲気の居酒屋が。
2014-08-15 22:39:2217 通された小さめの個室には、先客がいた。 その人は笑顔で信ちゃんと私を迎えた。 そして、その笑顔は私も知っている笑顔だった。 大倉くんだ…! 大倉「こんばんはぁ! はじめましてぇ!」 私 「はっ、はじめまして!」 緊張でガチガチの私の第一声に信ちゃんが笑った。
2014-08-15 22:39:5518 大倉「ごめんなぁ、 ヤスじゃなくて俺で。」 信ちゃんに促されて大倉くんの前の席に座ると、大倉くんが笑顔でそう言った。 びっくりして、慌てて首を横に振った。 どうやら私が安田くんファンだということまでもご存知のようだ。 うー…信ちゃん…一体どう紹介してるの…?
2014-08-15 22:40:1419 お酒が入ると、私の緊張も少しずつ解れてきた。 しばらくして、お昼から気になっていたことを聞いてみた。 私 「信ちゃん…私のこと どう話してたの?」 すると、一瞬の間を空けて、2人とも大声で笑った。 え?え?何?何? 私、旅行の時、変なことしたのかな??
2014-08-15 22:40:3120 村上「いやいや、ごめんやで! 島の人たちにも負けへん 酒豪やって言ってもうて!」 私 「えええっ!?」 まだ笑いを抑えることがムリな様子で信ちゃんが言った。 大倉「信ちゃん、負けたわー って、嘆いててん!」 大倉くんも、まだ笑ってる。
2014-08-15 22:41:1321 そ、そういえば、あの時、かなりテンション上がって飲んだ…。 かなり酔って、後半少し記憶飛んでるとこあったけど、大丈夫って1人でちゃんとホテルに戻ったんだよね…。 村上「いや、まさかこんな早く 再会するとも思わんかって、 大袈裟に言うてもたな!」
2014-08-15 22:41:3322 ごめんやでって、信ちゃんがまた笑った。 もーぉ、って言いながら私も笑った。 楽しい時間はあっという間に過ぎて、そろそろ帰ろうということになった。 家の方向が一緒だからと、信ちゃんがタクシーで送ってくれることに。 私たちを先にタクシーに乗せながら、大倉くんが言った。
2014-08-15 22:41:3723 大倉「○○ちゃん、 今日は楽しかったわ! また飲もな!」 あー、ヤバイ! めっちゃ素敵な笑顔! はっ! ただのファンに戻ってしまった! 私 「うん、ありがとう! またねっ!」 私の夢はどこまで続くんだろう…。
2014-08-15 22:41:42