あやみかまとめ

鹿乃子さん(kanocot)が描かれたセーラー少女の綾葉と実花についての話を呟いたもののまとめです。
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満月の日のあやみか

ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 帰りが遅くなり、すっかり暗くなった道を二人で歩く綾葉と実花。そんな時、ふと夜空を見上げていた綾葉が呟く。 「月が綺麗だな」 そうですね、と適当な返事をしてから、実花はその言葉のもう一つの意味に気付いた。かの文豪、夏目漱石の逸話。

2014-09-09 20:30:38
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 『I love you』 実花は顔を赤くしながらも、そんなことを言うはずがないと心の中で否定した。だが、彼女が意味もなくそんなことを呟くわけないという考えが頭をよぎる。彼女の様子から探ろうとするも、綾葉は先程と変わらず夜空を見上げるばかりだった。

2014-09-09 20:36:49
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL つられて見上げた先には真円の月が煌めいていた。確かに彼女の言う通りだと実花は思った。だから先程の発言も言葉通りの意味かもしれない、と無理矢理納得をしようとする。だが心のどこかで、あの綾葉がもう一つの意味を知らないわけがないと実花に囁きかけていた。

2014-09-09 20:41:44
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 「さっきのは…」 「ん?どうかしたかい」 誰にも聞こえないほど小さな声で実花が呟く。だが、綾葉はその言葉を聞き逃さなかった。実花は慌てて何でもないと答えたが、綾葉はそれでは納得しなかったようだった。じっと実花を見つめてから綾葉が口を開く。

2014-09-09 20:50:03
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 「月の兎は何を考えているんだろうね」 「えっ?」 綾葉の言葉が理解出来ず、実花は間抜けな返事をした。言葉の意味を探ろうと、実花はじっと綾葉の目を見つめ返すが、紺色の瞳は何も教えはしなかった。真意が分からないまま実花は思ったことをそのまま口にする。

2014-09-09 20:56:23
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 「さぁ、分からないです」 実花の言葉に綾葉はニヤッとした笑みを浮かべてから答えた。 「そうだろうね。私にも分からないよ」 じゃあなんでそんなことを?という実花の問いかけは、綾葉の言葉によって遮られた。

2014-09-09 21:01:48
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 「何を考えているかなんて他人には分からないものだ。それこそ超能力者でもない限りね。つまり、実花が何を考えているかも、どんなことを思っているかも、私には何も分からないのだよ。言葉にしてくれないとね」 そう言って綾葉は自らの口元に人差し指を当てた。

2014-09-09 21:05:23
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL そんなキザなポーズも月光に照らされた綾葉にはお似合いで、実花は胸の高鳴りを覚えた。そんなことも露知らずという表情で教えてくれないかなと声をかける綾葉。実花はさっさと帰るよとだけ答えて、逃げるように綾葉の前を歩き始めた。朱に染まった頬を隠すように。

2014-09-09 21:10:45

夕暮れ時のあやみか

ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 時計の長針があと半周すれば下校時刻となる現在。夕暮れ色に薄っすらと染め上げられた文芸部室に私と綾葉はいた。理由なんてただの一つしかない。締切間近だというのに全く原稿を書かない綾葉を、この部屋にかんづめにして書かせるためだ。

2014-10-21 12:42:23
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 授業が終わってから数時間。急かされる前にやれよと思いたくなるほど、綾葉は真面目に黙々と原稿を書き進めていた。その手が不意に止まったのは5分ほど前。ピタリと動きを止めた綾葉は、考える人よろしく、石像のように原稿を見つめた姿で固まっていた。

2014-10-21 12:42:26
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 「どうかした?」 さすがにこれ以上放置するのもあれなので、声をかける。綾葉は私の声にピクリと反応すると、ようやく動き出した。 「いやぁ、ちょっと考え事を……」 そう言いかけて、綾葉は急に口を閉ざした。一瞬現れた微笑みが、真剣なものへと変化する。

2014-10-21 12:42:28
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 「なぁ実花。もし私が今ここで『実花のことが好きだ』と言ったらどうする?」 「はぁ??」 突然の発言に動揺する私をよそに、綾葉は私の肩をつかんで私の瞳をまっすぐに見つめてきた。 「私は真剣なんだ。答えてくれないか、実花」

2014-10-21 12:42:31
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 綾葉は私のことが好き?その言葉に頭の中は真っ白になる。それでも真剣だと言う綾葉のお願いなので、必死に答えようと口を開いた。 「あぁ、あの、好きって言ってもらえるのは嬉しいし、私も綾葉のこと好きだけど、その、急と言うか、いきなりすぎてその……」

2014-10-21 12:42:33
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 顔が熱い。今にも穴に入りたい。そんなことを考えるも、少しだけ綾葉の次の言葉に期待をしてしまう。 だが、綾葉の行動は素っ気ないものだった。 「なるほど。これで続きが書けそうだ。急に聞いて悪かったね。ありがとう」 そう言って私の肩から手を離す。

2014-10-21 12:42:36
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL 未だに状況が掴めない私を無視して、原稿に向かってペンを走らせる綾葉。その姿と先程の言葉で、ようやく私は綾葉の真意に気づいた。綾葉はただ小説の参考にしようと尋ねただけだったのだ。私がただ空回りしていただけで。

2014-10-21 12:42:38
ですか @desuka_desuyo

@sailorsousakuTL そのことが恥ずかしくて、先程よりもさらに顔が熱くなるのがわかった。それに加えて心の奥で何かの感情がもやつく。そのもやもやを吹き飛ばすように、私は叫んだ。 「綾葉のバカヤロー!!」 驚いて目を丸くする綾葉を放置して、私は部室を飛び出すのだった。

2014-10-21 12:42:41