暗礁艦隊外伝～１１月１１日はポッキーの日

CF型マシニーカhir @hir_CF

「ところでポッキーの日らしいんですが、ポッキーとはなんなのですか？」 疑問符を浮かべた浜風。 「ポッキーか…長い事食べていないな。小麦粉を焼いて作った硬質の棒を、チョコレートでコーティングしたお菓子だ。西淀川のグリコ本社が壊滅しなければ…」 #魔法使い提督 シリアスにしてみた

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「ポッキーとは小麦粉とチョコレートが必要なのですね…ふむ」 調理場に小麦粉はあったが、チョコレートはどこで調達しようか？神戸港まで行けば手に入るかもしれない。海外の食品、特に嗜好品はどこも品薄だ。パトロールついでに足を延ばしてみるのもいいかもしれない。 #魔法使い提督

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清霜と初風を誘い、提督から許可を得て海上へ。 途中近隣の鎮守府の艦隊とすれ違う。 愛宕を旗艦とした６隻編成だ。どこかの海域で深海棲艦を掃討するのだろう。 手を振って挨拶を交わす。数キロ程度なら艦むすにとっては目と鼻の先だ。よく見える。愛宕の振る手には指輪が見えた。 #魔法使い提督

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深海棲艦による空襲と上陸で、三宮から葺合のあたりは焼き払われた。だが少し離れた元町や灘、山の手に行けばまだまだ無傷の場所はたくさんある。 メリケン波止場から陸に上がると艤装を格納。浜風は後ろ二人が上がるのに手を貸してやる。 「で、何買うの？」初風の疑問。 #魔法使い提督

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「チョコレートを」 「おおっ、美味しそう！」 清霜ははしゃぐ。 物々交換用に銅を１０ｋｇほど持ってきたが足りるだろうか。 不安になっていても仕方ないので、商店のある方へ出発する一同。 #魔法使い提督

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途中清霜が南京町で美味そうなフカヒレスープの臭いに惹かれたりしたほかは特に何事もなくアーケード街に到着。海外の食品を扱う店もここにある。 往時に比べて活気がなくなったとはいえ、やはり人は多い。 やがて目的の店にたどり着くと一同は中へ。 チョコレートを探す。 #魔法使い提督

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「あ、あったよ！」 清霜の指さす方には包装されたチョコレートが１個だけあった。 これでポッキーが作れる！ 喜び勇んで手を伸ばす浜風。 と、真横から伸びてきた手がぶつかる。 「痛っ」 艦むすの手は鋼鉄製だ。人間にぶつければ怪我する事もある。 「大丈夫でしたか」 #魔法使い提督

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浜風は謝ってから相手をよく観察した。 ジーンズとセーター、毛糸の帽子にピンクのマフラーを付けた若い女性だ。 「ヘーイ！うちの提督に何をするデースかー！？」 特徴的な語尾だけで分かる。金剛型一番艦金剛。それが付き添っているこの女性は… 「元町鎮守府の提督さん…」 #魔法使い提督

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「あら、ごめんなさい。あなたは…暗礁艦隊の浜風ね？」 「はい。大変失礼しました」 手を摩る提督に対して平謝り。 「謝ってもダメデース！許しまセーン！」 隣でプンスカ怒っている金剛であった。 「こら、やめなさい金剛。悪意があったわけじゃないんだから」 「えーデモー」 #魔法使い提督

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「すみません。お詫びと言ってはなんですがこのチョコレートはそちらにお譲りします」 残念ではあるが、また機会もあるだろう。 金剛はまだ不満そうだが。 と、その時サイレンが鳴り響く。これは襲撃の警報では？ 「！行くわよ金剛」「了解デース！」 #魔法使い提督

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「我々も！」「ええ」「急ごう！」 浜風、初風、清霜の３人も元町提督たちの後に続く。 外に出た一同はまず広い道へ。道行く人々も慣れたもので、整然と山の手へ避難してく。 「あ、あれ！」 清霜が指さした上空には、複数の機影が浮かんでいた。爆撃機だろうか？ #魔法使い提督

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と。轟音が鳴り響いた。 ８発の砲弾が空中で破裂。無数の散弾となって航空機の群れに襲い掛かる。 一撃でかなりの数が薙ぎ払われた。 「ほー。やるねー」 おそらく先ほどの金剛だろう。砲弾は三式弾か。 「む？」 三式弾を警戒したか、敵は散開する。こうなると砲は当たらない。 #魔法使い提督

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そうこうしているうちにも、水平線の彼方にいた敵機はグングン近づいてくる。 「どーするのあれ」 対空戦闘能力で駆逐艦が戦艦に敵うわけがない。それでもこちらに向かってくる敵を撃墜する事はできるが、無視されればどうにもならない。 「私にいい考えがあります」「へー？」 #魔法使い提督

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深海棲艦の爆撃機の一群は、徐々に接近する市街地への爆弾の投下準備に入った。 敵の抵抗は大したものではない。対空砲が散発的に撃ちこまれるだけだ いざ、投下。 その直前、強烈な光が彼らの視界を灼いた。 混乱。痛み。それらがないまぜになって、機体はコントロールを失う。 #魔法使い提督

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「３機撃墜！」 「その調子です」 ビルの屋上から探照灯を構えているのは清霜だ。夜間でも１０ｋｍ先の敵を煌々と照らし出す探照灯は並みのライトとはケタが違う。直視すれば昼間でも目を焼かれるのだ。 照射時間も長い。駆逐艦娘のＦＣＳと併用すれば、苦も無く直撃させられる。 #魔法使い提督

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別の一群の前では強い光が輝き出す。反射的にそれを避けた敵機は、ちょうど浜風と正対する向きとなった。 「落ちろ」 12.7cm連装高角砲後期型、通称浦風砲が続けて砲弾を吐き出す。 驚異的な精密さでそれは敵機を貫く。 浜風はおっぱいだけの女ではないのだ。 #魔法使い提督

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「…ふう。お二人が夜戦装備のままでいてくれて助かりました」 危機は去った。元町の損害はごく軽微。 浜風たち駆逐艦が貢献できたのは先ほどの照明弾と探照灯のおかげだ。 「ふあー。お腹すいたー」 清霜がぶーたれる。 「そうですね。ここの鎮守府に挨拶をしたら帰り―」その時 #魔法使い提督

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「その必要はないデース。提督は忙しいのデス」 見れば先ほどの金剛が。 「あー。あなた」 清霜は口をパクパク 「それじゃ、話が早いわ。私たち帰るから」 「いなくなって清々するね。あーデモ、提督から伝言ダヨー。『ありがとう』だってサー」 そこまで言うと金剛は何やらポイ #魔法使い提督

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「っと。これは…さっきのチョコレート？」 「それで借りは返したネ。じゃあネー」 金剛はそこまで言うと踵を返した。 「…我々も帰りましょうか」「うんっ」「ええ」 こうして元町をめぐるちょっとした戦闘は終わった。 #魔法使い提督

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なお後日。 「というわけで提督。ポッキーを作ってみました」 「おいしい。確かに美味しいがこれはポッキーじゃない。変な形のチョココロネだ」 #魔法使い提督