茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1535回【客がたくさん来ると、強くなる】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート１５３５回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、感想。

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プロ野球のセントラル・リーグの全球団の「貯金」がないという、前代未聞の事態、というニュースを見て、あれ、ゼロ・サム・ゲームのはずなのに、どういうこと、と思ったら、交流戦があったのだった。セは、パに、１７試合負け越しなのだという。

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さらに、セントラル・リーグは、首位の巨人から最下位の広島までゲーム差２．５の間にひしめいているので、「全球団勝率ゼロ」という、珍事が起こったのである。以前から言われている、「人気のセ、実力のパ」という構図が、そこには見える。

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ところで、ぼくが小学校の頃はプロ野球全盛の頃で、なにしろ王・長島がいて、巨人のV９だった。当時は、巨人戦は全試合地上波中継が当たり前だった（今となっては、昔のことである）。その頃、大人たちが、よく、こんなことを言っていたもので、子ども心に「そうなのかなあ」と思っていた。

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大人いわく、「巨人が強いのは当たり前よ。何しろ、人気で、毎試合球場にファンが詰めかけているんだから。ガラガラの球場で試合をするより、やる気になるさ」。いわゆる俗説というやつだろう。子ども心に、「へえ、そうかなあ」と半信半疑で聞いていて、どちらかというと怪しいと思っていた。

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この統計　baseball-freak.com/audience/　によると、ホームゲームの観客動員数が一番多いのは、巨人で、最下位はロッテである。観客動員数をリーグで見ると、セの方がパよりも多い。「お客さんがたくさん来ると強くなる」という、当時の大人の俗説は、やはり成立しないようだ。

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ただ、観客数が多いほど、収入も多いから、それだけ優秀な選手も獲得できる、というかたちで、間接的な影響はありそうだ。それにしても、「客がたくさん来ると、強くなる」と言っていた大人の表情は、そんなに嫌いじゃなかった。人間的というか、人生の哀歓がそこにはあった。

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プロ野球の選手が、何万人とかけつけた観客から力をもらうというのは、本当なのだろうと思う。たとえ、実力が人気と一致しなくても、歓声をもらうだけで元気が出る。「客がたくさん来ると、強くなる」という俗説を言っていた大人たちは、本当は自分の人生の応援団が欲しかったのかもしれぬ。

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以上、連続ツイート１５３５回　「客がたくさん来ると、強くなる」をテーマに、７つのツイートをお届けしました。