☆村上信五【制服(教師編)】

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蒼いの∞妄想部屋(月の間) @daikyury

《村上信五》 【制服 1】 本当にちょっとだけ ちょっとだけ行きたくなかっただけ それなのに 夕方になると 『明日は学校来いな』 って言いにきた だから 今日は会ってやろうと思って 外で待っててやった 坂の下の角を曲がって ウチに向かって上ってきた 担任の村上先生

2015-07-12 00:48:40
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【制服 2】 『おっ、今日は出迎えてくれてん』 「…ち、違うよっ」 『違うんかー(笑)ま、ええよ』 『顔見れて嬉しいやんか』 「…」 『どや、明日は?』 「…きて」 『ん?』 「迎え…に来てくれる?」 『おん、ええよ』 「…本当に?」 『明日は3、4時間目授業ないから』

2015-07-12 00:49:05
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【制服 3】 『2時間目終わったら迎えに来ちゃる』 「…いいの?」 『かまへん ほな連絡先交換しよか』 鞄からスマホを取り出した先生 「あっ…」 慌てジーンズのポケットから スマホを取り出した私 『これでええな』 『ほな明日は学校行こな』 くるりと踵を返して坂を下る

2015-07-12 00:49:12
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【制服 4】 一度も振り返らず 坂の下の角を曲がった 男らしい後ろ姿 潔い態度 ちょっとキュンした 明日は先生と一緒なら 行けるかな… 3時間目って何時からだっけ? ポケットのスマホが鳴った 『ちゃんと届いとるか?』 先生からだ OKのスタンプ 『なんや』

2015-07-12 00:49:21
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【制服 5】 『明日寝坊すんなや』 「はぁい」 『ほな明日な』 短いやり取りだけど なんか嬉しい 制服のブラウス アイロンかけてもらおう(笑) 誰が覚えててくれてるって 忘れてないって ちゃんと顔見に来てくれるって …嬉しいな 明日は ちゃんと起きよう 朝ごはん食べよ

2015-07-12 00:49:41
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【制服 6】 スマホのアラームより 早く目が覚めた 今までじゃあり得ない(笑) 部屋を出て キッチンのお母さんに声をかけた 「お弁当は?」 “ちゃんと出来てますよ” “朝ごはん食べて” 朝のワイドショー見ながら 紅茶を飲んだ 村上先生 コーヒーと紅茶 どっちが好きかな…

2015-07-12 00:49:50
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【制服 7】 久しぶりに着る制服 何年も前にどこぞのデザイナーが デザインした制服 可愛いって評判で 制服目当てで受験する人も いるらしい 似合ってる?私 鏡の前でポーズ よしっ! ドキドキしながら 外に出てみた 村上先生はまだ来てなくて デートのお迎えを待つ気分だ

2015-07-12 00:49:56
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【制服 8】 ブレザーのポッケの中 スマホが震えた 『起きとるか?もうすぐ着くで』 村上先生だ 「もちろん!」 坂を上がってくる村上先生 ちゃんと約束通り お迎えに来てくれた 『おう!起きとったな』 「もちろんだよ、先生」 『えぇ子だな』 頭をポンポンってされた

2015-07-12 00:50:01
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【制服 9】 「もー、子供じゃないんだからー」 『ははは そりゃ悪かったなぁ』 ぷって膨れてみたけど 心臓が早歩きしてる 『ほな行くかー』 「…はい」 ちょっと緊張 村上先生と並んで歩く 『ちょっと遠回りするか』 広い公園の遊歩道を のんびり歩く 風が心地よい

2015-07-12 00:50:07
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【制服 10】 小さな子供が二人 仲良く遊んでる 村上先生は 何も話さない 何も聞かない 近くで 四つ葉のクローバーを 探してる子がいた 『俺もちんまい時探したなぁ…』 ニコニコ優しい目で見つめてる 「それで…みつかったの?」 『おん 一緒に探してた子にあげたったわ』

2015-07-12 00:50:13
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【制服 11】 「どうして?あげちゃったの?」 『ん?その子が探しとったからやな』 『男に葉っぱはいらん』 『俺は葉っぱには頼らん』 急に村上先生が ‘オトコ’にみえた 葉っぱをもらった子は 今、どうしてるのかな… 聞いたら教えてくれる気がしたけど 聞きけなかった…

2015-07-12 00:50:18
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【制服 12】 校門に着いた 『どや、行けるか?』 心臓が少し小走りしてる 一人では歩けない 「先生…」 『無理か?なら帰ってもええねんよ』 「…」 帰りたい いや 帰らない まぜこぜな私 『ほな国語科準備室行くか』 私の手を取り歩きだした えっと… どこ?…

2015-07-12 00:50:27
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【制服 13】 西校舎の4階のどん詰まり 窓を塞ぐように 壁一面のキャビネット 古びたソファーと長テーブル 『ホンマは生徒は入れへんのやけどな』 『特別やで』 埃臭い古びた匂いの部屋 〔なんや、村上連れ込みか〕 『そんなんちゃうで』 音楽の渋谷先生だ 村上先生と同期だ

2015-07-12 00:50:34
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【制服 14】 ソファーに座って コーヒーを飲みながら 漫画を読む渋谷先生 私の心臓は さっきと違う意味で 小走りしてる 『適当に座り』 『麦茶でええか?』 どこからか麦茶のペットボトルが出てきた 『ここにおったらええ』 『やけど昼飯前に帰りや』 『内緒な場所やねん』

2015-07-12 00:50:40
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【制服 15】 ‘さて授業やな’ ‘襲うなや、村上(笑)’ 『あほ おまえとちゃうわ』 渋谷先生は行ってしまった 村上先生と二人 何を話すわけでもなく 村上先生はパソコンに向かってる 私は渋谷先生が置いていった 漫画をパラパラと捲ってみた 「先生…明日もここに来ていい?」

2015-07-12 00:50:45
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【制服 16】 しばらく国語科準備室登校した そこは村上先生と気の合う先生の 溜まり場だった 私も少しずつだけど 教室に行くようになった 心配してくれた友達とも 普通に話したりもできるようになった でも 時々心臓が小走りする そんな時は国語科準備室へ 村上先生は何も聞かない

2015-07-12 00:50:51
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【制服 17】 『麦茶でええか?』 一年中麦茶(笑) 私 ここにいると 安心する 村上先生… 私、村上先生を好きかも… どうしよう… 心臓がダッシュしてるよ… 涙が浮かんで 村上先生がボヤけてる 慌てスマホを眺める 涙に気づかれないように 開きっぱなしのゲーム画面が滲む

2015-07-12 00:50:57
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【制服 18】 次の日から また学校に行かなくなった 今度は友達が迎えに来てくれた 仮病を使って会わなかった ごめんね 治ったら 行くから 自分の心に嘘をつく 村上先生にも 同じ嘘をついた 『そうか 早う元気になるとえぇなぁ』 『大事にしや ちゃんとメシ食うてな』

2015-07-12 00:51:29
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【制服 19】 嘘に優しい返事 こんなに苦しくなるなら 嘘はやめよう 「先生…迎えにきて」 送信 『えぇよ 明日は3時間目あいとるから行くな』 返事 四つ葉の葉っぱに頼らないけど 幸せになるには 自分で頑張らないとダメかな… 明日 私の心は正直になる

2015-07-12 00:51:50
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【制服 20】 坂の下で先生を待つ 『おう 待たせたな』 いつもと変わらない笑顔 「先生!遠回りして!」 『えぇよ なんや葉っぱ探すんか?』 曖昧に笑う私 先生との距離感が心地よくて好き 私の心臓も正しいリズムを刻む ずっと隣にいたい 私を安心させて 儚い願い…

2015-07-12 00:52:01
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【制服 21】 寄り道して 公園の遊歩道をゆっくり歩く 「先生…私…先生が好き」 ちゃんと悩んだ顔した村上先生 『んー…悪いなぁ…それには応えられへん』 「生徒だから?」 『ちゃう』 「なんで?」 『結婚…するんや』 「いつ?」 『まだ決めてへん』 「割り込めない?」

2015-07-12 00:52:10
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【制服 22】 『おん、無理や』 『大事な彼女なんや 幸せにしたいねん』 「…そうなんだ」 「なら…」 『思い出もアカン 1回だけもアカン』 「なんで…」 はらはら涙が零れる 『ちゃんと恋愛した男とせい』 『俺を踏み台にして、もっとえぇ男とせい』 頭をポンポンってされた

2015-07-12 00:52:18
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【制服 23】 卒業式の日 制服を着る最後の日 国語科準備室に行った すごい久しぶりだ 案の定 村上先生は麦茶を飲んで パソコンと睨めっこしてた 「先生!」 『おん 卒業おめでとうな』 やっぱり好きだ ちょっと背伸びして 座ってる先生の頭を ポンポンってしてやった…

2015-07-12 00:52:28