茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1621回「無自覚の変人」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート１６２１回をお届けします。文章はその場で、即興で書いています。本日は、昨日、ふと思って、今朝、思い出し笑いしていたこと。

茂木健一郎 @kenichiromogi

世の中には変人が時々いて、私は大好きなのだが、当然、変人には困ったことがいろいろある。一番の問題は、変人には、自分が変人という自覚がないことがほとんどということで、つまり、変人は無意識の変人であるというのが、定義のようなものでさえあるとも言える。

茂木健一郎 @kenichiromogi

周囲から見れば明らかにヘンなのに、本人にその自覚がない。自分のやり方が普通だと思っている。「お前、ヘンだよ」と言うと、「いや、そんなことはない、自分のやり方は普通だ」と反論する。そのような人が本物の変人である。

茂木健一郎 @kenichiromogi

逆に、やたらと「私は変人です」「私ヘンでしょう？」と言う人は、何らかの理由で変人にあこがれ、変人になりたいと願う変人ワナビーであって、真性の変人ではない。その価値観は案外常識的だったりする。変人になりたいワナビーがまともで、本物の変人にその自覚がないんだから、世の中は難しい。

茂木健一郎 @kenichiromogi

ところで、変人に、自分のやり方がヘンだという自覚がないのは、案外変人という存在の本質に関わることなのかもしれない。自分のやり方のここがヘンだと認識し、それを世間の常識とずれているからと抑制してしまっては、もはやその人はとんがった変人ではない。

茂木健一郎 @kenichiromogi

また逆に、変人のヘンなところがなぜか世間から拍手喝采されると気づき、ことさらに変なところを強調したり、派手に自己演出するようになると、変人の無為自然が失われてしまう。そこに、賢しらが生まれる。おそらく、変人のヘンぶりも、どこかぎこちない、こわばったものになってしまうだろう。

茂木健一郎 @kenichiromogi

「薔薇が美しいのは、自分が美しいということを知らないからである」と開高健は言ったが、同様に、「変人が魅力的なのは、自分が変わっているということを知らないからである」ということが言えるだろう。美にせよ、ユニークさにせよ、その根幹に無自覚があるのは面白いことだと思う。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート１６２１回「無自覚の変人」をテーマに、６つのツイートをお届けしました。