秋田禎信ファンによるマーガレット・ミラー作品紹介

「悪意の糸」「まるで天使のような」「雪の墓標」と、近年新訳の出版が相次いでいるミステリ作家、マーガレット・ミラー。彼女の作品を、ミラーに影響を受けた作家である秋田禎信から遡って読んだファンの方が紹介しています。
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きさだ @kisadalog

先日のオフ会で「マーガレット・ミラーいいですよ!」と力説してきた。ちょいとばかし、秋田読者への紹介文をつぶやいてみようと思う。例によって例のごとく、魅力を伝えられる気はあまりしないのだが…。

2015-12-02 23:45:50
きさだ @kisadalog

マーガレット・ミラー作品はわれらが秋田禎信の愛読書であり、秋田ファンにはいくつかのフレーズや登場人物の名前が彼女の作品から採られていることで知られる。夫のロス・マクドナルドもまた小説家で、「さむけ」にはレティシャ・マクレディ、コンスタンス、ドロシーが登場している。

2015-12-02 23:51:19
きさだ @kisadalog

どういう作風かというと、乱暴に言ってしまえば「額に青筋立てた独身女性と支配され疲れきった男性と、失踪した誰かが出てきて、最後に一人発狂して終わる」。特に女性キャラクターの面倒くささは折り紙つきで、なるほど秋田作品の女性陣がああなるわけだと納得させられるものがある。

2015-12-02 23:57:15
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4094023518 「眼の壁」邦訳されている中では最も初期の作品。交通事故で盲目となり一方的に婚約解消しながら、フィアンセを手放さない妹、屋敷の家政婦的立場に置かれた姉。秋田度数(何それ)は運命の三女神が台詞に登場する、くらいなのでかなり低い。

2015-12-03 00:04:21
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4488247075 「殺す風」不倫騒動の果てに再婚した男。ある日彼は気心知れた友人の待つ別荘に出かけたまま姿を消した。登場人物が口を揃えて「子供に罪はない」と言うのがミラー作品では珍しい。あと水仙が出てきたので一瞬遠い目になりかけた。

2015-12-03 00:15:31
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4488247083 「悪意の糸」絶版の多い中、昨年刊行されたので手に取りやすいと思われる。主人公の女医の恋模様がミズー・ビアンカを思わせると一部で評判です。 twitter.com/megyumi/status…

2015-12-03 00:20:53
「即席」でも「そくせき」でも @megyumi

秋田が、俺が待ち望んでる女性主人公の恋愛小説をいつまで経っても書かない中、本作で代替的にそのようなものを補給できてこれは……ありがたい……。ミズーさんと旦那の馴れ初めって話にしたらこんな感じかなーどうかなー

2014-09-15 18:44:37
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4488247067 「狙った獣」ホテル住まいの主人公のもとに謎の女から悪意むき出しの電話がかかってくる…という、ミラー作品中で一、二を争う不穏な幕開けで始まる。秋田度数は低い…のだが、私はこの小説にかなりサルアを感じる。どこがだよ、と言われそうだが。

2015-12-03 00:27:46
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4488247024 「耳をすます壁」女ふたりでメキシコ旅行に出かけた先で一人が死に、一人が失踪した。真相はいったいどこに、嘘つきは誰だ、というと「誰もが誰かを裏切っている」という「オーフェン」おなじみのフレーズが思い浮かんでくるだろう。

2015-12-03 00:33:32
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4488247016 「見知らぬ者の墓」自分の名が刻まれた墓の夢を見たことから始まる、嘘でできた完璧な世界が壊れるまでの物語。私立探偵ピニャータ、父から娘への手紙、と秋田度数はかなり高い。ラブロマンスもあるヨ!

2015-12-03 00:39:43
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4488247091 「まるで天使のような」今年新訳が刊行された、やはり入手しやすい作品。旧訳は「なのだ」が特徴的だったが、新訳はどんな感じなのだ。隙間に染み入ってくるような嫌ぁな心理サスペンスという味は薄め。秋田度数も低め。

2015-12-03 00:45:58
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4488247032 「心憑かれて」9歳の少女に惹かれる32歳の男…という粗筋で紹介されてるがそういう話とはちと違う。ちゃんとした兄と社会的にダメな弟の話です(もっと違うだろ!)。ところであれ、ハッピーエンドなんですかね。

2015-12-03 00:54:17
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4150012598 「これよりさき怪物領域」お待ちかね、エンハウやペパムンの元ネタたる空白の地図だよー。ミラー作品の特徴は、事件は既に起こっていて物語はもはや手遅れとなった結末を描くのみ…とはいえ殆どが法廷シーンてのも斬新ではなかろか。

2015-12-03 00:59:29
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4150012997 「明日訪ねてくるがいい」突出したイヤ度を誇る、アラゴン弁護士シリーズの第一作。夫を介護して暮らす女性から「最初の夫の行方を捜して欲しい」と依頼されメキシコとアメリカをいったりきたり。本じたい古いうえに秋田濃度も低い、が面白いんだぜ。

2015-12-03 01:10:10
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4488247040 「ミランダ殺し」アラゴン弁護士、またもや傍観者で終わるの巻。ラスト一文にインパクトをこめるミラー作品にあって、読者が「読む」ことで完成するという極まりよう。ユーモア小説らしいが、これ本当に笑っていいのか。

2015-12-03 01:14:23
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4488247059 「マーメイド」アラゴン弁護士、行動に出るの巻。ただ残念ながら君の出番これで終りなのよね。自分の権利を知りたい、という昔で言う「白痴」のヒロインクリーオウが巻き起こす悲喜劇とは。渦巻き金髪娘がお好きな向きの感想をぜひお聞きしたい。

2015-12-03 01:23:59
きさだ @kisadalog

amazon.co.jp/dp/4150722021 「鉄の門」一体何が起こっているのか?謎が謎のままストーリーがゆったり進んでいたのが一転して怒涛の真相暴露、まではいつものミラー。エピローグで転調を起こし孤独と寂寥が漂うのは初期作品ゆえだろうか。

2015-12-03 21:27:58
きさだ @kisadalog

こんな感じでどうざんしょ。紹介ってのもあるけども、どれがどんな話だったという自分のための備忘録としてもつぶやいてみた次第。

2015-12-03 01:25:39