ウェブリング、メル画、バトン…半径5メートルの思い出を語る「平成女子ネット史(仮)」
「平成ネット史(仮)」がNHKで放送され、怒涛のネット文化の変遷を懐かしく思い出した人も多いと思います。しかし、我々平成オタク女子には、もっと身近でもっとクローズドな「インターネット」の世界がありました。これまであまり語られてこなかったその狭い世界の思い出を、平成最後に振り返ります。
平成をインターネットとともに生きた女オタクを集めました
社内の人に「オタクですか?」と聞いて回るという最悪の方法で、インターネット関連の後ろ暗い黒歴史を持っている女子を召喚することに成功しました。年齢的にもいい感じに平成初期〜後期をカバーできそう。今回参加したのはこの4人。
シソゆかり:アラフォーです。大学生くらいから本格的にPCに触り出してパソコン通信という世界があることを知り、今に至るという感じです。「平成ネット史(仮)」を見ていて、なぜあの時代を取り上げないんだ?ということがあったので今日は代表して言います!
犬クリームパン:今回の記事を企画した、平成3年生まれの27歳です。初めてHPを作ったのは小学生の頃で、お父さんに頼んで飼ってる犬のHPを「ジオシティーズ」で作って、散歩ルートの地図を載せていました。個人情報もなにもないですね。
わたあめ:平成8年生まれの22歳です。幼稚園のころ、お母さんの膝に乗って代わりにタイピングをしていました。中学生の頃からオタク的なジャンルにハマって、pixivで作品を公開したりなどしています。
ピリ辛ペペロンチーノ:平成11年生まれの19歳です。小学校の頃、母親がブログにハマっていて、私もそれを見ていたのがネットの一番古い記憶です。中学生の頃にTwitterを初めて作って、ハマったジャンルごとにアカウントを作ったり消したりしていました。
<目次>
- まだ女性が珍しかったパソコン通信〜インターネット黎明期
- セキュリティが頑丈だった個人サイト時代
- 「夢小説」が隆盛を誇ったケータイサイト時代
- 「メル画」的なものは今でもある
- ニコニコ、pixivでオタク文化が白日のもとに晒された時代
- Twitter登場、「繋がる」ことが普通に
- LINEの浸透と今も昔も変わらない女子
まだ女性が珍しかったパソコン通信〜インターネット黎明期
年代を追って話して生きたいんですが、みなさんパソコン通信とかわかりますかね…?
・・・?
わかる人いないですよね(笑)。
簡単にいうとワープロ専用機っていうものがあって、一部の上位機種だと通信機能がついていたんですよね。私はそれに気がついて、面白そうだなって思って目をつけたのが「ニフィティサーブ」。ニフティサーブの会員が集まる「フォーラム」で、荒れるとかありえないくらい真面目な会話をしていました。ただ、女性はすごい少なくて、男性100人いたら女性が2,3人くらいなので、女性とわかるとすごいことになっていました。
すごいことって…?
ちやほやされます。割と毎週いろんな人におごってもらえたり。でも、今みたいにドロドロはしていなくて、実際に会ったら「自分はこういうものです」と自己紹介してくれて、名刺をくれたので身元もはっきりしていました。
なんかすごいクリーンですね。今では考えられない。
私の周りの人がたまたまちゃんとした人だったのかもしれません。今だと全然めずらしくないんですけど、その当時の知人で、パソコン通信で知り合って結婚した人がいて、今その二人の子供が高校生くらいだそうです。ただ、恋愛沙汰でもめることもしょっちゅうでした。
え〜…その頃から…
ストーカーという言葉がなかった時代ですが、ストーカー的なことをする人もいて。特定の女性がログインしたらログインして、ログアウトしたらログアウトして…とか、そんなことがそこら中であって、そういう恋愛のいざこざが原因で同年代のコミュニティは解散しました。
そして、Windows3.1が1991年。ようやくインターネットの話になってきますね。
その頃は「ジオシティーズ(1997〜)」で各自HPを作って、身内で巡回したりする馴れ合いのようなことをやっていました。2019年3月末にジオシティーズがサービス終了するって知って感慨深かったのですが、まだサイトにデータが残っていたのでこの前急いで引き上げました。当時、アイコンをクリックしていくと同じジャンルの別のウェブにランダムで飛んでいく「ウェブリング」という仕組みがあって、みんなやっていましたね。ただ、私は特殊な遍歴なので、同世代の方はこれが普通ではないと思います。
セキュリティが頑丈だった個人サイト時代
90年代後半〜00年代初頭の「個人サイト」は女性向けネット文化としてはかなり重要かなと思います。この頃、女性オタクといえば個人サイトを持っているのが普通で、当時人気だった女性向けWEBサービスとしては「お絵かきチャット(1997〜)」「OekakiBBS(2001〜)」「WEB拍手(2002〜)」などがあります。主にジャンルごとに個人サイトを持っていて、例えば「封神演義」のイラストを載せるサイトをHTML手打ちで作って、BBSとか貼って…っていうのをみんなやってたんですけど、こういうのって私より下の世代はわかるんですか?
「キリ番」とかですよね。小学校〜中学校くらいに見てました。
「同盟リンク」とかもありましたよね。サイトに検索除けをして、同盟のリンクからだけアクセスできるようにするっていう。
そうですね。そういうサイトはBLの二次創作が多く、やっている側も「これは誰にでも見れる状態だとヤバイ」という認識が強かったので、検索除けは普通でした。
検索除けをしてないサイトが、検索除けをしてるサイトのリンクを貼ると叩かれる、とかそういうのがあった気がします。
あとこの頃の個人サイトはセキュリティが固くて、よくあったのが入り口のパスワードですよね。ジャンルによって違うんですけど、知ってる人じゃないと絶対に入れられないパスワードを入れなきゃいけないという…
キャラクターの誕生日とか、カップリングに関係する数字とか……ですよね……(頭を抱える)
あと隠しエンターもありましたよね。インデックスにサイトに入る前の注意書きが長々と書いてあって。直リンク禁止とか。それをちゃんと読まずにダミーエンターを押すとYahoo!のトップページに飛ばされる。
見つけにくいんですよね!ちっちゃくて。
すごい下の方に本当の入り口があったりするんですよね。裏ページ(※成人向けの内容が載っていたりする)への入口が隠されてるサイトもありましたね。
オタク文化とはズレますが、私の体験としては「ふみコミュ(2000〜)」が女性向けサイトとしてはかなり大手だったと思っています。女子小中学生が見てるポータルサイトって感じですかね。お絵かき掲示板とか、チャットとか、今で言う「がーるずちゃんねる」的なスレッド機能とかなんでもあって。あとプリクラを貼ったりとかもできました。今も現役で動いてるようですが見た目が全然違いますね…
「前略プロフィール(2004〜)」もこの頃ですかね?プリクラ貼ってる人多かったですよね。
「夢小説」が隆盛を誇ったケータイサイト時代
ここからケータイサイトの時代に移っていきます。2006年にサービス開始した「魔法のiらんど」が女性向けとしては代表的ですかね?夢小説のイメージが強いです。
携帯小説も流行ってましたよね。
「恋空」ってこのころですか?
一同:懐かしい〜!
実話系のネット文学は、男性版が「電車男」なら女性版は「恋空」って言う認識です。今だったら「嘘松」って言われますよね。
「forestpage(2003〜)」って分かりますか?
あ〜!
???
夢小説が作りやすくて、名前を入れられるんですよね。
やめて〜!
あと夢小説といえば「noichigo(2007〜)」がすごかったです。歴史物とかだと、歴史上の人物の登場する年代が明らかにおかしくて、え〜…と思いながらも読んでいました。中学レベルの知識で分かるような甘さが…。
私はイラストレーターの「カナヘイ」をパクった待ち受けとか描いて友達に配ってました。あと「古着画」とかも流行ってました。原色の背景にZipperとかの読モをコラして、歌詞を乗せて…みたいな。
「一期一会」と似たものを感じますね…
「メル画」的なものは今でもある
携帯といえば、「メル画」とか、ありましたね…
メル画って一番最初どこから始まったんでしょうね?どの段階までみんな本気だったのか知りたい。
中学生の頃、テスト前に友達が、私の好きなキャラが「テスト頑張れ」って言ってるメル画を作って送ってきてくれたことあります…
それなんのキャラですか?
………………「ヘタリア」の…イギリスです…
ヘタリアのイギリスが、「テスト頑張れ」と…
(死)
私それ、高3の受験の時にLINEでやったことあります。お互い「刀剣乱舞」のキャラの名前にして励まし合うっていう。
それはやっぱり、受け取った側は嬉しいんですか?
めちゃくちゃ嬉しいです!
本気でしたよ、こちとら
友達にLINEのたまごっちの名前を「高橋一生」にして「おなかすいた」とか「うんち」とかの通知見て喜んでる人いるから大丈夫ですよ。
時代が変わっても何も変わってない…
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