うちのこ SSまとめ

もちもちまっちゃ @maccha201

憎むべきは悪だ、純白に浮く一点の染みさえ許さない、等と言えるほど自分は綺麗じゃない。恐らくは自分自身がその染みなのだろう。けれどきっと誰も知らない。知られてはならない。必死に隠したその色を。果たして正義は白なのか。黒が悪だと誰が言った？【言えないことば】ジークデック=セイルグレイ

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子を溺愛する親は謝罪などさせなかった。優しい友は何も言わず何も聞かずに許した。ならば私は、誰に、謝ればよいのだろう。誰が、私の言葉を聞いてくれるのだろう。色のない言葉だけが溢れ出て、残された色が混ざりあって黒くなる。私の中で。黒く、黒く。黒く。【侵食することば】赤坂シイナ

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いいのです。何も言わずともわかるのですから。いいのです。あなたの気持ちはわかるのですから。例え貴女が僕を騙していたとしても、僕にとってはそれが真実なのですから。貴女が烏を白というのなら、それは白なのです。【塗りつぶされたことば】セシル=ランドール

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私が生きてる今この瞬間にどこかで誰かが死んでるのかな、なんて考えた。自分にはどうしようもない所で今日も誰かが死んでいく。でも誰かが死んでくこの瞬間に、また誰かが生まれていくのかな、なんて考えると、前向きになるような単純な私だから。聞かせてよ。【君のことば】榎本サツキ

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どれだけ叫んだって誰も聞いてくれないのだから、もう叫ぶ必要もないでしょ。本当は、なんて、側にいてくれたら、なんて、なんて、なんて単純で明快でありきたりなの。なのにどうして屈折して複雑に絡み合うの。どうしてこんなにも歪んでしまうの。【素直なことば】神宮アヤメ

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おはようっていうと私は神の遣いだっていう。バカっていうと誰に口を利いてるんですのっていう。ごめんねっていうと土下座なさいっていう。何様でしょうか？オレの妄想です。今日も頭の中で彼女が騒ぐ。オレも騒ぐ。みんながひく。小さな頭痛にももう慣れた。【反響することば】トスティ

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自分の手が冷たいなんて言われるまで気がつかなかった。そういわれてみれば私の手は冷たいのかもしれない。 意識してみると私に触れる彼の手は熱いくらいで、脈動と、柔らかさと、力強さと、ああ、そうか、 「君は生きてるんだねえ」 当たり前の話、なのだけど。/赤坂シイナ

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トスティ「赤坂先生ってなんで医者になったんスか？」赤坂「臓器がすきだから」「いや、あの」「臓器が見れて手術ができる。自分の好きなことをしてお金が貰えて、おまけに人命まで救える。なんという天職だろうか」「……人命を救うのはおまけなんスね」

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アヤメ「先生のペット(研究用)のガマガエル19256号をヘビに食べさせたら、先生が口を利いてくれなくなりました。これは怒ってるのか悲しんでるのかどっちなのでしょう。」

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アヤメ「人間っておいしいのかなあ」赤坂「突然どうしたんだい」「なんとなーく気になっちゃって」「ふーん」「先生って普通に人間とか食べてそうだよね。どう？」「少し肉が固いかな」「へーそうなんだ」「……」「……」 サツキ「う、嘘ですよね……？」

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赤坂「なら、アヤメは私が死んだらどうする？」アヤメ「先生って死ぬの？」「死ぬよ」「んー、じゃあ先生が死ぬ前に私が殺してあげる」「恐ろしいな」「だって罰だもん」「罰？」「先生今日お弁当残したでしょ」「それは、いや、うん。すまない」

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アヤメ「もし私が死んだらどうする？」赤坂「葬式にでる」「それだけ？」「墓参りに行く」「生き返らせるとかは？」「出来るわけないだろう」「それがわかってるのに、先生はどうしてこんなことするんだろうね」「さあね」「本当にどうしようもないね」「そうだね」

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姉宮「藤岡って たんじょーび いつ？」藤岡「１月ですよ」姉宮「くるみんは？」来箕坂「えー、9月」藤岡「えっ！？来箕坂さんにも誕生日ってあるんですか！？」来箕坂「藤岡テメーちょっと来い」

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アヤメ「総司令ってさー、怒ると大地を揺るがし、海を割り、空を裂くってホント？」総司令「誰が言ったんだ」アヤメ「榎本先輩」総司令「……」アヤメ「ホントにできるの？」総司令「おう。できるぞ」アヤメ「えー、きもーい(笑)」総司令「怒るぞ小娘」

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退屈だ。同じ毎日、変わらない毎日。退屈な日々を繰り返すのはとても面倒くさい。面倒なことは嫌いだ。退屈で面倒なこの日常を誰かどうにかしてくれよ。なんて思ってたあの日々が恋しい。耳の奥でキンキンと鳴り響く音を聞きながら俺は一歩、足を踏み出した。【面倒/ トスティ】

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ヒーローになりたい。誰かを救うヒーローになりたい。私の持つこの刃は何かを守るためにあるんだって。思ってた。初めて人を傷付けて、私は怖くなった。赤が、音が、声が、重さが、痛みが。どうして普通じゃないんだろう。放せない刃を握りしめ、普通になりたいと呟いた。【夢 / 榎本サツキ】

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好きという理想を飾る。そうすると世界が少し輝いた。好きという言葉を飾る。世界がもっと輝いた。好きという想いをを飾る。世界がもっともっと輝いた。愛という理想を飾る。愛という言葉を飾る。愛という想いを飾る。飾って飾って飾っていったら世界は壊れてしまった。【愛 / 神宮アヤメ】

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薄暗い水底から水面を目指してもがく。水を含んだ衣服が重い。うまく動けない。上はどっち？下は？ 霞がかった思考ではもうなにもわからない。いや、初めからわかっていなかった。 息が、息ができない。もがくのをやめた。 ねえ、私は何を目指していたのだろう。【光 / 赤坂シイナ】

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この牢にはこの鍵だってボクは全部把握してる。把握してるんだ。だけど、どれだけ探してもキミの牢の鍵がみつかんない。ないんだ。どこにも。 ボクはキミを釈放できないまま、今日もキミがいた牢の前で唇を噛んだ。 【藍沢遥香】

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あの子は白線の向こうに行ってしまっていた。それに気付いたのはつい最近のこと。危ないよ、と声をかけたときにはもう遅くて、あの子は崖からその身を投げたんだ。 ずっと隣にいた筈なのにあの子が落ちる瞬間まで気がつけなかった。 せめてもの罪滅ぼし。崖下であの子の骨を探し続ける。 【堀帝】

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私の言葉が貴方に届くのはいつになるのでしょうか。貴方に伝えるべき言葉をいつも喉の奥で反芻する。 遠回りした言葉はあちらへこちらへぐるぐる回って絡まわった。 複雑に絡まってしまった糸は鋏で切るしかないのでしょうか。 【藤岡信太郎】

もちもちまっちゃ @maccha201

どくり、どくり、と、私を急かすように責めるように心臓が脈を打つ。酸素が足りない。音が脳に響く。うるさい。視界がぶれる。 霞みがかる思考の中で 「さあ始めようか」 と、音が糸を揺らして、私の感覚を遮断した。 【来箕坂可奈子】