加賀さん観察日記 Part35

キタユキ @k_t_y_k

執務室に電話をかけるとビスマルクが出た。こちらが現状を説明すると『ああ、そう、なるほどね……』と独りごち、大きく溜息をつく。 『申し訳ないけど、私はいけないから。加賀と叢雲にでも行ってもらって頂戴。いや、いいわ。私が送るメンツを見繕うから』 #加賀さん観察日記

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『声かけるから教えて。どの艦種が何隻必要なの』 ビスマルクは続ける。いつもなら「他の誰かに頼んだら」と突き放してきそうなのだが。とりあえず来てもらえそうな面々の名前を伝えると、承諾の返事。その後すぐ、通話は終了した。彼女が来れない理由を聞く暇すらなかった。 #加賀さん観察日記

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ほどなくして建物から艦娘達が出てくる。皆コートや半纏を着込み、暖かい屋内を忍びながらまばらな歩みでポートに近づいてきた。やってきたのは五人。日向、北上、足柄、綾波、ヴェールヌイ。プラス、いつもの二人。加賀と叢雲。に加えて、呼んでない二人と一匹。鹿島酒匂長門。 #加賀さん観察日記

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メンバーを再確認すると、呼んだ面々も何か顔ぶれがおかしい。明らかに呼んでない人がきている。あれ、金剛は？ 「うーん、なんかどこにもいなかったし、急ぎだから代理できてもらったんだけど」 北上は横を見る。 「海外の瑞雲生態調査と聞いた。私も同行しよう」 日向院。 #加賀さん観察日記

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あと駆逐艦はヴェールヌイだけだったのだが、もしや瑞鶴は。訊ねるとヴェールヌイは黙って首を振る。 「他の空母に応援要請したけど、葛城ぐらいしか手を挙げなかったよ」 で、その葛城は……。 「艦載機を飛龍さんから貸してもらおうと奮闘中です！」 綾波が答える。 #加賀さん観察日記

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他はというと足柄は畑から直行してきたといわんばかりの作業姿で、加賀は着る毛布で芋虫状態、叢雲は人のコートをパクっている。見た目はどうあれ真面目に来てくれたので天に感謝しよう。 それはいいけど鹿島はなんで来たの。いない間の事務仕事してくれるんじゃなかったの。 #加賀さん観察日記

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「ダメなんですか？」 いやダメっていうか仕事してほしいんだけど…… 「たまには提督さんの同伴もしたらどうって師しょ……あ、いえ！私もたまには海外研修もしなきゃなって思ったんです！フフ♪」 「さかわもいく！かいがいいくー！」 どうしてもついていくという姿勢だ。 #加賀さん観察日記

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絶対言っても聞かなそうなので、とりあえず今いるメンバーでどうにかすることにした。妹を説得してバリア設定を艦娘が通れるように戻してもらうまでは帰れないと３～４回説明したが、「イベントの札みたいなもんでしょ」と軽く受け流されるし、心配しかない。 #加賀さん観察日記

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本当にこのメンツで大丈夫なのか？呼んだ自分で言うのも何だが、いつもに増して不安すぎる……ポートをくぐる艦娘達を見ながら、先の見えなさに胸が逸る。誰が吹いてるのかは知らないが、窓ガラスの外からは間の抜けたトランペットの演奏が聞こえ、余計に不安を煽るのだった…… #加賀さん観察日記