『ウォーロック』誌を初めて読んでみた
実は『ウォーロック』誌って読んだことがなかったので、休みの日に国会図書館でちまちまと読んでいたのだが、ようやく全号に目を通すことができたのでちょろちょろと感想を書いていくよ。
2016-11-12 22:12:44最初は社会思想社オンリーの雑誌かと思っていたので、予想以上に他社のゲームブックやTRPGもガンガン紹介していて驚いた。会社の垣根を飛び越えて広告をバンバンのせている辺り、自分たちがTRPGを盛り上げるんだ!って意気込みを感じられてめっちゃ熱い雑誌だ。
2016-11-12 22:14:59にしても、初期号の裏表紙が本気で垢抜けてなくて草生える。下地が黄色単色で文字ばっかり、自社の本の表紙写真が隅に小さく載っているだけとか、今なら絶対に許されないデザインですわ……。
2016-11-12 22:18:59この裏表紙を見るに、社会思想社って本気で雑誌作成のノウハウがなかったんだろうな……89年くらいから裏表紙がコミックコンプの広告になると、一気に普通の雑誌っぽくなったが、本当にそれまでのデザインはアレだよ。
2016-11-12 22:21:24ジョン・ブレナン作品ってサタスペを読むまで全然知らなくって、それなのにゲームブックファンの間ですごい知名度が高いのが不思議だったんだが、『ウォーロック』で激賞されていたのね。読者投票の好きなゲームブックランキングで上位に入賞しているし。
2016-11-12 22:24:02ソードワールドもソロアドベンチャー形式で本を出す予定があったとの情報があってびっくり。内容はラムリアースの王位継承権をめぐる話とのことで、後々の『ファーラムの剣』や『魔法戦士リウイ』なんかにつながる話だったのかしらん。
2016-11-12 22:39:40デビュー前どころかたぶん学生時代の速水螺旋人先生の投稿イラストが載っていておおってなる。ケンタウロス娘の腕にキルマークとして正の字が書いてあるのを見て、この頃から既に尖ったセンスの持ち主だったんだなぁと、ちょっと感激。
2016-11-12 22:59:07最初は『バッファロー・キャッスル』目当てで読んでいたんだけど、それ以降の号もケンセントアンドレらへのインタビューや、ルールフ大陸のワールドガイド、ダークスモーク島を舞台にした小説など興味深い記事が多かった。ルールフ大陸の地図がブック3のと微妙に違っていたがな!
2016-11-12 22:30:43『バッファロー・キャッスル』は序文の「アラスカに住んでいて、『T&T』のような、みんなで楽しむゲームをいっしょにしてくれる人がいない、ひとりぼっちのデニス・ホール君。君たちのための冒険だ」ってのを読んで、ちょっとホロってなった。
2016-11-12 22:33:03でも最初に読んだ時は「アラスカに住んでいて」の部分を読み落としていて、名指しされたデニス・ホール君かわいそすぎんやろ!って思ってしまった。ごめんな、デニス・ホール君。強く生きろよ、デニス・ホール君。ほぼ間違いなく年上の人だけど。
2016-11-12 22:35:56T&T製作者インタビューは「笑ってるってことは楽しんでいるってこと」「これは君のゲームだから、ルールがうまく機能しないと思ったら、好きに変更していいよ」「T&Tで大事なのはスピードで、これを失うようなことはしたくないわけ」など名言多し。
2016-11-12 22:42:48「なんでこんなに多くの種類のダイス使うんだよ。俺6面ダイスしか持ってねぇよ!(大意)」から始まってT&Tを自作し、「これは君のゲームだから、ルールがうまく機能しないと思ったら、好きに変更していいよ」に至ったケンは「私は好きにした。君たちも好きにしろ」精神のマジ体現者
2016-11-13 19:39:51この辺のハウスルールを歓迎する姿勢は、公式に6版が存在しないことにもよく表れていると思う。デザイナー曰く、世界中のプレイヤーが作ったハウスルールこそが6版なんだよ!とのことなので。
2016-11-12 22:47:12個人的にこのハウスルールによる調整を上手く取り込んだのが、T&T完全版の完成度を高めた一因なんじゃないかと考えている。結構フォラームなんかでファンから意見集めていたみたいだし。
2016-11-12 22:52:15ベセスダが『FALLOUT3』や『オブリビオン』なんかで、ユーザーにゲームを拡張するMODを作ってもらい、その成果をフィードバックすることでゲームを進化させてきたみたいなもんでさ。
2016-11-12 22:55:06リズの「たぶん10年後もみんなおんなじようにして遊んでいるんじゃないかしら。ずっと一緒に遊べる友だちがいるのが一番の財産だと思うわ」という言葉に感慨にふけると同時に、25年以上たった今もケンやピーターと一緒にT&T遊んでいますよって教えてあげたくなる。
2016-11-13 19:43:50シナリオフックにしてT&T世界における酒場のサンプルとなる黒龍亭の一夜も良記事。NPCのマレクって『恐怖の街』の盗賊ギルドマスターだよね?とか、ビール1杯と残り物のシチューで2.5GPもとるのかよ!とか、メニューのサケ(sake)って日本酒じゃないか!ってなる。
2016-11-13 19:49:08でも一番戦慄したのは店内で行われているロシアンルーレット系ゲームの記述で「わたしの知っている態度の大きなメガ・キャラクター(※強化されすぎて手の付けられなくなったキャラ)は、一人ならずこのゲームで人生を終えることになりました」ってサラっと書いてあるところ。
2016-11-13 19:52:23後述する「カザンの戦士たち」でも、最初期に作られたキャラのシーウルフがカザンの闘技場で激戦の末に戦死しているし、アメリカ人のプレイスタイルってマジ容赦ねぇ……ってなる。
2016-11-13 19:56:21ワールドガイドの「カザンの戦士たち」も面白い記事だが、付属地図がブック3と違っていて困惑。あと、縮尺が1㎝114㎞とかあって、そんなにデカかったのかってなった。カザン-コースト間で600㎞くらいあるんですけど……でも1日30㎞移動で20日と考えれば妥当かな?
2016-11-13 20:00:22「種族による差別はカザンでは厳格に禁止されています」「全人口の三分の二ほどの者は訓練を受ければ魔法を使える能力を持っています」「ドワーフは女も髭が生える」などの記述は完全版にも書いてほしかったな。特に魔法使いの数についての箇所。
2016-11-14 21:05:34あと5版時代のソロアドからも薄々感じていたんだけど、ケンセントアンドレのバルログ愛が熱い。わざわざ「バクシのアニメ版バルログじゃ満足できねぇんだよ(大意)」って書いちゃうくらいに熱い。ピーター・ジャクスン版の感想とかちょっと聞いてみたい。
2016-11-13 20:05:27一通り読んでみた結果、一番好きな記事は毛島船氏によるT&Tシナリオでした。日曜午後に読んですぐプレイできる!というコンセプトで2~3ページに収まるミニシナリオとか、読んでいて「そうそう、それだよ!」って気分になったよ。
2016-11-12 23:02:49トロールストーンの洞窟をやった後、どんなシナリオをやればいいのか分からない読者や、忙しくてシナリオを準備できない読者向けに3~5時間でサクッとプレイできるミニシナリオと、話を広げるためのシナリオフック案とか、滅茶理想的な記事なんですけど!
2016-11-12 23:05:37その縛りを入れた上で毎回色んな趣向をこらしたシナリオを作成しているのがまた良し。全滅したパーティー向けの復活用シナリオとか。このくらいの強さのパーティー向けだよという記述も毎回序文に書かれていて、バランスを調整しやすいのもグッド。
2016-11-12 23:12:56