クラウドファウンディング映画における、エンドロールに名前を入れてもらえる条項が、映画ファンにとって魅力的となる理由

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生命情報保存研究所 @rodan670

アニメ映画「この世界の片隅に」作成のため行われたクラウドファウンディングでは、3374人のサポーターが3900万超の出資を行った。単純計算では一人あたま1万円。映画の入場料が1800円であることを考えると決して安くない。ただそこには、映画ファンなら必ず納得させられるからくりがある

2016-12-05 23:01:01
生命情報保存研究所 @rodan670

ファウンディングの舞台となったサイト「Makuake」における記述を見るに、10800円の出資を行うと、映画のエンディングロールに自分の名前をクレジットしてもらえるのだという。コアな映画ファンなら、この条項には必ず心を揺り動かされる。

2016-12-05 23:03:52
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出資に値する、自分が興味を抱いた映画ならなおさらである。 それは何も、目立ちたがりの心理からくるものではない。そもそも大多数の人間は、映画のエンドロールに掲げられた人名や企業名を細かく追っているわけではないし

2016-12-05 23:05:47
生命情報保存研究所 @rodan670

その上で知人などに「あの映画のEDに自分の名が出ている」などと吹聴するのはむしろむなしい部類に属する。映画ファンがこれに悦びを覚えるのは、自己顕示的なものではなく、映画と一体化できた満足感からきている。

2016-12-05 23:11:36
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これは色とりどりの衣服や旗を身にまとって、スタジアムに駆けつけるサッカーファンの心理とある程度通じるものがあるかもしれない。サッカーの試合をテレビで視聴していて気がつくのは、フィールドの上でボールを動かしている選手たちのみならず

2016-12-05 23:15:22
生命情報保存研究所 @rodan670

その周囲でゆれているファンたちを含めて試合という現象が成立しているという、視覚上の事実である。サッカーファンがあえて現地に駆けつける背景には、単に臨場感を得たいというだけではなく、自らもまた試合の一部と化したいという心理が少なからずある。

2016-12-05 23:18:01
生命情報保存研究所 @rodan670

クラウドファウンディング方式で作られる映画は、エンドロールの枠を使って、映画の視聴者にもこの楽しみを提供しはじめている。 「お金を払うことで映画の製作者達に紛れ込むのか?」 と眉をひそめる者もあるかもしれないが

2016-12-05 23:27:00
生命情報保存研究所 @rodan670

これまでの通常の映画でも、スポンサー企業の名がクレジットされてきた事実を考えれば、クラウドファウンディングの出資者達は決して恥じ入る必要はない。どちらもスポンサーであるところの、企業名が個人名に置き換わったに過ぎない。

2016-12-05 23:28:31
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映画は同時に極めて優れた情報保存装置でもある。 BSやケーブルテレビがメインの土壌とはなるが、今日においても、戦後直後の白黒映画が放映されることは往々にしてある。同じ映像作品であってもたとえばテレビ番組上のそれよりも、経時後の回収率は高い。

2016-12-06 00:05:12
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そしてそれを視る際、人は時代遅れの古臭いガラクタではなく、当時の風景と世相とを記録した資料として視聴する。映画には時の経過を無効にする魔力が本質的に備わっている。

2016-12-06 00:10:02
生命情報保存研究所 @rodan670

よってエンドロールにその名を刻んだ映画ファンは、情報の形で無限の時空を生きることができるのであり、またそのことを当人自身も理解できている。よって映画ファンならクレジット入りに一定以上の価値を見出す。

2016-12-06 00:20:40
生命情報保存研究所 @rodan670

「この世界の片隅に」のごとく、後世に語り継がれるレベルの名作となるととりわけに、である。 この映画のここまでの成功が予期できていなかった段階で出資したファンの中に、現在その投資を公開している者はほとんどいないものと想像される。

2016-12-06 00:23:37
生命情報保存研究所 @rodan670

そして、そのような出資者達の現在をうらやましく感じる映画ファンたちが現れだすようならば、クラウドファウンディング形式により作成される映画は今後より一般的となるかもしれない。

2016-12-06 00:25:40