ジャーナリスト・江川紹子さんの「3/1陸山会事件裁判傍聴記」
- toshihiro36
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17)再開された取調べ、前田検事は怒気を含んだ口調で「小沢さんは俺たちに嘘をうちた。俺たちは資料を全部持ってるんだ。小沢さんはもう終わりだ。ご無事をお祈りしますよ」と言った。大久保氏は動揺した。「これから小沢先生の逮捕に向かって捜査が進んでいくんじゃないかと、心配になった」
2011-03-01 20:57:3718)なお、前田検事は他の検事と違い、取り調べの時には事務官に席を外させ、1対1で調べを行い、自分で自分のパソコンにPS原稿を打っていった。事務官は、PSができ上がってプリントアウトする時に呼ばれて戻ってくるのが常だった、という。
2011-03-01 20:59:1419)PS原稿作成時の前田検事の様子。「作家の時間だから。司馬遼太郎みたいなものだよね」と言い、黙々と作業していた。体は大きいがパソは小さくB5版。時々、突然右手を挙げて大久保を指さし「ここで大久保さん登場!」「これは大久保さんの発言ね」と叫ぶのでびっくりした。
2011-03-01 20:59:2720)証言台の前に座った大久保元秘書は、PS原稿を打つ前田検事の動作を再現。裁判長は困惑して、「この動作を記録に残るように、説明して下さい」と弁護人に要請。どうせなら、写真を撮って添付すればいいのに…にゃ。
2011-03-01 20:59:4521)弁護側が前田検事について質問している最中に、検察側は異議を出して前田絡みの質問を終わらせようとした。前田作成のPSは出ていないから、と検察側。弁護側は、「石川PSは証拠に出ているので、その任意性や信用性を争うのは当然」と。激しい応酬の後、裁判官は別室で合議に入った。
2011-03-01 21:01:1622)裁判長は検察側の異議を棄却し、相被告人のPSの任意性や信用性に関連する範囲内で、と条件をつけて続行を認めた。それでさきほどのような事実が明らかになった。(続く。けど、とりあえず一休みだにゃ)
2011-03-01 21:02:1623)1月23日の小沢氏の記者会見の後、前田検事から「小沢氏の自宅の家宅捜索は避けられない」などと言われた大久保元秘書。「我々秘書が小沢先生に信頼され、任されていた報告書のことで捜査を受けるに至った。本当に申し訳ないと思った。さらに、小沢先生が逮捕されるようなことになれば
2011-03-01 22:26:564)日本の政治に重大な影響をもらたしてしまうと心を痛めた」と。それもあって、検察側の筋書きを認める調書に、初めてこの日にサインしてしまった、と。
2011-03-01 22:26:5825)大久保元秘書の説明によれば、小沢氏の事務所では、東京にいる第一秘書が会計責任者となるのが慣例だったので、大久保氏がなったが、実務にはノータッチ。政治資金報告書には大久保氏の名前が書かれているが、それは彼の筆跡ではない。実は池田元秘書が書いたもの。
2011-03-01 22:27:3324)にもかかわらず、一昨年3月に西松建設事件で逮捕された時に、「私の筆跡であり、私の印鑑を押印しました」と認める調書にサインしている。その理由を大久保氏は「思いもよらない逮捕をされた。なんとか(小沢事務所の他の人に広げず)私だけで終わらせたかった」と述べた。
2011-03-01 22:27:3725)この点、検察側質問の時にさらに詳しく答えた。「当時は小沢先生が民主党代表。後で無罪になっても、我々がどんどん逮捕されれば、小沢先生、同志の先生方に迷惑をかける。政権交代をがんばれと言って下さる支援者にも迷惑。早く捜査を終結して欲しい。逮捕が広がって欲しくない。そう思った」
2011-03-01 22:29:0326)さらに検事が「あなたが政治資金報告書についての報告を受けていた、とすると石川、池田両被告人にどういうメリットがあるのか。あるいはデメリットがなくなるのか」と質問すると、大久保氏は色をなしてとうとうと反論を始めた。
2011-03-01 22:29:2627)「『任意の事情聴取に応じて下さい』と電話があったので全ての予定をキャンセルして行ったら逮捕された。何かの謀略じゃないかと思った。これから政権交代という時期に何でだ、これ以上広がらないようにしたい、と思った。個人的なメリット、デメリットという問題じゃないです!」
2011-03-01 22:30:0428)ここまでは声も大きかった大久保元秘書だが、検察側がゼネコンなどとの関係に話を進めると、急に歯切れが悪くなっていく。尋問担当の小長光検事はなかなかの切れ者。言葉は丁寧で柔らかく、「引っかけ」尋問もなく、時には笑みを浮かべ、最初はリラックスさせておいて、いきなり急所を攻めた。
2011-03-01 22:30:3929)検「H12年7月以降、建設会社からの陳情をあなたが受けていましたか」大「はい」検「具体的には?」大「そんなに多くはないが、いくつか、時々、こういう工事が将来あるので何とかなりませんかみたいなのを時折受けました」。さらに建設会社の東北支部長らの調書を次々に引用。
2011-03-01 22:30:5330)例えば清水建設が下請けのパーティー券購入の減額を言ってきた時のこと。大久保氏に「なんだと!急に掌を返すのか。あの清水がたった20万とはお話にならない」とどやしつけられた、と支店長。それについて大久保氏は「従前通りの金額を維持したいと思った。どやしつけたかは疑問。
2011-03-01 22:31:1031)ただ、担当者が変わったら出来が悪くなったと(小沢氏に?)思われたくなかったので虚勢を張ったところはあると思う」と。また、大成建設が建てたビルの1フロアを購入するはずだったのに断られ、「この件でもうダメです。もう奥座敷に入れさせない」と副支店長に啖呵をを切った、とのPS
2011-03-01 22:31:3732)大久保氏の弁明。「悔し紛れもあった。前の担当者の時にそういう話になっていたのに、私に代わったらできなくなるというのでは情けなく、悔し紛れもあって、今考えれば失礼なことを言ったかもしれない」。
2011-03-01 22:31:5333)その後、大成の副支店長が交代。すると大久保氏は「関係修復したい。年間2000万くらいでどうですか」とを図った、と。大久保弁明「どういうことを言ったか思い出せないが、関係修復はしたかった。選挙があれば票も協力をお願いしたい。会えなくなると選挙が苦しい」と
2011-03-01 22:32:0834)他に大林組、鹿島建設の関係者の調書を次々に突きつけ、大久保氏が威圧的態度でゼネコン各社に献金を働きかけたとする尋問が続いた。よく考えると、これらは起訴事実とは直接関係ないのだが、大久保氏や小沢事務所と建設会社の関係の”不適切さ”を「背景事情」として印象づける作戦らしい。
2011-03-01 22:32:2535)大久保元秘書の声は先ほどと打って変わって小さくなり、聞き取りにくいことも。この歯切れの悪さもあいまって、ダーティなイメージを作る検察側の作戦は、かなり効果的だったのではないか。明日の新聞は、前田検事の取り調べに焦点を当てるのか、それとも「背景事情」を強調するのか…。おわり
2011-03-01 22:32:57