朝日新聞のウィキリークス礼賛に対する細谷雄一・慶応大学准教授の批判

朝日新聞のウィキリークス礼賛に対する細谷雄一・慶応大学准教授の批判が私の思考をほぼ代弁しているのでまとめる。まったくもって、おっしゃるとおり。外交とは機密性を要するものであり、情報開示を求める民主主義とは本質的な緊張関係にある。そのバランスを慎重に取ることこそ求められることであり、ウィキリークスのような反米主義・無政府主義に基づく無制限の暴露はかえって国益と社会の健全さを損なう。そこが判らない朝日新聞とは所詮その程度のメディアでしかない。
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@yuichihosoya

5月4日の朝日新聞朝刊では、一面で、ウィキリークスから入手したアメリカ政府公電7000点の一部が紹介。二つの点で、最近の朝日新聞の論調には強い違和感を抱きます。第一。船橋洋一さんが主筆を降りて、若宮啓文さんがその後任になって、左派的なイデオロギー色が非常に濃厚になった。

2011-05-05 01:25:37
@yuichihosoya

基本的に、朝日新聞は記者の質が非常に高いゆえに、紙面も信用できるし、解説も妥当なものが多かった。ところが、イデオロギー色が強くなり、自己の正義認識が強くなると、的確でバランスがとれた論評よりも、断定的な、そして価値判断の強い、イデオロギー的な色彩が強くなる。政府不信と、反米。

2011-05-05 01:27:20
@yuichihosoya

私はしばしば朝日新聞に依頼されて、これまで原稿を書いてきました。親しい友人も、信頼できる記者の方も、尊敬する方々も、社内に多くいます。ただ、船橋さんがいなくなったことと、政治部のベテラン記者で、外交にも造詣の深い薬師寺克行さんが3月末で退社したことで、どうにもバランスが。

2011-05-05 01:29:35
@yuichihosoya

今回の、ウィキリークス関連の記事も、反米的なイデオロギーがとても強く感じます。つまりは、「アメリカは隠れて悪いことをしている」ということ、「日本政府は国民をだましている」ということ。もちろん、そういうこともあるでしょう。重要なのは、全体のバランスです。

2011-05-05 01:31:27
@yuichihosoya

バランスというのは二つの意味です。第一。不法にアクセスして入手した情報は、知的所有権の観点からも違法性があるかもしれない。このあたりは私は分かりません。ともあれ、政府が正式に合法的に公開したものではありません。ですので、その情報の真偽は不明です(たぶん、正確な情報でしょう)。

2011-05-05 01:33:05
@yuichihosoya

つまりは、ここでいう公電とは「公電」とみなされるべきものであり、正確な公電とは実証できません。もう少しその点の慎重さが欲しい。アメリカのメディアでも、ウィキリークスから得た情報の掲載については、論議がありより慎重な会社が多い。なぜ、朝日新聞ほどの信頼と権威を持つ会社が。

2011-05-05 01:35:03
@yuichihosoya

それを「信憑性を厳選して公開」とややいいわけじみた解説がある。第二の不信。7000点の全体から一つの傾向を導くのではなく、その中でなぜそこまで、「アメリカ政府が日本国民をだました」ことを強調して論じるのか。たとえば中国の新聞が日本の「軍国主義的な発言」のみを論じることもできる。

2011-05-05 01:38:11
@yuichihosoya

重要なのは、全体のバランスです。もちろんそれでは、面白くない。だから、スキャンダル的な、一面トップに掲げられる情報を探すのは、メディアとして当然かもしれません。ただし、朝日新聞はいわゆるタブロイドではなく、高級紙のはずです。

2011-05-05 01:39:51
@yuichihosoya

最近は、読売新聞が親米的すぎる論調であることも、朝日新聞が反米的すぎる論調であることも、読んでいて退屈に感じます。結論ありき。重要なのは、日本が主体的にどのような外交を構想するかであり、選択するかです。その中で、アメリカとどのような関係を構築するかを考えるべきです。

2011-05-05 01:41:02
@yuichihosoya

結局は、朝日新聞の今回の記事で目につくのは、ウィキリークスの情報から、日本政府があまりにもアメリカに依存していることであり、主体的に外交を構築できないことを論じたいのでしょうが、そのような情報を告発する姿勢自体に、朝日のそのような論調が、アメリカを意識しすぎているように感じます。

2011-05-05 01:42:12
@yuichihosoya

私のこのような考えは、親米路線の強い読売の主流からも、反米路線の強い(最近の)朝日の主流からも嫌われるのでしょう。今回のウィキリークス関連の記事で、朝日の首脳はスクープとして喜んでいるのかもしれませんが、それが朝日新聞の品格を傷つけ、読者を減らす結果になることを危惧します。

2011-05-05 01:45:46
@yuichihosoya

朝日新聞のウィキリークス関連記事掲載への批判についての補足的なコメントですが、私は今、外務省の外交記録公開促進委員会の委員として、少しでも多くの外交記録が合法的に閲覧可能となるよう、微力ながら努力しています。このような非合法のリークを朝日新聞が賛美するとは、少し悲しい気持ちです。

2011-05-05 02:05:27
fj197099 @fj197099

全くもっておっしゃる通りです。外交を巡る日本の知的空気の中にはまだまだ朝日的な国内冷戦の延長線上の発想が沢山あります。ウィキーリークスの支持はその一例。@yuichihosoya 朝日新聞:断定的な、そして価値判断の強い、イデオロギー的な色彩が強くなる。政府不信と、反米。 .

2011-05-05 02:22:12
fj197099 @fj197099

思うに日本の左派は戦後民主主義的空気の中で右派又は保守派による真剣な挑戦を受けたことがないから程度の低いイデオロギー的論調から抜け出せないのでしょう。真摯な知的対話を欠いてます。@yuichihosoya 最近は…朝日新聞が反米的すぎる論調であることも、読んでいて退屈に感じます。

2011-05-05 02:25:44