明晰さを追求する哲学・思考を触発する哲学
きっかけは須藤靖先生による東大駒場の講義『文科系のための 「物理学的世界観入門」』の講義スライドで、『知の欺瞞』系の現代思想から飛躍して(科学)哲学全般を批判していたことに起因します(スライドはhttp://www-utap.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~suto/komaba2011/にアップロードされていましたが、現在は哲学批判を含むスライドはほとんど削除されています)。それに関するダイレクトな反応や、@tisedaさんと@ainsophyaoさんによる会話もあったりするのですがその辺りは全部端折って(興味あれば誰かまとめてください)、ここではそこから派生した@tisedaさんの「人文系の中にもいろいろあって……」というtweetとその反応をまとめました。
人文系の中にもいろいろあって、明晰な文章を書くことを旨とする分野と、明晰さよりも思考を触発する文章を重んじる分野とがあって、スタイルから価値観から全然違う。前者の人たちは後者の人たちが書くものを意味不明だと思っているし、後者の人たちは前者のひとたちを浅薄だと思っている。
2011-07-04 13:30:05ともかく、思考触発型の文章については、言っていることが整合的だったり事実に基づいていたりすることではなく、どれだけ思考を触発するかというのが書く方にとっても読む方にとっても大きな基準になっている、ということを踏まえないと、そもそも理解の端緒すら得られないと思う。
2011-07-04 13:38:06思考触発型というのはドゥルーズみたいな人達のことですか。「知の欺瞞」は読みました。科学用語をアナロジーとして使っているのに科学者がその意図を解せなかったこと? @tiseda ともかく、思考触発型の文章については、言っていることが整合的だったり事実に基づいていたりする...
2011-07-04 13:54:47@gegangen アナロジーとして使っている場合もありますし、字面の上ではもう少し理論に本質的な装置として使っている場合もあると思います。そういう文面上の意味の問題というよりも、そもそもその文章がどういう意図で書かれ・読まれているかという背景の部分の話です。
2011-07-04 14:24:30なるほど文脈が大事なのでしょうか。それは人文系特有で、理系では文脈非依存性を指向するのが常ですね。それが互いの誤解の元なのかもしれません。QT @tiseda ...文面上の意味の問題というよりも、そもそもその文章がどういう意図で書かれ・読まれているかという背景の部分の話です。
2011-07-04 14:36:03@gegangen そうですね。「文脈が大事」って一言いえばすむところをいらざる多言を費やしていたかもしれません。それとわたしの本をご推薦いただきありがとうございます。
2011-07-04 14:45:41@tiseda でも、カルナップの喧嘩はおもしろすぎるので、ああいう大人げないことをやる人が増えてもいいんじゃないかと思います。
2011-07-04 13:38:33@mo198112 外野的にはもっともですが、カルナップのような喧嘩のしかたをしてしまったために、交流することでお互いに利益がある部分でまで交流が途絶してしまったという負の面はあると思います。
2011-07-04 14:29:09@tiseda そうですね。一応、共感を得ている人がいるハイデガーを、自分たちの側のやり方でナンセンスだ、バーカとハチの巣にしてしまったら、まあ、書き物としては面白いけれども、不必要に警戒されることも当然ですよね。
2011-07-04 14:55:42@tiseda ただ、「思考触発型」の文章というのは芸術作品や詩のようにインスピレーション源としての機能を志向したものだと思いますが、それが(哲学という)学術的活動のアウトプットかと言われると疑問が残ります。一般には学術は客観性や事実性へのコミットを伴うとされているでしょうから。
2011-07-04 14:17:45@Perfect_Insider わたしも意味不明な文章に出会うと「こんなの哲学じゃない」とかよく言ったりはしますが、ぜんぜん違う意味で「哲学」という言葉を使う人達がいるのはわきまえているつもりです。「哲学」という言葉のとりあいで時間を使うのは非常に不毛だと思います。
2011-07-04 14:27:34@tiseda 確かに多くの「語の定義」の論争は不毛だと思いますが、それが社会的評価を帯びている場合には少し違ってくると思います。例えば、医療法第3条では病院ではないところが「病院」と名乗ることを禁じていますが、これは一般人は「どこが信頼に足る治療をしてくれるか」を判断する(続く
2011-07-04 17:46:11@tiseda (承前)能力を持っていないので、どこが「通常我々が予期するような」病院であるかを定めていると考えられます。学術性もこれと同じで、一般人は「何が学術的か」を判断し得ない以上、学術に対し通常予期するであろう基準を満たさないものが学術を名乗ることは批判できると思います。
2011-07-04 17:50:16@Perfect_Insider こと「哲学」に関して言うと、一般の人のイメージする哲学はむしろ思考触発型に近くて、わたしなどはそういう人に自分の研究を説明するときに期待に添えなくて申し訳ない気持ちになることがあります。
2011-07-05 00:38:56「明晰で思考を触発する」がベストだと思いけり.「明晰/蒙昧」と「思考触発する/しない」で掛け合わせると,いせだ先生のあげてらっしゃるのは2つほど落ちてるんでは.
2011-07-05 01:39:52僕もそれがベストだと思いますが、明晰な論理や文章に対して「わかりやす過ぎてつまんない、他人にはわからないところもあった方が良い」という人はホントにいますねー(体験談 QT @optical_frog: 「明晰で思考を触発する」がベストだと思いけり.…
2011-07-05 01:45:18有り難みがない,と思う人もいらっしゃいますね.QT @dlit: 僕もそれがベストだと思いますが、明晰な論理や文章に対して「わかりやす過ぎてつまんない、他人にはわからないところもあった方が良い」という人はホントにいますねー(体験談
2011-07-05 01:49:55ああまさにそんな感じです… QT @optical_frog: 有り難みがない,と思う人もいらっしゃいますね.QT @dlit: …、明晰な論理や文章に対して「わかりやす過ぎてつまんない、他人にはわからないところもあった方が良い」という人はホントにいます…
2011-07-05 01:50:56自然な前提と明晰な論理とわかりやすい文章で驚くような結論に達せざるをえないように追い込むのが楽しいんじゃんねえ(なかなかできないけど
2011-07-05 02:01:20