ドイツ人が放射線を怖がる文化的特徴

ジャーマン・アングスト(ドイツ人に典型的な臆病さ)という言葉があることを知りました。松井隆幸(@takayukimatsui )さんのツイートで知りました。
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松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

@talkinblues1966 ぼくは、ドイツZDFの報道よりも日本政府の発表のほうがヒステリックでなく公平だという印象をもっています。ドイツの場合は、グリーンピースの発表さえニュースで真面目に採り上げてしまうような、いわゆる過剰なジャーマンアングストの側面に注意すべきです。

2011-08-30 16:24:40
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

今朝の読売新聞によれば、東京のドイツ大使館の全職員の4分の1にあたる10ポストが空席になっており業務に支障を来しているという。空席の原因は、原発事故による放射能汚染を心配してドイツの外務省職員が日本への赴任を希望しないためだとか。ジャーマンアングストここにきわまれりの感がある。

2011-09-05 06:11:10
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(1)「ジャーマンアングスト」という言葉を何度か無責任に使用していて少し気になったので、調べて書いておきます。因みにぼくがこの言葉を最初に知ったのは読売新聞の三好範英ベルリン支局長の記事によってです。ウィキペディアによれば、ジャーマンアングストというのは英語圏でしばしば使用される

2011-09-07 12:38:16
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(2)言葉で、「ドイツ人に典型的な臆病さ」というほどの意味で、ジャーマンアサーティヴネス(「ドイツ人に典型的な傲慢さ」)と対になっている表現だそうです。「ドイツ人の社会的、政治的、集団的な振る舞い方」を特徴づけていて、ドイツ人によっても、外国からのドイツへの評価をあらわすために

2011-09-07 12:40:57
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(3)ときどき使用されるそうです。「アングスト」(不安)という言葉は三好氏も書いていましたが、もともとドイツ語なのですが、キルケゴールの著作『不安の概念』によって実存主義の流行の波によって使用が拡大し、英語圏でもそのまま用いられています。以下、「ジャーマンアングスト」の具体例と

2011-09-07 12:45:02
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(4)見られる事実を挙げてみます。再統一以後の遠慮がちなドイツの外交・安全保障政策、とくに第二次湾岸戦争に関わって。ドイツメディアで繰り返される、世界に類例を見ないパニック騒ぎの事例としてウィキペディアは、グーグルのストリートヴュー、鳥インフルエンザ、BSE、原発の危険性などを

2011-09-07 12:50:52
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(5)切っ掛けとするセンセーションを挙げています。とりわけ大きなものは、気候変動や日本の東日本大震災によって誘発された世界の没落ないし大災害に対する不安です。すでにいささか古くなってしまった話題ですが、ドイツの週刊新聞ツァイトの編集委員ヨーゼフ・ヨッフェは「ジャーマンアングスト」

2011-09-07 12:54:22
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(6)という題の論説を6月10日と6月30日、2度にわたって発表しました。以下、ヨッフェ氏の論説を簡単に要約して紹介します。「なぜパニック的な原発廃止か? ここに決定的な答えがある」。二度にわたる原爆被害を経験した日本が核エネルギーに対してアレルギーを示すのなら理解できる。

2011-09-07 13:00:46
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(7)しかし冷静な日本人に対して、ドイツ人が大騒ぎしている。ドイツではまだ誰も原発のせいで死亡していない。つい最近、原発稼働期間を延長するとしてドイツの原発は「世界でいちばん安全だ」と宣言したばかりである。そのドイツ人が大騒ぎしている。不思議な風景である。これはどう説明すべきか?

2011-09-07 13:03:43
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(8)ドイツの不安を誘発したフクシマの出来事は、ドイツから9000キロ離れている。ドイツが原発を廃止したとしても、ヨーロッパにはロシアを除いても146の原発が存在する。ドイツが廃止しても危険性は縮減しない。結局、ドイツ人の原発に対する不安は「一種の宗教」なのだ。事実には基づいて

2011-09-07 13:07:21
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(9)おらず、信仰に基づいている。従って決して「論破されえない」。さらにもうひとつの解釈は、ドイツは、ほかのヨーロッパ諸国に比べるときわだって幸福に恵まれていて、何の懸念材料もないということだ。ギリシア、ポルトガルなどの財政破綻は言うまでもない。フランスやイタリアもそれぞれ

2011-09-07 13:10:07
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(10)深刻な問題を抱えている。ドイツでは失業率は低下し、好景気が続いている。フランスからスカンディナヴィアにかけて右翼ポピュリストが台頭しているが、ドイツの右翼政党NPDは弱小のセクトにとどまっている。ドイツにはあまりにも心配のタネが不足しているのでわざわざ自分たちで心配の

2011-09-07 13:12:50
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(11)タネをつくり出して、不安がっているのだ。「ジャーマンアングスト」は結局ドイツの幸運に由来している。次に二つ目の論説「なぜドイツの音楽家は東京に行こうとしないのか?」。この秋にドイツのバイエルン国立歌劇場の東京公演が予定されている。ところが40人の団員が「健康上の理由」から

2011-09-07 13:16:06
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(12)東京に行くことを拒んでいるという。念のためになされた再測定の結果を見ても、東京の放射線量はドイツ中部とほとんど変わらないのにもかかわらず。劇場監督は述べる、「これは事実の問題ではないのです。不安の問題です。不安が克服できない以上は、それを受け入れるしかありません。

2011-09-07 13:19:28
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(13)強制してもどうにもならないのです」。従来は「不安」とは道徳的にいかがわしい状態であった。人は好んで「小心者」や「臆病者」を話題にした。今では「勇気」や「自己克服」の徳目に代えて、ドイツ人は「敏感症」「自己中心主義」を誉め讃えている。一種の「価値転換」である。こうした中

2011-09-07 13:22:51
松井隆幸 Takayuki Matsui @takayukimatsui

(14)ベルリン・フィルが東京公演を実施する意向を明らかにしているのは、喜ばしい事実だろう。「日本の観客が、わたしたちがそこに赴くことをまさに今待ち望んでいるのです。それは正当なことです」。連帯は道徳的な価値を持っていると述べてヨッフェ氏は論説を終えています。

2011-09-07 13:26:34