- aya_sanada1615
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さて。改めてご挨拶させていただきます。真田幸村…信繁様にお仕えしている、松沢彦二郎と申します。現在は、殿の末の姫様、阿安様の護衛をさせていただいております。
2011-09-10 00:34:03昨日で阿安様がこちらにいらっしゃってから、丁度百日を越えましたので、記念に俺から阿安様のお話などを少々させていただこうかと思いまして。
2011-09-10 00:07:45さて…何からお話したものでしょうか。ああ、最初に申し上げてしまうと、俺も何分四百年近くも昔の話、ほとんど忘れてしまった事の方が多いのですけどね。松沢の家は空爆で、阿安様のいらっしゃるお寺も二度の火事で、記録は全部燃えてしまったんですよ。
2011-09-10 00:42:32以前、阿安様がご自身でお話されていた事もありますから、それ以外の話というと、気分の良い話は、あまりできない気がするのですよ。阿安様に関して、いめぇじ?を壊したくない方は、今のうちに対処していただいた方が良いかもしれないですね。
2011-09-10 00:46:54では、順を追って話をさせていただくことにしましょう。まずは僭越ながら、俺のことから。俺は信州上田で生まれ育ち、慶長二年には上田で、その後大坂でも殿と共に戦わせていただきました。
2011-09-10 01:09:00そして殿が亡くなり、大坂城が焼け落ちて後、御方様と姫様方が逃れるのをお手伝いさせていただきました。「生き延びて、妻と子らを上田へ連れて帰ってくれ」というのが、殿のお言葉でしたから、その命はなんとしても果たさなければ。
2011-09-10 01:21:53しかし徳川方の残党狩りは徹底していました。いつしか御方様と他の姫様方とはぐれ、乳飲み児を抱えて俺は三河にたどり着きました。その後の御方様と他の姫様のことは、俺は風の噂でしか知りません。
2011-09-10 01:27:43遠江に入ってからは、さすがに詮議が厳しくなかなか移動もままなりません。しばらく佐鳴湖の畔で、身を隠して暮らしていました。そうしていつしか阿安様も、お小さいなりに、もののわかるお年になっていたのでしょう。
2011-09-10 01:41:33……。ここから先の話は、俺は阿安様には申し上げていません。しっかりなさっていてもやはりまだお小さいのです、つらい事など、思い出す必要はないのです。
2011-09-10 01:44:31一切は俺の不手際です。責めは俺が負います。身を潜めて暮らす事の疲れもあって、阿安様は気鬱の病にかかられました。
2011-09-10 01:48:29そしてある日、阿安様は佐鳴湖に自ら身を投げてしまわれたのです。外を歩くことで、気が晴れればと思ったのですが……俺は、ほんの少しでも目を離すべきではなかった。
2011-09-10 01:52:46もちろん俺も急いで飛び込んで、助けましたよ!でも、既に御身体の弱っていた、まだ幼い阿安様です……残念ながら、としか俺は言えません。
2011-09-10 01:55:42阿安様の亡骸を葬った塚は、徳川の目をごまかすために「ヘビ塚」と呼びました。立派なお墓をたてて供養することもできず、平たい石を積み重ねただけのヘビ塚は、現代にはもう残っていません。
2011-09-10 02:00:29ただ、ヘビ塚に祀られていたその石は、近くのお寺に預けられ、平成の世になってから、俺の子孫が上田の真田神社に納めてくれました。かわりに上田から持ってきた霊石で、ようやく阿安様の、立派なお墓を建てる事ができました。
2011-09-10 02:04:46たいむらいんを湿っぽくして申し訳ない!自爆ついでに殿が阿安様にお贈りになられた簪の話!ええと、今の松沢の当主の四代前の奥さんが、分家した息子について家を出てしまい、その後質に入れたって話ですよまったくもう!!
2011-09-10 02:12:51