死ぬのがこわくなくなる話 第25話

Twitter上で連載中の渡辺浩弐さんの長編小説をまとめました。
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渡辺浩弐 @kozysan

新奇なアイテムや事件が報道にのった時(とりわけそれがケータイ絡みだった時)、ゲーム・キッズのあれ、とか、プラトニック・チェーンのこれ、と思い出して頂けることがあります。もちろんとてもうれしいのですが、

2011-09-06 00:15:49
渡辺浩弐 @kozysan

もっと大枠のこと、例えば「女子高生が普通に携帯電話を持つようになる」ことや「携帯電話にデジタルカメラが搭載される」ことなどの方が、書き始めた当時は誰も本気にしないくらい無茶な想定だったんです。

2011-09-06 00:16:22
渡辺浩弐 @kozysan

と、一瞬後ろ向きになりましたが、ここから先に向き直りまして。今夜はまず、予想を掲げます。大枠のことです。

2011-09-06 00:16:40
渡辺浩弐 @kozysan

(……そしてここから、『死ぬのがこわくなくなる話』です)。

2011-09-06 00:17:02
渡辺浩弐 @kozysan

自分が見ている風景をそのまま撮る。静止画だけではなく動画で、録画し続ける。さらには、ネットにアップロードし続ける。そういうツールが発売され、普及するだろう。

2011-09-06 00:19:16
渡辺浩弐 @kozysan

SFの世界だとそれは目玉の中に装着するイメージだが、広角レンズのものを首にぶら下げるような形が現実的だろう。ぶれ補正やピントは厳密である必要はない。画質・音質も問われない。何を撮るか、考える必要はなく、全てを撮るのである。

2011-09-06 00:19:50
渡辺浩弐 @kozysan

圧縮技術を駆使すれば、起床から就寝まで活動時間の全てをメディアに録画し続けることは可能だ。ネットにアップロードしておく形でもいい。ただし、過去の映像から、指定しない限り順次自動消去されるような仕組みになるだろう。

2011-09-06 00:20:21
渡辺浩弐 @kozysan

容量の問題ではない。自分で想起しないものはつまり自己が反映されないものであり、残しておく意味はないからだ。

2011-09-06 00:20:56
渡辺浩弐 @kozysan

既にたいていの人がカメラ装備の端末=ケータイを常に持ち歩いている。あるいは自動車で仕事をしている人は、車上荒らしなどの犯罪対策のため、車載カメラを一日じゅう撮影モードにしているという人は多い。

2011-09-06 00:22:02
渡辺浩弐 @kozysan

ユーストリームなどで、そういった風景をいつでも、どこでも、ネット生放送できるようになっている。流した映像は、それを保存しておくこともできる。それが自動化されもっと手軽に、もっと一般的になるというだけのことだ。

2011-09-06 00:23:06
渡辺浩弐 @kozysan

10年後、携帯電話/スマートフォンあるいはゲーム機が進化した形のこのツールを、多くの人々が下げて歩いている風景を想像する。それで、自分の見たこと聞いたこと、あるいはしたことを全て、いったん記録するのだ。

2011-09-06 00:23:19
渡辺浩弐 @kozysan

記録しながらその映像を生放送し続ける人も多くなるだろう。既に今ツイッターで日常をのべつまくなしにつぶやいている人がいる。ちょうど、それくらいの気軽さで。

2011-09-06 00:23:37
渡辺浩弐 @kozysan

そういう日常が実現した時、自分の経験が、あるいは考え方の表出である行動が、全て、自動的に記録、保存されていくことになるわけだ。それを記憶の一部として使い、検索したり統計化したりしながら暮らす。

2011-09-06 00:23:55
渡辺浩弐 @kozysan

社会の変革は大きいだろう。事件や事故の際は、当事者の視覚を再生すれば顛末は明らかになる。約束ごとについてはそれを取り結んだ瞬間の動画音声をいつでも呼び出せるから、「言った」「言わない」のトラブルもなくなる。古い形の犯罪のほとんどは防げるものになるし、契約書などは不要になるだろう。

2011-09-06 00:24:28
渡辺浩弐 @kozysan

しかしもっと大きいのは個人の変革である。そういうライフスタイルは同時に、ネットワークの中に自分の分身を育てていくことにもなるということに気づくべきなのだ。

2011-09-06 00:26:40
渡辺浩弐 @kozysan

つまり、例の「記憶アーカイブ」問題が、この習慣によってやすやすとクリアされるのである。ネットを使いこなした結果として、自分自身が、いつの間にか、データ化されていく。

2011-09-06 00:27:02
渡辺浩弐 @kozysan

蓄積されるものは、ティモシー・リアリー氏のいうファラオの「副葬品」や「壁画」に当たるものだ。あなたのDNAからクローニングした新しい脳にそれをインプットすることにより、あなたは完全に復活するわけである。

2011-09-06 00:27:31
渡辺浩弐 @kozysan

少し展開が乱暴すぎましたね。具体的に説明するための方法として僕は次に、ある会員制サービスを提案します。こんなのは、どうでしょう。 →以下、明日。

2011-09-06 00:28:44
渡辺浩弐 @kozysan

団鬼六さんのbotが、ご本人の逝去後も生き続けていて、ファンとしてはとても嬉しいです。

2011-09-04 00:06:04
シンイチVR2 @shinichikudoh

@kozysan 飯島愛さんも団鬼六さんも生前は「性」に縁の深い方々だったので、その二人が「死後も生き続ける」ことを考える上で続けて出てきたのは、単なる偶然ではないような気もします。

2011-09-06 00:32:35
渡辺浩弐 @kozysan

@shinichikudoh 何かあるかもしれませんね。「死」と「永遠」が両立できる希有な物語構造がなぜかエロゲーに成立していることの理由にも関係があると見ています。

2011-09-07 00:21:20