【心のうずくとき・完全版】福間健二tweet詩 fukuma10p

一日一回ずつ10回完結でtweetされる、福間健二さんのtweet詩をまとめています。今回は【心のうずくとき】の完全版。 「ぼくの小さな夢。彼女と虹の小径を行ったり来たりする。それから、豆腐屋の星野さんの口まねをする。人間のすることに意味のねーことなんかねーよ。」(心のうずくとき9より)
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福間健二 @acasaazul

もうどこからでも書ける。反抗とエロスの扉をあける黒い騎士になって、可愛い娘たちの名をもつ台風のなかを駆け抜けた! けど、転落し、いまは秋の地面にしょぼくれた影をおいて、つらくて、せつなくて、空はいつも曇り空になって、まあこれもいいのかな。(心のうずくとき1) #fukuma10p

2011-10-06 06:44:05
福間健二 @acasaazul

見えてくるのは、ヴァイオリンをひく少女。頬。指の動き。細い腕としなる体の表わすもの。彼女に恋をした幼稚な革命青年の書く手紙の、癖のつよい文字。夕暮れのしずくがその上に落ちてくる。少女も青年も消えるが、音楽は鳴っている。チャイコフスキーだ。(心のうずくとき2) #fukuma10p

2011-10-07 09:11:45
福間健二 @acasaazul

海も陸も青く染まって、チャイコフスキーのあとは、シカゴのラッパー、ルーぺ・フィアスコ。ショウはつづき、食べものと酒もある。今夜のぼくは、今月の生活費の計算をして、博多式の焼きラーメンをつくり、ウイスキーを飲む。だれとすれちがうのだろう。(心のうずくとき3) #fukuma10p

2011-10-08 09:48:08
福間健二 @acasaazul

いいことがなかった一日が終わるたびに、彼女と一緒にいたいと思った。大昔の話。丘の上の彼女の家に、他人には見えない赤い鳥を飛ばして。なぜだ。悪い想像がほんとうになる街角シリーズ。風に吹きながされる砂の十月。彼女は知らない男と出かけている。(心のうずくとき4) #fukuma10p

2011-10-09 07:19:09
福間健二 @acasaazul

おまえはぼくを棄てたけれど、いまでは彼に棄てられ、泣いてる。お風呂でこれを歌う。デル・シャノン。街角シリーズのあとは、I Won’t Be Thereの、虹の小径。行けない場所。鏡の中の、ジニー。ぼくを笑ったその目が瞑られる。だれの命日?(心のうずくとき5) #fukuma10p

2011-10-10 10:17:50
福間健二 @acasaazul

ジニーは言う。あなたはわたしに快楽を教えてもらってうれしかった。それ以上の何を望むの? あなたと会うよりも、集会とデモよりも、大事なことがわたしにはある。反抗的人間A。彼の、人生の夢は終わった。でも、生きている。今夜、何に乾杯しようか。(心のうずくとき6) #fukuma10p

2011-10-11 06:05:09
福間健二 @acasaazul

どんな歌をうたう? なんでも歌います。どんな歌い方をする? ぼくはだれにも似てません。若きエルヴィスはインタビューでこう答えている。なんでも歌い、だれにも似ていない。娘のリサ=マリーは、その反対だ。レパートリーは狭く、だれかに似ている。(心のうずくとき7) #fukuma10p

2011-10-12 08:34:15
福間健二 @acasaazul

評判のわるい、傷だらけのプリンセス。ぼくは好き。走る電車のなかで、彼女のいい人、になれない自分を思ってため息をつく。自意識がじゃま。インテリやくざにあこがれた飛行機もじゃま。なのに、あっ、腐るもの、変化するものの領土に心地よく墜落する。(心のうずくとき8) #fukuma10p

2011-10-13 06:19:45
福間健二 @acasaazul

ぼくの小さな夢。彼女と虹の小径を行ったり来たりする。それから、豆腐屋の星野さんの口まねをする。人間のすることに意味のねーことなんかねーよ。世界の、そして自分の、幼年時代のそよ風を忘れて罵倒しあう連中、自分を惨めにしてんのがわかんねーのか。(心のうずくとき9) #fukuma10p

2011-10-14 09:22:23
福間健二 @acasaazul

好きな人が遠くにいる。心をうずかせるのはそれだと言えねーのか。革命の夢も人生の夢も終わって、それからずっと秋の男、というわけじゃないけど、こいつは笑わない。真夜中、手袋を否定するヴァイオリンが鳴り、青い地面の下からきみがやってきても。(心のうずくとき10) #fukuma10p

2011-10-15 08:21:46