ダークエルフの起源

指輪物語に「闇のエルフ」という人たちが出てくるのですが、別に黒くもないし邪悪な存在でもありません。 が、後に出てくる「ダークエルフ」というのはいつから邪悪な存在になったんだろう。 ということで大将が解説してくれました。
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M.Abe @abe_m

@ogawaissui @nk12 @kyanagawa 「指輪物語」の闇のエルフは黒くも悪くもない(西方に行ったことがないだけ)、ってのは既に埋もれてしまってますね。どのへんから悪いエルフになったんでしょうか。

2010-05-16 18:51:42
柳川邦彦 @kyanagawa

束神話では邪悪とまったく関係なかった「闇のエルフ」が、ファンタジー作品でいつから邪悪とされるようになったのか、という質問をいただいていた。この辺、指輪とロードスの間がすっぽり抜けてる私はよく知らないのだけど、いつも他力本願もどうかと思うので、ちょっと調べてみたい。

2010-05-17 02:43:48
岡島正晃 @ADLAHIR

@kyanagawa あとその……なんだったら、解説しましょうか?>ダークエルフの起源

2010-05-17 22:07:00
本田拓人 @tact_H

kwsk!RT @ADLAHIR: @kyanagawa あとその……なんだったら、解説しましょうか?>ダークエルフの起源

2010-05-17 22:07:38
岡島正晃 @ADLAHIR

@tact_H あははは! じゃ、ヤナガワン先生寝てるけど、軽く(^^)。センセの疑問は「トールキンの作品では別に邪悪でもなんでもない“闇のエルフ”が、いつから邪悪な“ダークエルフ”になったのか?」でありました。

2010-05-17 22:09:06
岡島正晃 @ADLAHIR

これを紐解くには、まずエルフの原典である北欧神話の、ドワーフの記述に注目する必要があります。そこで連中が住んでいた地下王国「スヴァルトアールヴァヘイム」の名前が、とくに重要です。コレ、よく見ると「アールヴ(a'lfr、複a'lfar)」の一言が、入ってますでしょ?

2010-05-17 22:12:44
岡島正晃 @ADLAHIR

この「アールヴ」ってのは、実は古ノルド語でズバリ「エルフ」のコト。広義には「(エルフと 同じような)半神属性のすげえの」程度の意味も含んじゃいるのでしょうが、まあ語としてはズバリ「地下エルフ」なんですよ。

2010-05-17 22:14:24
岡島正晃 @ADLAHIR

で、『指輪物語』のヒットと相前後して生まれた、史上初のRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』では、ギリシア神話をはじめ世界各地のご当地モンスターが登場したワケなんですが、このときデザイナーがこっから「うわっすげ、地下に住んでるエルフ超クール!」とか、思ったみたいでしてね。

2010-05-17 22:16:06
岡島正晃 @ADLAHIR

かくて数年後、『アドヴァンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ』(1stエディション)において初登場したのが「ドロウ」、またの名を「ダークエルフ」だったと言われています。そのルーツは、なんとドワーフさんだったのだ!(@@)

2010-05-17 22:17:17
岡島正晃 @ADLAHIR

ですから当然、「邪悪」っていう属性は、この段階でAD&Dのデザイナーによって付されたモノです。そしたらコレが、プレイヤー層に人気大爆発! ま、完璧超人なエルフとネガポジな、クールで強力な悪役種族って、カッコいいですもんね(^^)。

2010-05-17 22:19:00
岡島正晃 @ADLAHIR

以降「ダークエルフ」のイメージは、本家であるAD&D/D&D世界において思うサマ発展するとともに、他のゲームへの進出も成されていきました。ぶっちゃけ今日、およそファンタジー系でコレが出てきてないゲーム、皆無に等しいでしょうね。

2010-05-17 22:20:39
岡島正晃 @ADLAHIR

因みに、本家D&D系ダークエルフの設定進化の結実と言えるのが、日本語版も出ている小説『ダークエルフ物語』(R・A・サルヴァトーレ/笠井道子 訳)でしょう。邪悪極まる地下世界の実態が、読めば一発でわかります。

2010-05-17 22:23:17
岡島正晃 @ADLAHIR

また、同作とそれに連なるシリーズで主役を務めるドリッズド・ドゥアーデンは、恐らく世界で一番有名なダークエルフでしょう。邪悪な種族でありながら「善」の心をもって生まれてしまった孤高のレンジャーの活躍、ぜひご一読あれ! (おわり)

2010-05-17 22:26:53
岡島正晃 @ADLAHIR

OPS! 1個訂正。D&Dは「指輪物語と相前後して生まれた」んじゃないですね。正確には「米国における指輪物語ブームと相前後して」でした。申しわけない!(><)

2010-05-17 22:28:46
柳川邦彦 @kyanagawa

この手の新要素はD&Dで追加されたものが多い、という印象だったのだけど、ダークエルフもそうなのか(厳密にはAD&Dのようだけど)。しかし、北欧神話ではドワとエルフが近しい(ほぼ同じ?)存在だったというのも面白いな。

2010-05-18 00:57:10
森瀬 繚@翻訳クラファン開催中(固定ポスト参照) @Molice

ひとつ言えるのは、ユミルの血と骨から生じたドヴェルグと、デックアールヴァル(闇の妖精)が同じ存在なのではないかと考えられているのは、「巫女の予言」中でずらりと並べられるドヴェルグの中に、"álfar"の語尾を持つ者がいるという一点。

2010-05-18 01:12:22
森瀬 繚@翻訳クラファン開催中(固定ポスト参照) @Molice

デックアールヴァルとドヴェルグは、せいぜい「同一の存在なのかも知れない」であって、イコールで結びつけるのは早計です。少なくとも現存資料にはそれ以上の情報がありません。別の存在として扱っている研究書も存在します。

2010-05-18 01:14:41
森瀬 繚@翻訳クラファン開催中(固定ポスト参照) @Molice

「古エッダ」と「スノリのエッダ」を読み比べてみると、記述上の矛盾や、これは明らかにスノリの誤読だろうと思われる描写が多々見つかります。再話によって変化するのが神話の常であり、差分にこそ文化・歴史をうかがい知る鍵があるわけですが、一言に「北欧神話によれば」と言ってしまうのは超危険。

2010-05-18 01:18:37
葉月まゆみ🌗 @HazukiMym

@kyanagawa 超自然的存在の北欧神話のアールヴには光を司ると思われるリョースアールブと、地中(豊穣の源)を司ると思われるディックアールブがあります。後者はその性質をドヴェルグ(ドワーフ)と共通し、このドヴェルグの名前内の一つがガンドアールブ(=ガンダルフ)です。

2010-05-18 01:39:39
森瀬 繚@翻訳クラファン開催中(固定ポスト参照) @Molice

なお、今日現われる「ダークエルフ」のイメージの根幹には、『ホビットの冒険』において敵対的な存在として登場する「闇の森のエルフたち」の影響も少なからずあるのではないかと思います。寺島竜一さんの挿絵がまた。

2010-05-18 01:44:21