F-XにおけるF-35選定を巡る問題点:政治主導と文民統制

標題のとおり。
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fj197099 @fj197099

【笠原健の信州読解】やはり、空自はF35を選んでしまった(http://t.co/QOmBiXBP)…この著者は過去に軍事の素人考えで色々ぶっ飛んだことを書いてきた人なので余り真に受けては受けないが、F-35選定については「やはり選んでしまった」という嘆息調の書き方には同感だ。

2011-12-24 13:53:38
fj197099 @fj197099

繰り返しになるがF-35は性能だけみればそれは何としても欲しい戦闘機なのは間違いない。だが調達時期やコスト、日本の産業基盤への影響などの様々なそれ以外の論点がある。特に前二者は無視できない問題点だろう。空自という実力組織のメンタリティでは性能重視になるのは当然だがそれでいいのか。

2011-12-24 13:55:49
fj197099 @fj197099

本来そこで真の意味での「政治主導」が発揮されるべきであった。空自に任せておけば最後はF-35選定といういわば「出来レース」になるのは当然であった。だが国防は総合的な見地から捉えねばならない。軍事の素人にはできない仕事だが自衛官にも不可能な文民=政治家としての仕事が求められていた。

2011-12-24 13:58:22
fj197099 @fj197099

だが一川防衛相は「安全保障は素人」であることを自慢する資質を欠如した人物。文民統制の何たるかが十分理解されていたとは到底思えない。問責され正統性を欠如した状態ではとても「国民の代表」として実力組織を統制するリーダーシップを発揮することなど出来なかった。やれば徹底的に叩かれたろう。

2011-12-24 14:02:02
fj197099 @fj197099

しかしだからといって文民統制を放棄していい訳ではない。安保の素人は自衛官の言葉に真剣に耳を傾けるべきだが、それを全て鵜呑みにするようでは民主国の防衛大臣たる資格がないのだ。F-35選定を巡っては時期やコストの問題を筆頭に政治として考えねばならない論点は数多くあったはずである。

2011-12-24 14:04:47
fj197099 @fj197099

どうも今回の決定では性能以外の問題がどこまで十分に検討材料になったのかが疑わしい部分があるのである。本当にF-35は2016年までに調達可能なのか(米軍が初期作戦能力IOCを獲得する数年も前の話である)。一体価格は幾らになるのか。40%の作業分担は国内産業基盤の維持に十分なのか。

2011-12-24 14:06:34
fj197099 @fj197099

今回の決定が2010年代後半の日本の防空能力に深刻な禍根を残すものでないことを切に期待するが起こる可能性のある悪いことは必ず起こるものである(マーフィの法則)。余り楽観視しないほうがよいだろう。個人的にはF-35引渡しは最悪の場合2020年代前半以降になると思っている位なのだが。

2011-12-24 14:09:38
fj197099 @fj197099

ところでF-Xの選定がもたついたのは必ずしも民主党にばかり責任がある訳ではない。自民党時代の防衛省がもっと精確に情報を把握していれば決定はこんなに長引かずに済んだはずだ。ある点では自民党時代の閣僚や自衛隊=空自自身の体質にも問われる部分はあるのだろう。特にF-22に拘った部分だ。

2011-12-24 14:11:12
fj197099 @fj197099

空自はF-4EJ改の更新に何としてもF-22が欲しいと言って、米国議会がその輸出解禁を行うのを待ったためにF-Xの選定がこれほど遅れてF-4EJ改の退役に間に合わない所まで来てしまったのだが、結局米国はF-22の輸出解禁をせず、しかもゲーツ国防長官は生産自体を打ち切ってしまった。

2011-12-24 14:13:02
fj197099 @fj197099

これも防衛省の歴史に残る判断ミスだときちんと指摘される必要があると思う。つまりは「その時入手可能な最高の性能を持つ機体」に拘り過ぎた余りそれ以外のもっと本質的な部分をきちんと考慮に含めることが出来なかったのだ。最悪だったのはゲーツ国防長官の哲学を全く把握できていなかった点だろう。

2011-12-24 14:14:32
fj197099 @fj197099

国防における「バランス」を重視するゲーツ長官にとってF-22など冷戦末期のソ連と戦うための時代遅れで不必要な軍人たちの「おもちゃ」でしかなかったのだ。やがて訪れる国防予算削減の流れに備えるために無駄排除を進める長官にとってF-22は早期に調達打ち切りとすべきものでしかなかった。

2011-12-24 14:17:08
fj197099 @fj197099

「バランス」重視の方針においては兵器の性能はその調達可能性やその他の論点などと同じく単に考慮すべき論点の一つでしかなかったのだ。調達可能性に難があれば当然性能は犠牲にしてももっと安いものを沢山配備しようという話になる。F-22がさっさと打ち切られたのも至極当然の話なのであった。

2011-12-24 14:18:59
fj197099 @fj197099

残念ながらこの長官の発想が日本の防衛当局にも十分共有されていたとは思えない。F-22に拘り、今なおF-35に拘る性能重視の姿勢は、米国における「緊縮財政の時代(The Age of Austerity)」が求める国防における「バランス」の発想とはおよそ対極にあるものである。

2011-12-24 14:20:30
fj197099 @fj197099

こういう発想は軍人が決して理解しないものである。軍人達にとっては兵器の性能は自分たちの命に関わるものだ。故に金に無頓着でも最高の性能のものを欲しがる。当然の本能である。だが政治家はそれでは駄目だ。リーダーはそれ以外の問題にも十分目配りしないといけない。それが文民統制の本質である。

2011-12-24 14:23:32
fj197099 @fj197099

F-35選定を巡る騒動は一見政権与党や閣僚の資質という問題に見えるが、本質的にはその根源はもっと深い。政治主導や文民統制は政治家が我侭に振舞うことでも実力組織の意向を鵜呑みにすることでもない。政治家が実力組織の主張によく耳を傾けた上で政治の観点から総合的判断をすることなのである。

2011-12-24 14:27:47