- a_matsumoto
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告知です。1/25(水)、NHK「クローズアップ現代」にスタジオ出演します。テーマは「ゲーミフィケーション」です! http://t.co/met38IAT
2012-01-23 22:35:51昨年11月、朝日新聞のオピニオン欄(論壇時評「明日を探る」)に寄稿したゲーミフィケーション論をぶつ切りで再掲しておきます。アラブの春、ロンドン暴動、ウォール街占拠デモともつなげたものになっています。
2012-01-23 22:43:27@wakusei2nd おお、さっそくの反応どもっす、ゲーミフィケーションは「希望論」でもまさに希望の一つとして触れているトピックなので、頑張ってきます!
2012-01-23 22:45:15【ゲーミフィケーション論再掲】ネット発の「運動」が大きく世界を揺るがした一年だった。中東革命にロンドン暴動、そしてウォール街占拠デモ……。いずれも共通しているのは、フェイスブックやツイッターといったソーシャルメディアを通じて、若者たちの参加行動が芋づる式に連鎖・拡大した点にある。
2012-01-23 22:46:02津田大介氏は『中央公論12月号』の茂木健一郎氏との対談のなかで、この一連のインパクトを「動員の革命」と表現する。これまでネットの可能性は、誰もが自由に情報を発信できる「総表現社会」(梅田望夫)の実現によって、
2012-01-23 22:46:50ハーバマスのいう「公共圏」——草の根の市民どうしの理性的な討議空間——を再興できる点にあると考えられてきた。しかし、いまやネットのポテンシャルは「討議」ではなく「動員」にある。
2012-01-23 22:47:03SNSでつながりあう人々が、次々に怒りの声をあげ、巨大な「オフ会」さながらに広場を埋め尽くすこと。寺山修司の言葉をもじれば「ネットを通じて街へ出よう」。これこそがいま、世界を揺さぶる原動力となっているのだ。
2012-01-23 22:47:16もちろん、それは手放しで歓迎できるものではない。ロンドン暴動がまさにそうだったように、怒れる群衆は暴徒化する危険性を常にはらむ。しかし、それは革命にとって避けられないのだと、先の対談で茂木氏は指摘する。
2012-01-23 22:47:27群衆は美しい理念なぞでは動かない。革命とは実際のところ、怒りや欲望に突き動かされた匿名的群衆が噴き上がる、ネットの「炎上」さながらの事態である。それはフランス革命の頃から変わらないのだ、と。
2012-01-23 22:47:40確かに、そのとおりなのだろう。だが、そのとき論壇なり思想なりが果たす役割とはなんなのだろうか?
2012-01-23 22:47:55せいぜいできることは、中東革命は打倒・独裁政権なので◎、ロンドン暴動は単なる暴力なので☓、ウォール街占拠は反・資本主義的だがイデオロギーはばらばらなので△というように、あちこちで起こる「革命=炎上」を後付け的に評価することぐらいなのだろうか?
2012-01-23 22:48:05あるいは「荒ぶる大衆は困ったものだ」と、(これもフランス革命以来同様に)保守主義者のように眉をひそめるしかないのか?
2012-01-23 22:48:16筆者は、これらとは異なる「動員の革命」の思想がありうると考えている。そのヒントを与えてくれるのが、『幸せな未来は「ゲーム」が創る』の著者ジェイン・マクゴニガル女史が提唱する、ゲームを通じた社会改革というアプローチである。
2012-01-23 22:48:28ゲームというと、単なる暇つぶしかひきこもりの現実逃避といったイメージが強いだろう。これに対し彼女がつくるのは、「ARG(オルタナティブ・リアリティ・ゲーム)」と呼ばれる、現実空間上でプレイするゲームである。
2012-01-23 22:48:45しかもそれは、熱中するプレイヤーが増えていくほど、世の中をよりよい方向へと変えていく「社会運動」として設計されている。それはたとえば「見知らぬ街中の人を巻き込み、他者への寛容さを育むゲーム」「貧困問題を解決するアイデアを競い合うゲーム」など、実に様々だ。
2012-01-23 22:48:55彼女の思想は明快である。要するに現実は「クソゲー」すぎるのだ。政治も会社も学校も、ルールやゴールが複雑で分かりづらく、誰もが手応えややりがいを得られる仕組みになっていない。だから少なくない人々が現実社会に失望し、ゲームに逃避してしまう。
2012-01-23 22:49:25それならば現実のほうをゲーム化し、ハマりやすい形に変えればいい。もはや政治的なイデオロギーや美しい理念だけで人は動かないのだとすれば、ゲームこそが社会運動の原動力となる。これがマクゴニガルの「ゲーム型社会運動」とでもいうべき思想なのである。
2012-01-23 22:49:37「キレる若者」ではなく「ハマる若者」たちの社会革命。筆者はここに、「動員の革命」のオルタナティブな可能性を見るのである。
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