ある夏の夜の猫の狩り

夢乃 @iamdreamers

昔見かけた猫の狩り・・・

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今を去ること数年前、夏も終わりに近づき暑さも和らいできたある日のこと・・・

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帰宅の途についていた私は人気のない夜道を歩いていました・・・

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道の脇にある高さ１ｍほどのフェンスの向こう、そこは小さな商店の駐車場になっていました。

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そのアスファルトで覆われた地面に、猫が一匹、二本の前足を揃えて座っているのが見えました。

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私は、どちらかというと犬猫好きで、猫を見かけるといつも「にゃぁ」と声をかけています（だいたい、逃げられてしまいますけれど・・・）

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そのときも声をかけようと、フェンスに近寄りました。そのときに気づいたのです。猫の前に、何か細い紐のようなものがあることに・・・

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暗い中、目を凝らしてよく見ると、紐の先に黒い塊があります。それは・・・

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ねずみでした。

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猫とねずみが１ｍほどの距離をおいて、対峙していたのです。

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静かにたたずむ猫、その前で、蛇に睨まれた蛙ならぬ、猫に睨まれたねずみ、少し離れたところから息を呑んで見守る私・・・

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どれくらいこうしているのでしょう？私がここに立ち止まってからはまだ１分たらず、その前にどれほどの時間が経過していたのか、推し量るすべもありません。

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そのまま、さらに数分の時間が流れました・・・

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・・・・・・

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と、ねずみがほんの少し、動きました。というより筋肉を緊張させただけのように見えました。その瞬間！

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猫がねずみに飛び掛りました！まさに一瞬！

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猫はねずみを咥えて、何事もなかったように、音も立てず、闇の中へ消えてゆきました・・・

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後に残るのはただ静寂のみ・・・

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ある夏の日の夜、私の目撃した猫の狩りの現場なのでした・・・