茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第636回「人との関係性において、自分の立場をいかに構築するか」
- toshihiro36
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ひじ(1)「年越し派遣村」の活動で知られ、『反貧困』(岩波新書)などの著書がある元内閣府参与の湯浅誠さんと、日置真世さんが運営されている釧路のNPOを訪ねた。釧路は経済状況が悪く、生活保護を受けられている方も多い。そんな中、どうやって支援するか。その現場で感じたこと。
2012-06-26 07:34:10ひじ(2)昨今の日本では、「自己責任」という言葉が闊歩しているが、これはおかしい。最低限の「安全基地」がなければ、人は、挑戦などできるものではない。人生の中で、さまざまな理由で、つまづいてしまうこともある。そんな時にセイフティ・ネットを提供するのは、文明社会の責務であろう。
2012-06-26 07:35:29ひじ(3)湯浅誠さんが提唱された「パーソナル・サポート」は、従来の社会福祉の方法論ではつい漏れてしまいがちな方々に対しても、個人の実情にあわせた、きめ細やかな就労、生活支援を提供するというアプローチ。内閣府の予算がついて、その運営を民間が担う「新しい公共」の一つのあり方である。
2012-06-26 07:36:38ひじ(4)その現場の一つである「まじくる」の雰囲気は、とても良いものだった。明るくて、気持ちがいい。このような「居場所」があるだけで、困っている方々にとっては大きな支えになるのだという。そして、コミュニケーションスキルが上がることで、就労への道も開けていく。
2012-06-26 07:38:15ひじ(5)「パーソナル・サポート」センターを訪問した時の会話が、印象的だった。私たちは、それぞれ、親族や友人たちの間で、自然にサポートし合っている。一方、プロフェッショナルとしてサポートする方々は、地縁や血縁が必ずしもなくても、援助の手をさしのべる。その間合いはどのようなものか。
2012-06-26 07:39:39ひじ(6)相談者が来る時から、関係性の構築が始まるのだという。そして、お互いの人間関係を模索する試みが始まる。「母親」や「父親」、あるいは「友人」というようなポジションを探ることもある。その一方で、「依存関係」を気づいてしまわないように、間合いをとることも大切だという。
2012-06-26 07:41:05ひじ(7)社会の中で、「働く」ということは、大抵の場合、経済の中である「機能」を果たすことを意味する。パーソナル・サポートのユニークな点は、どのような人間関係を構築するのか、その間合いを測ることなのだという。その点において、携わっている方々は、他にはない学びの機会を得ている。
2012-06-26 07:42:27ひじ(8)相談者は、相手の本質を見抜くから、ごまかしはきかないのだという。「いい子」で育ってきた人が、「不良」だった子に合わせて「不良」のふりをしても見抜かれてしまう。結局、人に向き合う時に自分がどのようなリソースを提供できるのか、自然体な自分にかえって行かざるを得ない。
2012-06-26 07:43:42ひじ(9)組織や肩書きや、機能を離れて、人との関係性において、自分の立場を如何に構築するか。それは一番きついことではるが、もっともやりがいのあることでもある。パーソナル・サポートの現場には、一般社会が忘れてしまっている、人間の社会性にかかわる根源的な学びの場があった。
2012-06-26 07:44:58