【夏のコラージュ　完全版】山田兼士・たけだたもつ・宮尾節子　Tweet連詩pw3y

山田兼士 @yamadakenji1

入道雲に誘われて海辺の墓地を訪れた夏。志摩の夏それともセートの夏。少年は習いたての自転車に乗って坂道をひたすら上ったり下ったり。少女は父の自転車に乗せられて遅れてくる母を励ましている。遠くそびえる灯台は墓標ではない。そんな家族が疾走する真夏の夜空に。（夏のコラージュ１）＃pw3y

宮尾節子＊新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

蓋のあいたクリームの月が懸かる縁側で。母の送ってくれる団扇のゆるい風にいつまでもあたって、いたかった。「こんな日がいつまでも」続くわけはなかったが。凪いだ一日を忘れない。岬の突端にある詩人の墓には「誰もまことは知りませぬ」と波の繰り言に答える詩碑が。（夏のコラージュ２）#pw3y

たけだたもつ @tamosino

墜落した紙飛行機が海に沈む。無人の自転車が男を追い越していく。男は置いてきた遺書の誤字に気がつき、慌てて家族の待つ家へと帰る。妻は夜更けまでサマーセーターを編んでいることだろう。愛の類はすべて語り尽くされたはずなのに、誰かの夏の中でまだ息づいている。（夏のコラージュ3）#pw3y

山田兼士 @yamadakenji1

夏は死者たちの王国。そんな言葉がふと浮かんだ。去年まで住んでいたマンションの玄関先には１本の欅があって、行き場をなくした蟬たちが集まって大合唱していた。その欅も切り倒されて。行き場をなくした僕たちは古墳の町に引っ越したのだ。幾百万の仲間を引き連れて。（夏のコラージュ4）#pw3y

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赤と書いても青と書いても夏が見える。水しぶきや汗が換金される倫敦五輪に蝉の歓声。筋肉と声帯が競い合って、やがて仲良く夏草や。ねえ、それは何？。水かき。書いてるうちにできちゃったみたい。そのようにしか生きられなかったから。赤と書いても青と書いても詩が。（夏のコラージュ５）#pw3y

たけだたもつ @tamosino

自動販売機で「夏の海」を買った。ペットボトルの海を一日中見て過ごした。水平線には夕日も沈んだ。家に帰り、何処に行っていたのか聞く妻に、海、と答えた。妻は、ウソ、と呟いた。出会った頃から僕らの指の形はよく似ていた。本当は海なんてなかったのかもしれない。（夏のコラージュ６）#pw3y

山田兼士 @yamadakenji1

自動販売機で買ってきたナイアガラに火をつけると、丘は白い炎に包まれた。今年初めての花火だ。続いて赤滝青滝の炎が揺れる。むかし幼いこどもたちと海の家で花火をした時には開発されていなかった炎を見ながら、長年の秘密を傍らの妻に告白する。そんな日もありしと。（夏のコラージュ7）#pw3y

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おまえの島土産はペットボトルにぎっしり詰めた「星の砂」。口を開けると手の平に星座が広がって。ここが夜だと解った。それは人間の川ではなくて。魔に入る川の入間川。背中で蝉のように嵩の減る、母さん。見ようとすると自然に顔をあげている。詩が、星のようならば！（夏のコラージュ８）#pw3y

たけだたもつ @tamosino

壊れて動かない入道雲の下、燃えつきた花火のために、僕らはお墓をつくる。昨夜なぞったでたらめな星座の名は、天文書に記されることもなく忘れられていく。つぎはぎだらけの不細工な幸せ。これからどれだけ生きることができるのだろう。生きなければならないのだろう。（夏のコラージュ９）#pw3y

山田兼士 @yamadakenji1

Il faut tenter de vivre 生きてみなきゃ。海から吹き上げる風の中で詩人はつぶやいた。百年後の人たちのために。男は炎を凍らせるだろう。女は星を川に撒くだろう。少年の自転車は夜空を駆けるだろう。そして少女は祈る。瀕死の夏に向って。（夏のコラージュ10）#pw3y

山田兼士 @yamadakenji1

@sechanco @tamosino 「夏のコラージュ」開始しました。

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@yamadakenji1 @tamosino おはようございます。「入道雲に誘われて海辺の墓地を訪れた夏。」ちょうど訪ねた南伊豆の小浦は海を見下ろす島の突端に石垣りんさんの墓地が見える場所。「遠くそびえる灯台は墓標ではない。」始まりの予感があって『夏のコラージュ』ナイスなお題♪

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@sechanco @yamadakenji1 @tamosino セートの夏とは生徒なのか、それとも異国の言葉かな？と心地よく海疲れしたからだと、ちっとも働かないあたまの、うっとりした朝を迎えています。わからずとも詩はよし♪「志摩の夏それともセートの」きれいなフレーズですね。

山田兼士 @yamadakenji1

@sechanco @tamosino 必ずしも特定しなくていいのですが、セートは南仏の港町で、ヴァレリーの生まれ故郷です。詩「海辺の墓地」の舞台で、ヴァレリー自身の墓もここにあります。志摩には私の山荘があって、幼い子供たちとひと夏を過ごした場所。安乗灯台があります。

森山 恵 @meg_mrym

@sechanco @yamadakenji1 @tamosino 「海辺の墓地」私はポーを思い出して嬉しいです。でもこちらは夏休み入道雲の海辺。そしてウルフの「灯台へ」も。はじまりの予感！

山田兼士 @yamadakenji1

@meg_moriyama @sechanco @tamosino たしかポーは「海の都市」ですね。ヴァレリーの「海辺の墓地」は地中海ですから、入道雲はありません（志摩にはあります）。地中海と太平洋を重ねているので「海のコラージュ」です。

@may_kojima

@yamadakenji1 おはようございます。これは、ヴァレリーの「海辺の墓地」の映像に重なりますね。この墓地は地中海を望む（ Sete ）の町の海辺にあり、ヴァレリーの墓もそこにあります。自転車習いたてのとても幼い少年少女のいる志摩の海辺の青です。

山田兼士 @yamadakenji1

@may_kojima 解説ありがとうございます。このツイートにいま気づきました。３０年近く前に訪れたセートの地中海と、２０年ほど前に８月一杯を過ごした志摩の太平洋をコラージュしました。どちらも実景です。５歳の少女はまだ自転車に乗れませんでした。

森山 恵 @meg_mrym

@yamadakenji1 @sechanco @tamosino そうですね、私が思っていたのは"Annabel Lee "。"In the sepulchre there by the sea,/In her tomb by the side of the sea".

山田兼士 @yamadakenji1

@sechanco @yamadakenji1 @tamosino 宮尾さんの海のツイートからヒントを得ました。私にとっての海といえばまず志摩半島ですから。その実景を地中海と重ねてのコラージュ。その情景が夜空に投影される、というコラージュでもあります。解説しすぎですね（笑）

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「飯能レース」「ツイート連詩」妖精姉さん（小島きみ子さんの愛称♪）の「手仕事」でたくさんのものを活かせていただきました。http://t.co/m7ljn9h0　あなたの手で世界がたのしくゆたかになります。いつもありがとうございます♪

宮尾節子＊新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@tamosino @yamadakenji1 おはようございます。「夏のコラージュ２」あげました。先日訪ねた南伊豆・小浦にある石垣さんのお墓など思い出して。小浦の湊を映し込んだ素敵な詩碑です。 http://t.co/b7D06JgV

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宮尾節子＊新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@tamosino @yamadakenji1 無人の自転車。「男は置いてきた遺書の誤字に気がつき」（ありそう・笑）慌てて帰る男。「誰かの夏の中でまだ息づいている」愛のことば。素敵な夏のコラージュですね♪おはようございます。お名残惜しいラストラン、よろしくお願い致します。

宮尾節子＊新刊『明日戦争がはじまる 対話篇』好評発売中です。 @sechanco

@yamadakenji1 「夏は死者たちの王国。」ならば、蝉の大合唱は、死者を弔う声明のようですね。「幾百万の仲間を引き連れて。」さらに幾百万が眠る古墳の町に。映画を観てるようなツイート詩です。おはようございます＆暑中お見舞いです♪