石岡良治氏の『おおかみこども』メモ

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Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

おおかみこども、感想以前のメモ。「本棚」。図書館シーンで「ヘーゲル全集だ!」とあの特徴のある背表紙に気付く。「哲学書を読むおおかみおとこ」という類型。そして花の部屋の本棚に『黄色い本』『世界史の構造』があり、二人の出会いの文脈がある程度囲い込める。育児時の本棚はそこからの変化。

2012-07-29 09:56:51
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

おおかみこどもの感想が真っ二つである理由として、あの映画が拾い集めようとしている文脈がかなり多数にわたること(「国民的映画」への期待という物語)と、そのひとつひとつの主題・文化圏で洗練されてきた諸表現・達成の圧縮・解凍手続きに、それぞれに詳しい人が「引っかかる」のが原因だろう。

2012-07-29 10:00:48
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

終わる前に『苦役列車』も見たので、やはりあっちゃん勤務の古本屋の棚を見てしまう。集英社版『失われた時を求めて』の訳本と、ちくま文庫の新しさが原作時代設定とのトーンの差か?と。チベットのモーツァルトを仕込んでいるところはうまい伏線(しかもそこで前田敦子は関係ない)だと思った

2012-07-29 10:04:18
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

おおかみこどもは設定を後から知ったので、黄色い本と世界史の構造を見たときは、開始時点が現在で、近未来の話かな?と思った。こういう軽い「時代設定のブレ」は、むしろあったほうがよいと考えている。その方が「考証的な視線」(ある意味私の「気付き」もそれ)から飛躍できる。

2012-07-29 10:07:14
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

というのも、映画公開時における「高野文子」や「柄谷行人」の文化的機能を「背景的に参照」することが、この「おとぎばなし」めいた「前史」としての序盤に必要だからだ。ここで十数年前の文化的参照を持ち込むと、この種の情報を「背景」に置いた意味合いが変わり、ある種の「レトロ」的な視線になる

2012-07-29 10:10:51
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

ジェンダーロールをどう機能させているかという文脈で、細田守への違和や批判を表明する人の中には、宮崎駿に関しては「諦めて別のフォルダに入れている」人も多いのではないだろうか。けれどもおそらくは『おおかみこども』はそうした宮崎駿的な「天真爛漫さ」への接続も意識的に行なっている

2012-07-29 10:18:03
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

言ってみれば、この映画に別の時間軸を持ち込んでいるのは「おおかみおとこの免許証の日付」。このアイテムが「ある種のリアリティとの接続」を期待され、その役割を果たしている(ロラン・バルトにおけるeffet de réelのように?)はずだが、実際にはむしろ映画のトーンと隔絶している。

2012-07-29 10:33:34