シェアついのべ01 『願いが叶う箱 - a wish comes true in a case - 』

(朝斗)外部避難中 @Asatoiro

#stw01 #tanka 裏返る箱と箱との境界は 見いだせぬまま千年は経て

simmmonnnn @simmmonnnn

#twnovel この箱を手に入れてから半年、姉からおめでたの報告を受けた。親友が宝くじを当てた。俺は彼女にフられた……なにが『願いが叶う箱』だよ。「でも親しい人たちの願いは叶ってるじゃん」「たしかに。ありがたいよ」余裕のフリで答えた。翌月、彼女に新しい恋人ができた #stw01

あＱ （CTT) @aquall

#twnovel #stw01 箱は見つからない。ネットの世界で検索しても、その存在を仄めかす情報はあってもそれはどれも胡散臭い。『箱売ります』とか本当なのか？「喉が渇いた、飲み物が欲しいな。あれ、こんなの買ってたかな？」僕は見慣れないジュースを取り出す。冷蔵庫という箱の中から。

rime @prhymethyme

#stw01 想像せずにいられない…猫のヒゲは体が狭い場所を通り抜けられるか知るのに丁度の長さなので、各１センチ短く切ったら…厚いフェルトの靴下を脱げないよう猫の手足に履かせたら…箱座りの猫を同じ大きさの箱に収納したら…少し大きい箱の中に猫を立錐の余地なくぎっしり敷き詰めたら…？

TAG @bttftag

#stw01 #twnovel 「聞いて驚け、これこそが何でも願いが叶う箱だ！」「いや先輩、俺もそれ持ってるっすよ、ほら」「……」「……先輩？」「誰だ、箱を増やす願いをした奴は」

rime @prhymethyme

#stw01 箱は開けてはいけないものだ。だから蓋がついている。時には鍵までかかっている。躊躇っていると蓋もあげない箱からどういう具合か眠れない時の羊のように次から次へ猫が出てきて向こうに歩み去る。１匹が戻ってきて「まず望みが何かを決めなくてはね」と言ったかと思うと箱の幻は消えた

rime @prhymethyme

#stw01 柵を越えた羊は着地点に留まりそこにどんどん溜って羊だらけになってしまう。その点箱から出た猫たちは歩み去ってくれて助かった。ところが戻ってきた１匹の猫だけ目の前から消えようとしない。房々の黒い毛と緑の眼の猫。勘弁してくれ。望みも願いもなしに生きてはどうしていけないのか

おりひか いくお @Orihika

#twnovel 20XX年、世界各地に巨大な箱状構造物が多数飛来した。テトロミノ状に連なり通信制御可能、一定法則で消滅するその物体は、高次元からの侵攻か交信か。絶えなき飛来・消滅の中で真意の調査は遅々進まず、人類はただ疲弊してゆくのだった。箱よ我らに安らぎを。 #stw01

(朝斗)外部避難中 @Asatoiro

#stw01 #twnovel 夜が来れば彼らは活発化する。昼間蓄えた夢を糧に、箱に惑う者達を興味深げに観察する。ニヤリ笑いは童話のまま、空間を移り住むのも童話の通り。朝が戻れば遠ざかる、命運諭す名もなき歌。その声は年月を越え、欲を持つ誰かの耳元に届く。故に今日も人は箱を求める。

水木ナオ @nayotaf

#twnovel #stw01 「どちらへ？」闇にうごめく人影に声をかけると、それはひっと叫んで抱えていた物を床に落とした。「うちのカメラと暗箱を盗もうと？」「し、写真を撮ると願いが叶うんだろ？！」ああまた誤解している。箱は所詮、ただの箱。機能するには――正しい”鍵”が要るのに。

@Asatoiro

#stw01 #twnovel 箱なんてものを信じてる訳じゃなかった。ただ、違う未来が開けばいいと思っていた。だから、路地裏に重なった空箱を蹴り悪態をつく。顔を上げると階段の端で本を繰る少女がいた。「あなたも、探してるの？」応えることはできなかった。だって、僕がそれを探す理由は。

(朝斗)外部避難中 @Asatoiro

#stw01 #twnovel 埠頭に着いた時には全てが終わっていた。購入者の老人どころか取引相手の影もない。箱は渡ってしまっただろうか。溜息と共に煙草を取り出し火を点ける。「また振り出しだ」依頼に期限がないだけが幸いだった。何処から来たのか、足元に黒猫が居て俺を見上げていた。

(朝斗)外部避難中 @Asatoiro

#stw01 「箱に何が入ってるか知ってる？」友人の問いに僕は神話宜しく「希望」と答えた。「だから願いが叶うのかな」少女は笑う。「最後に残ったのは希望じゃないって話、知ってる？」「いいや」「残るのは…」一向に進まないレポートを放って、欠伸をした。「なのに何故、願いは叶うのかしら」

simmmonnnn @simmmonnnn

#twnovel 「その箱はどういう形なんだ？」「それを知る意味はない」「持ってるだけでいいのか？」「開けるのだ」「それから？」「中に入るのだ」「……願いが叶う箱なんて、本当にあるのか？」老人はその問いには答えなかった。見上げた空に夜の帳が下りる。蓋が閉じるように。 #stw01

おりひか いくお @Orihika

#tanka 口伝少女ふみか: かね振りて箱に願いし世のたいら　秋津が原に煙たなびく #stw01

おりひか いくお @Orihika

#tanka 口伝少女ふみか: 星船のゆく道筋に浮かぶ箱　安寧願い祈念波を送る #stw01

wacpre @wacpre

『願いが叶う箱』だというから、せっかく手に入れたのに蓋が明かないし、ふってみても音はしない。持っているだけで、叶うというの？金髪の店主に騙されちゃった？ #twnovel 翌月、彼からプロポーズを受けた。その後は、いくら探してもあの箱は見つからなった。 #stw01

とおる6th @windcreator

繋がりませんよ。繋がらないし、あなたの言葉は届きません。どこにも届かないし、誰にも響きません。寂しいですか、切ないですか、それとも――退屈ですか。あなたの願いはそれですか？ 叶いますよ、この箱に願えば。絶え間なき欲望と切望が寄せては返す潮騒が、あなたのものですよ。 #stw01

(朝斗)外部避難中 @Asatoiro

#stw01 世界の始まりは箱庭だった。私達は神の箱庭で生まれた。神は小さき箱を眺め、その内の成長を見守っていた。やがて一千年が過ぎた。世界はその内に収まらなくなった。故に智慧あるものは神を真似、新たな箱を作った。それは神の怒りに触れた。――『創世記』二章　出典 #twnovel

(朝斗)外部避難中 @Asatoiro

#stw01 夢を見た。不思議な箱の出てくる夢だ。七色に翳る金属で出来た箱で、私はそれがとても怖かった。けれど、開けなければいけない。震える手で蓋に手をかける。『戻れなくなるよ』顔を上げる。見知らぬ人影が語りかけてくる。『多くを求めれば、破滅が待つよ』その微笑は三日月に似ていた。

酔宵堂 @Swishwood

#stw01 「喪世記」にはこうある。──”わが庭を模したる定命の輩に万の万倍の禍よあれ。偽りの箱は禍の数だけに分かれ、一つにつき一つの罪で贖われよ。わが許にその偽りの身の揃うまで、その罪贖われることなし”──と。それが、「箱」の真実だと云うのか。故に、「喪世記」だと云うのか。

あＱ （CTT) @aquall

#twnovel 逃げ込んだ森に明かりなど無い。私が目印としたのは一点の”闇”だ。暗い森の中でそれは尚一層黒く深い。吸い込まれる様に近付き、其れが口を明けた箱だと気付いた。「助けて」知らずこぼれた願いに箱は私を閉じ込める。貴方が私を求め願いこの箱を開けるその時まで。 #stw01

あＱ （CTT) @aquall

#twnovel #stw01 その箱は願いを叶えてくれるという。何故？どうやって？私の中に疑問符が飛び交う。私は何年もかけて箱を入手し、その箱を調べに調べ、数十年と研究を重ね、ついにその仕組みを解明した。簡単な事だった「何故願いが叶うのか教えてくれ」と箱に願えば良かったのだ。

kohca？ @kohca

「願いが叶う箱？そんなおとぎ話を、まだ信じてるのか。そういう所もかわいいよ」彼はそう言って私の頭を撫でた。でもね、それはおとぎ話じゃないの。私が開けたのよ。その箱で、私はあなたの心を奪ったの。だから、それは…それは、もう、あなたの心じゃ、無いの。 #twnovel #stw01

はたなか茶 @cha_hatanaka

#twnovel #stw01 何でも願いが叶う、と言われて覗き込んだ、箱は空っぽだった。そして何も起こらなかった。願いはきっと、強く真摯でなければならない。なるようになるサ、なんて私にはきっと効き目がない。次へ手渡そう。誰よりもこの箱を必要としている人物に会いたい。それが願い。