気象情報の取り扱いの変化について

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生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の1】現在、世界気象機関では、1995年の決議事項40(Res40: http://t.co/vjO6Jg6a )の見直しが検討されている。Res40の柱の一つは、各加盟国が、国際協力のために無償・無制約で交換されるべきもの以外の気象資料を他国に提供するにあたって、

2012-08-29 21:58:39
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の2】その第三国や自国への再輸出を制限できることである。これは、当時、殊に西欧諸国において、政府機関が民間や他の政府機関(!)にデータやサービスを販売して歳入不足を補う「政府の商業化」政策をとる国が増え、(特に民間企業を介した)再輸出によって自国の気象データが(特に自国や

2012-08-29 21:59:46
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の3】その周辺で)タダ同然の値段で流通すればその販売事業の妨げになると主張したことによるところが大きい。ただし、イスラエルなど、国防上の理由で近隣諸国に自国の気象状況を把握されない手段としてこの権利を行使する国もある( http://t.co/jUzQSbf5 等)。

2012-08-29 22:00:58
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の4】さて、「政府の商業化」に伴う気象資料の入手コスト増や入手困難に対しては、Res40の採択直後から批判があり、たとえば、早くから限界費用(ネットワークによるならば実質無償)の聴取のみで公共セクター情報(PSI)を提供することによってこれを利用する産業の振興を図ってきた

2012-08-29 22:01:22
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の5】アメリカからは、 http://t.co/49skh3uN のように、欧州を名指しして疑問を呈する論も出ていた。その欧州でも、かつて政府の商業化を率先して進めてきた英国政府から、PSIの販売は大して財政の助けにならないうえに、PSIの無償(データの生成に係る費用を

2012-08-29 22:01:53
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の6】徴収しない)提供を通じて情報サービス産業等の企業・発展や運営経費の低減を図ったほうが国全体としては得だとの研究結果が公表( http://t.co/xWvYJrGt 等)されたり、同様の考え方がEUの政策( http://t.co/Dy6nsUTR )に採用されたり

2012-08-29 22:02:43
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の7】するなど、今世紀に入って風向きが変わりつつある。さて、今回のRes40の見直しでは、国際的な及び加盟各国の気候監視・気候サービスの充実にあたって、各国が行っている気象資料の流通制限が気候解析・予想に必要なデータの不足・入手困難を招いている/招きうるとの認識から、主に

2012-08-29 22:03:06
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の8】無償・無制約で交換されるべきデータの範囲を拡大することが想定されているが、話はそれだけでは済まないだろう。オープンデータについての議論においては、先に挙げた米国の議論はもとより、例えば近年のOECDにおける議論( http://t.co/rzX57E9N 等)でも、

2012-08-29 22:03:34
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の9】PSIの提供のあり方が学術・公共目的の利用と商業目的の利用に及ぼす影響はセットで論じられおり、公共的な気候サービスにおける問題だけを解決するのでは片手落ちになるからだ。殊に、かつて「政府の商業化」をRes40に反映させた西欧諸国がこれを放棄して「PSI(なかんずく

2012-08-29 22:04:20
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の10】生産財たる加工性データ)の産業向けの開放」へ移行しつつある現在、商業活動に対する気象資料の無償・無制約・無手続の提供手段を用意することを各国気象機関に勧告するところまで話が進む可能性がある。ここで日本の現状を見てみると、「国から直接」に近いかたちでの加工性の気象資料

2012-08-29 22:05:05
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の11】の入手手段としては、気象業務支援センターによる付加価値型サービスがあるが、このサービスは、参入条件が禁止的なまでに厳しくて独占状態となっており、手数料の中身が通信の速度・信頼性及びサポートに係るものだけ(データ本体はタダ)ではあっても、事実上これが「加工性データ

2012-08-29 22:05:22
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の12】を利用する権利の対価」として機能してしまっている。こうした理解は、国自らによる「付加価値なし」の加工性データ提供サービスがこれと並行して(←重要)存在しないことの写像でもあるが、世界的なオープンデータ化の趨勢からは、現在の施策が閉鎖的・抑圧的なものに見えるだろう。

2012-08-29 22:05:55
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の13】また、独自予報をする場合だけとはいえ、国の気象資料を利用する事業を開始するにあたって政府による業務体制等のチェックを受けることが制度化されている(許可制度)ことも、PSI利用事業におけるイノベーションを妨げないためには政府のチェックはないほうがよいとする

2012-08-29 22:06:17
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の14】近年の議論とは整合的でない。さらに、PSIのオープンデータ化の効果として、国家権力の保護の下でしばしば採算を度外視して収集・生成された高品質・恒久的なデータを普及させることによって、これを利用する民間サービスの品質を上げ(気象資料ならば、国の防災気象情報と矛盾した

2012-08-29 22:06:40
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の15】情報が発表される可能性を潰し)たり、サービス提供者と利用者との間の情報格差(非対称性)を解消したりできることがあり、これらは、PSI利用業務に対する国の規制の根拠を失わせうる。おそらく、Res40の見直しの先には、国の気象資料の商業利用への提供についての政策の

2012-08-29 22:07:37
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の16】標準化、すなわち無償・無制約・無手続化の促進も日程に上ると思われる。今後、気象庁は、業界団体による予報サービスの品質向上・消費者保護活動を支援する、資金力のない予報業務許可事業者に(現在の学術向け配信のような)低品質だが廉価な気象資料入手手段の利用も認める等の

2012-08-29 22:08:10
生やし長二郎💉💉💉💉 @Retina014

【連投の17】現行制度を前提とした漸進的な施策上の選択肢を、徐々に封じられていく(すでに封じられている?)のだろう。…と、今書ける限界はこのへんまで(了)

2012-08-29 22:09:20