恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす〜24歳の青年が経験した数奇な一晩

yamagucci @yamaguchi67

【恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす〜24歳の青年が経験した数奇な一晩】 寒風の吹き荒ぶ中、目的の場所へ10分前に着く。「予約の…」とだけ言うと奥の個室へ通される。そこは大衆居酒屋ではないが決して高級な所でもない至って普通の店。相手はもう来ていた。(今日一日で書く)

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座る前に異変に気付く。仲人？の母親がいない。相手の仲人であるはずの叔母もいない。時間前だからか…。「初めまして…」と言いかけた所に電話がなる。遅くなるから始めてて、と。手持ち無沙汰な状態で待つわけにもいかず挨拶もそこそこに私はビール、相手はハイボールを頼んだ。目の前に座るは…続く

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本日のお相手の女性、後でわかるが三十路の一つ手前だそうだ。肩下まで伸びた黒髪の色艶がよく、細長に切れた目元の涼やかな人だ。薄化粧でも肌のハリが良いのか、同年代かほんのわずか年上にしか見えない。芸能人で例えると、小西真奈美を可愛いから綺麗の方向へ寄せたタイプ。などと考えている…続く

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間に飲み物がくる。「では…とりあえず……乾杯…」自信のない私の声に反比例してグラスはキンと鳴る。人見知りからの緊張を紛らわすために半分ほど飲む。そんな私を笑顔で見つめる彼女。「お酒、好きなんだ？」「いいいいやそんなことないですよただただちょっと緊張してへへへ、はぁ…」先行不安…続

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いよいよここで自己紹介。「達也と申します。年は24の現在は大学生であり……」で、出たーー!!箇条書き自己紹介!!極度の人見知りの私は震えるてでビールを持ちながら正座で一息に自分を語る。「24…か。若いね。私なんてもう、おばさんでしょ？」「いやいやいやそんな全然そんなねえ？」…続く

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「ふふ。お世辞はもう少し上手にやらなきゃダメよ？」「いやいやほんとお世辞なんてほんととんでもないなんつーかそのアレですよ？あのー、いや、お綺麗で。若いな～と。ははぁ」私はこの歳になっても世辞の一つも上手く言えないのか。自分に落胆しもはや彼女の目を見る勇気さえ出せず、相手の指先…続

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ばかりしか見ることができなかった。綺麗な指、そして爪。透明なマニキュア？なのかな、などと余計な事を考え冷静さを取り戻す。そうはさせまいとずっと彼女のターン!!「えーっと、タツヤ君でいいかな？かっこいいね。モテるでしょ？」「ちょそんなお世辞なんて「お世辞じゃないよ(かぶせ気味)…続

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「いや別にモテるってかまあそうっすね、あでも全然ですよ。うんはい…」「そう？彼女とかいるんで「そんな彼女なんて全然あれですよいないですよ(食い気味)」私は揺らいでいた。見失っていた。舵取りを。方向性を。ここで話が数日前に遡る。世話焼きな私の母が30代男性のお見合いをセッティング続

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したのだが、急遽その男性の予定が合わなくなったらしい。相手の女性に申し訳ないし、息子でいーか、と。つまりは代役である。急に年上の女性となんて無理だ。なんとなく怖いし。だから絶対に、一度飲むだけだ、つまりはなんらの感情も抱かない！と決めていたのだ。私は臆病者なのである。…続く

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限られた狭い範囲の閉鎖的な世界を作り慎ましく生きたい私、わずかな精神の乱れによる心理的ダメージを極限まで抑えたい私にとって、色恋は極めて危険なのだ。しかしながら、しょうがなくとは言え参加したこの席、万が一にも相手が私に好意を抱いたら、いや抱いていただいたら、どうすれば…続く

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恋愛とは無縁な世界で生きてきた私には正常な判断がすでに出来なくなっていた。自分が何を望むのか、どう話を進めればいいのか。彼女は言う…。「来年から就職か…。男のコはね、学生から社会人になる時にまた一つ男になるの。子供から、大人の男に。その変化がかっこいいの」えっ、どういう意味？…続

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おそらく、しっかり頑張ってかっこいい大人になれ、と言う意味だろうが頭がパニックな為『この人、近くで俺の成長みたいの？告白？てかこんなクソガキにこんな優しいなんてありえなくね？なんなの指綺麗だし』と見当違いな思惑が脳髄を駆け巡る。あばばばば…。頭の中のクエスチョンマークが…続く

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その数をねずみ算式に増やしていたその時、ようやく仲人が登場。「ごっめーん。どう？結婚するの？」ごめんなさい肉親ながら殺してやろうかと。まあその後はなんやかんやおほほウフフと会話をして、解散の流れに。ここで問題が。連絡先を聞くのか。『いや聞かねーだろ聞いてどうするたかが大学生が…続

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社会人の女性に何ができるよ大体彼女だって俺にどーせ興味ねーだろ知ってんだよははん！いや、でも。たしかこういう場合連絡するしないにせよ聞かないのは失礼にあたるんじゃないか？アタシ魅力ないのかな、とか思わせちゃう？やっぱり聞こう！でも…でも…』抜け出せない思考の沼。彼女が一言…続く

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「この後…どうする？」 エンダァァーーーーーーーーー こなあああああゆきーーーーーーー …ここで目が覚めた。実はね、お見合いなくなったんだ。やっぱり年下は嫌だって。うはwww会う前からフられとるwwwあほか俺はwwwww全部妄想なのwwごめんなさいひくにひけなくてwwwwww