クリスマスにひとりラブホで写経

よしむら @ko__ma

はたして、まやかしのムードなどに流されず、薬物による作りものの生理反応などに惑わされず、直接的な視覚や聴覚刺激などを遮れるはず。心頭滅却すれば、火もまた涼しく、エロもまた凪ぎ。……では、はじめる！

よしむら @ko__ma

こんばんは。昨夜、ひとりラブホで写経をしておりました、僕です。携帯の充電が切れ、顛末を呟くことができませんでした。一部の方には、あまりに煩悩を打ち破り、徳が高まり、ラブホの一室でそのまま即身成仏してしまったのではないかなどと、ご心配をおかけ致しましたが、図らずまだ現世におります。

よしむら @ko__ma

常より人は煩悩にまみれて生きております。煩悩とは、欲望であります。人は何のために生きているかと言えば、美味しいものを食べたい、人からよく思われたい、きれいなものを身に付けたい。それから、クリスマスイブを口実に恋人と腰の砕け散るような激しいｆｘｘｋをしたい。

よしむら @ko__ma

それら煩悩を、醜く穢らわしく浅ましいものとして、頭から否定する人たちがいます。しかしそれは間違っている。欲動とは、最も一次的なモチベーションであり、行動原理です。欲動を限界まで制限された世界は、無機質で機械的で、ある意味においては清浄かつ理性的で、そしてなんとも詰まらない世界。

よしむら @ko__ma

だから僕は煩悩を否定しない。それらはあっていい。それらは世界をきっと愉快にする。

よしむら @ko__ma

だが、僕ら非モテには、他を置いてもひとつだけ必ず超剋しなくてはならない煩悩がある。それこそが、クリスマスイブを口実に恋人と腰の砕け散るようなｆｘｘｋをしたい欲だ。だって僕らには恋人はいない。欲望は成就されることによって人を幸福にするが、成就しえない欲望は人を不幸にするだけである。

よしむら @ko__ma

非モテたちは、実に様々な方法で、このクリ恋腰ファ欲をクリアしようとする。たとえば、ある者たちは春を鬻ぐ商売女を相手に金品と引き換えに腰ファ、ある者たちは画面の中の存在と次元を越えたバーチャルな腰ファ……彼らは、対象を代替することによって、叶えられなかったはずの欲望を成就している。

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また、ある者たちは「恋人いらない同盟」(※「恋人いない同盟」ではない。彼らは昨今のら抜き言葉を決して許さない)などと称して徒党を組み、パーティーを開く。恋愛で成就せぬのなら、友愛で埋め合わせをする。傷の舐め合いというなかれ、これもまたひとつの賢いソリューションであろう。

よしむら @ko__ma

しかし、風俗には大変なお金がかかる。また、二次元愛には常人離れした卓越した想像力が必須だ。金もなく、イマジネーションが貧困で、そしてパーティーを一緒にひらく友人もいない……そんな大多数の非モテたちはどうすればいいのか。……そう、ただ我慢するのだ。ただそれだけだ。それしかないのだ。

よしむら @ko__ma

こうして、我慢がリミットにまで達したとき、恵まれぬ彼らの矛先は恵まれし者たちへと向かう。まずは、幸せな聖夜を過ごしているリア充たちへの羨望、嫉妬、怨嗟。或いは、本来同じ非モテなはずの、風俗ユーザーや二次元オタクや友人パーティーへの侮蔑。

よしむら @ko__ma

決して叶わぬ巨大な欲望は、同じ絶対値の質量を持つマイナス感情に転化される。これら負の感情に転化することで、彼らはかろうじて自分を守っているのだ。それほどまでに、現代日本におけるクリ恋腰ファ欲は肥大化してしまっている。リア充爆発しろと呪うことで、自分が爆発してしまうのを抑えている。

よしむら @ko__ma

だが、悲しいではないか。メディアによって肥大化させられた欲望から、負の感情に支配されるなんて。そういうわけで、僕はクリ恋腰ファ欲を「我慢する」のではなく、「なかったことにする」ことを提案したい。幸福への渇望を、不幸の呪いに転化するくらいなら、幸も不幸もない無へと霧散させてしまえ。

よしむら @ko__ma

そのひとつの答えが写経である。僕は昨夜、ひとりでラブホに泊まり、性的欲求に対する写経の効果について実験を試みた。結論から申し上げて、写経は非常に手軽かつ有効であることが確認できた。来年のクリスマスには、是非とも非モテの皆様がたに実行して欲しい次第である。以下、昨夜の顛末を述べる。

よしむら @ko__ma

写経のアンチ性欲の性能を確かめるためには、一定以上の性的欲求が被験者のなかに準備されねばならない。ということで、事前に、以下のような設定・準備を行った。

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【1.照明】紫色は女性の性的興奮を促すそうですが、男性にはむしろ性欲減退の色だそうです。昨日のラブホには枕脇に照明ムードの切り替えボタンがついており、デフォルト設定が紫でした。が、今回は相手の女性不在のため、気兼ねなく薄暗いオレンジ系の照明に。男性には暖色系の照明が有効だそう。

よしむら @ko__ma

【2.まむしドリンク】性的欲求も突き詰めれば、脳内の電気信号と内分泌に過ぎず、ある程度は薬理的にコントロールが可能である。今回はドンキで999円のものを摂取。実際の感想としては「……プラシーボ？」くらいの。5000円くらいするグレードのやつとかあったけど、効果もすごいんだろうか？

よしむら @ko__ma

【3.アダルトビデオ】男性は女性に比べ、具体的な視覚刺激・聴覚刺激に敏感に性的興奮が誘発されるそう(女性は抽象的な色彩や言語情報によるところも大きいそう)。そこで大画面でオトナの映像を流しっぱなしに。音量も最大にしてみたら、耳をつんざく悲鳴のようになったので、音は若干落とす。

よしむら @ko__ma

この状況で写経スタート。なお、今回の写経は、既に薄く字が印刷された紙に、上から筆ペンでなぞってゆくというスタイル。経は般若心経をセレクト。それから写仏画も一枚。同じく薄い印刷をなぞるというもの。仏画は煩悩を打ち破る不動明王図。

よしむら @ko__ma

非日常な空間で、慣れない筆ペン、難しい漢字、あと喘ぎ声うるせえ。が、三行も描いたところで、どんどん集中力が高まってゆく。まったく画面も音声も気にならない。写経すごい。

よしむら @ko__ma

お経の意味とかが分かっているわけではないので、宗教的な効果じゃないな。ただこういう単純な作業は、物事の本質みたいなものを解体するということだと思う。よくいうゲシュタルト崩壊というやつ。

よしむら @ko__ma

たとえば、文字というのはそれ自体、ただのインク染みであり、図形にすぎない。が、脳内にその視覚的な表象が音声や意味的な表象に変換される。このプロセスは通常、自動的かつ不随意的に行われている。

よしむら @ko__ma

これが、同じ文字を見続けたり書き続けたりしているうちに、意味表象へのアクセスが麻痺して、単なる視覚的な形態表象でしかなくなる。意味を奪われた文字は、単なる線と点にしか見えない。これがゲシュタルト崩壊。

よしむら @ko__ma

写経している間に、画面のなかではキャビンアテンダントのタイツがビリビリに破られていた。成人男性がタイツが破られるという現象を目にしたとき、通常なら、その後行われるであろう展開の想像や、男優への感情移入といった思考プロセスが、半ば強制的に実行される。それは性的興奮を誘発しうる。

よしむら @ko__ma

が、文字を筆ペンでなぞるという作業に脳のメモリを食わせている状態では、そういった未来予測や感情移入といったやや複雑な思考プロセスの実行がうまくいかなくなってしまうのではないか。破れたタイツはいつまでも破れたタイツのままであり、破ったのは自分ではなく知らないオッサンなのである。

よしむら @ko__ma

そして、写経が20枚と写仏画１枚が終わったところで、脳と手はくたくたに疲れ、そのままお風呂に入って、すぐベッドで寝てしまった。起きたときにはもう昼近くで、僕は無事にイブを邪念に囚われることなくやり過ごすことができた。まじ写経オススメ。