茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第８４１回「ぷー太郎でも、いいじゃないか」

茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ！　ぷれいりーどっぐくん、おはよう！

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連続ツイート第８４１回をお送りします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、「いいじゃん！」系ツイート。

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ぷい（１）先日の朝日カルチャーセンターの講義のあと、質問をしたり、著書にサインをしてください、という方々とお話していて、その人の波もようやく消えて、さて、打ち上げに行こうと思ったら、教室の端の方に、青年がぽつんとひとり座っていた。それで、気になって、声をかけた。

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ぷい（２）そいつは、講義中にとりあげたJohn DowlandのCome againの歌詞を読んでもらったとき、なんだかすげーリズム感がいいやつだった。それで、気にはなっていたのだけれども、教室に残っていたから、おい、どうしたんだよ、と声をかけてみたのだ。そしたら、飲み会に来た。

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ぷい（３）こういうやつには植田工（@onototo）をあてればいい、と思って一緒にエレベーターに乗って、徐々に聞き出し始めると、そいつは、英文科で、４年だというから、就活しているのか、というと、してない、という。それで、ははあ、と思って、呑み始めて聞いたら、学校行ってないという。

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ぷい（４）なんで行かないんだ、と聞いたら、社会の不平等がどうのこうの、とかいうから、そうかっ、と言って、あとは酒を飲んでいた。それで、いろいろ考えているんだから、それでいいんじゃないかな。「学校行かなくったって、仕事しなくたって、大したことじゃないから」と言った。

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ぷい（５）こういう青年がいると、説教する人がいる「君、学校にはちゃんと行きなさい！」「仕事をちゃんとしなさい！」全くその通りなんだけど、思うけど、本人はそんなことはとっくにわかっていると思う。特に、異様に「同化圧力」の強いこの日本という国では、普段から「常識」の針のむしろだ。

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ぷい（６）ぷー太郎でも、いいじゃないか。ぼくは基本的にそう考えている。社会はそんな甘いもんじゃない、という人もいるだろうけど、いや、そんな「常識」はわかってるけど、実際学校行きたくないんだし、就活したくないんだから、したくないものは仕方がない、と私は思う。

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ぷい（７）アントニオ・ネグリと『帝国』を書いたマイケル・ハートさんと話したことがある。ハートさんは今はアイビーリーグの某大学の教授をしている。「立派な」社会的地位だ。ハートさんは、パリで数年間ぷー太郎をしていて、その間ネグリさんと哲学的な議論をした。そして『帝国』を書いた。

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ぷい（８）「それでは、パリの年月は、あなたにとってギャップ・イヤーだったんですね？」とハートさんに聞いた。そしたら、ハートさんは、「いや、アイビーリーグの教授をしている今の方が、むしろギャップ・イヤーだ」と答えた。それを聞いて、ああ、立派な人だな、わかっているな、と思った。

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ぷい（９）真面目に働くことが尊いことは当たり前。しかし、いろいろな事情で、あるいは内発的動機において、学校に行きたくなかったり、就活したくなかったら、それは仕方ない。大丈夫。ぷー太郎でも、いいじゃないか。いつかは、社会参加したくなるし、そもそも参加の仕方には、いろいろあるよ。

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以上、連続ツイート第８４１回「ぷー太郎でも、いいじゃないか」でした。