愛媛新聞連載 「北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす③ 風の力 戦略支える企業・市民」 2013年2月26日
- shimanamis
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【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす② 風の力 戦略支える企業・市民1: コペンハーゲン中心部から車で20分ほどの郊外に黒で統一された現代的な建物がある。一見、デザイン会社のようなこのオフィスがデンマーク最大の電力会社「ドンク・エナジー」の本社だ。
2013-02-26 22:44:33【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす②-2 化石燃料ゼロを目指すデンマークの「エネルギー戦略2050」の成否は、国内の電力生産の54%を担う同社の双肩にかかっている。 1972年に国営会社として発足し、今も政府が株式の76%を保有する同社。
2013-02-26 22:46:02【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす②-3 企業間連携担当のマーティン・ノイベルト部長は「わが社の発電設備は06年時点で火力85%、再生可能エネルギーが15%。だが40年までにこの割合を逆転させる」と意気込む。
2013-02-26 22:47:14【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす②-4 価格変動が激しい石油や石炭に比べ「クリーンで信頼性も高い」(同部長)と、今後は同社が90年に世界で初めて設置した洋上風力発電に集中投資することで道を切り開く考えだ。
2013-02-26 22:48:04【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす②-5 その視界はおおむね良好だ。北海に面したユトランド半島と約400の島からなるデンマークは山がなく、偏西風が年中吹く風力発電の適地。気候変動・エネルギー・建設省のまとめでは現在、約5千の風車が回る。
2013-02-26 22:49:05【愛媛新聞】北欧エネルギー事情第2部②-6 加えて陸から5~25キロの沖合に建設する洋上風力は騒音や景観などの問題が少なく、風車の大型化で高出力が見込める。遠浅の海岸が多く、日本では懸念される漁業補償も「欧州連合(EU)全域で操業できるので問題になったことはない」(同省)という。
2013-02-26 22:50:02【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす②-7 中規模の火力発電並となる40万キロワットの洋上風力の建設費は、約10億ユーロ(1200億円)で決して小さな投資ではない。
2013-02-26 22:50:42【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす②-8 だが、「風量や風車の大きさで収支をほぼ計算できる」(ノイベルト部長)ことに加え、税制上の優遇措置なども追い風となって、商社や高いリスクを敬遠する年金基金の投資事例が増えているという。
2013-02-26 22:51:38【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部②-9 同様の動きは市民にも広がる。コペンハーゲンの南にあるロラン島で農業を営み、今は年金生活を送るクラウス・クリステンセンさん(65)は83年、自宅敷地に島で初めて発電用風車を1基建てた。石油危機を経て風力発電が注目され始めた時だ。
2013-02-26 22:52:38【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす②-10 「自分で電気が作れて、お金にもなるのか」―。売電収入は年間平均で約35万クローネ(560万円)に上り、銀行から全額借り入れた建設費は9年で完済。その後は打ち出の小づち状態となっている。
2013-02-26 22:53:37【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす②-11 妻のリーセさん(61)を見やりながら「子ども2人と孫が3人いるし、奥さんも『たまにはドレスが欲しい』って言うよ」と笑顔のクリステンセンさん。その笑顔は評判となり、いまや島内に500基の風車が林立している。
2013-02-26 22:56:08【愛媛新聞】北欧エネルギー事情 第2部 自然を生かす②-12 世界でも例のない野心的なエネルギー戦略を掲げるデンマーク政府。支えるのは企業や市民だ。 (加藤太啓)
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