村上隆氏による映画「ヒックとドラゴン」に関するツイートまとめ
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「ヒックとドラゴン」(1)<多少ネタばれあり>原題「How To Train Your Dragon」を飛行機の中で2Dで見た。なので、飛翔シーンの爽快感は1/3程しかない=その意味で映画の旨味も33%ですな。しかし、それを凌駕する争点が絞り込まれており驚嘆した。
2010-09-06 13:01:46「ヒック〜」(2)これは「ハートロッカー」シンドロームの作品だ。「ディアハンター」的戦争の心的外傷の表現から「フォレストガンプ」ベトナム戦争の伝説化=癒しの方向へ。で「ハートロッカー」では懲りないアメリカの戦争 シンドロームへの直接提言へと動く、そんなムードが満載だ。
2010-09-06 13:02:11「ヒック〜」(3)昨今のハリウッド映画の脚本は精緻な設定を求められ、おとぎ話の必然性にまで大きな梃入れが行われている。「リアリズム」を付加し続ける。その流れを受け、「ヒック〜」では主人公は最後、心の平静と取引をして身体の不自由を甘受することになる。
2010-09-06 13:03:31「ヒック〜」(4)「ファインディング ニモ」においてpixerはハンデキャップの主人公を設定した。しかし、それは生まれついてのものだった。そこから進化発展させて行き、主人公は傷つき、満足な人心ではない事をことさら強調させ、放置される。その設定に納得し感情移入可能となるのだ。
2010-09-06 13:03:53「ヒック〜」(5)アバターの主人公も足萎えからの脱出劇と設定が巧い。が、「ヒック〜」は子供用アニメーションだ。そこで傷ついたアメリカ人心への処方を行い始めた事は、ある意味、日本のアニメが子供用から遊離し始めた、、、オタクムーブメント勃興と似ているのか?
2010-09-06 13:04:23「ヒック〜」(6)日本のアニメは子供用のメディアを食い破って、日本人を癒すメディアとして発展して来た。その基盤は高畑勳の「アルプスの少女ハイジ」そして西崎義展の「宇宙戦艦ヤマト」がほぼ同時期にリリースされ、今のアニメムーブメントの基盤を造った。
2010-09-06 13:04:47「ヒック〜」(7)それに続いて、富野喜幸「機動戦士ガンダム」がロボット ものにおける主人公の悲哀をテーマとしたムーブメントを創造。高畑組の宮崎駿が「ルパン三世カリオストロの城」を造り、これを観たpixerジョンラセターは大きな啓発を受けた。
2010-09-06 13:05:10「ヒック〜」(8)故にpixerアニメーションは子供用アニメ造りは行ってはいない。そして常にマーケットはインターナショナルだ。一方ドリームワークスはアメリカ人へのアプローチに徹底している。声優のキャスティングや時々の映画のトレンドのパクリ等にその傾向が顕著だ。
2010-09-06 13:05:24「ヒック〜」(9)「シュレック」シリーズでは精緻なCGの表現の中にそうしたアメリカ的な時事ネタを盛り込み、それが日本ではハードルになっている。「ヒック〜」も「トワイライト~初恋~」でのヒロインが恋心を刻印される木のてっぺんでのエピソード等がある。
2010-09-06 13:05:35「ヒック〜」(10)しかし、そうしたドリームワークスアニメーションでさえ、アメリカの急所、核心部分を突いた設定、ストーリーとなり、その痛みは日本のオーディエンスにも充分届いて来ていると言えよう。アメリカでは口コミでランキングも後半のびている。
2010-09-06 13:05:51「ヒック〜」(11了)ラストシーン、悲運を理解するヒックの表情はCGである事を忘れさせ、彼の目の光に吸い込まれて行くようだった。「もののけ姫」的な現代人の持つ宿痾を描いた傑作といえますが、それよりも、アメリカのアニメ事情の進化の深度に畏敬の念を持った。
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