【一つの大陸の物語】イクストーヴァ王室警護官日記
【王室警護官日記】 本日は休日。今朝、トレイズ殿下の元へリリアーヌ嬢より電話があった。殿下はその後間もなく我々のところへ来られ、チーズをいくらかカットして持っていかれると、そのままシュルツ家へと向かわれた。 殿下の到着後、リリアーヌ嬢は殿下へここ最近の出来事を話していた。
2013-06-02 20:54:41リリアーヌ嬢は、終始気まずそうな、話しづらそうな様子であったが、本日アリソン女史が帰宅されるということで意を決して話すことにしたようであった。殿下は何も言わずただ話を聞かれていた。 というか実のところ殿下も我々もフィーより大まかな経緯は聞いているのだが。
2013-06-02 20:55:24我々もつい最近まで全く知らなかったのだが、「トラヴァス少佐」は先々月にベゼル王国へ帰国される際に飛行機「事故」に遭われ、「亡くなられた」そうだ。まったく痛ましい限りである。アリソン女史の悲痛はいかばかりか。
2013-06-02 20:56:02昼ごろ、殿下が昼食の準備をなさっている間にアリソン女史が帰宅された。その後アリソン女史からリリアーヌ嬢へ、事の次第について説明があった。アリソン女史は再婚なさるとのことである。なんと喜ばしいことであろう。
2013-06-02 20:56:40なお、その結婚式には我々も「会場整理」役として参加することになっている。光栄なことである。 事情を知らされてないリリアーヌ嬢が若干不憫ではあったが、我々も殿下も当日まで口止めされているため何も言うことはできない。
2013-06-02 20:57:35第6の月9日
【王室警護官日記】 本日はアリソン女史とヴィルヘルム殿の結婚式。この良き日にふさわしい、素晴らしい天気であった。我々は会場の受付その他を任されていたため、朝一番で現地へ向かうこととなった。
2013-06-09 21:09:31「新婦の娘の友人」として(「新郎新婦の友人の息子」ではなく)招かれているトレイズ殿下は後ほどサイドカーで来られることになっていた。我々の目が届かないことを若干危惧したが、過日の出来事以降、不審な動きをする者は見られない。心配するようなことはないであろう。
2013-06-09 21:10:23なお今回リリアーヌ嬢にはギリギリまで真実を知らせないことになっているため、式の手順や舞台裏などは一切伝えていない。そのため、現地にもアリソン女史とは別行動で向かい、その際は殿下がサイドカーでエスコートなさる手筈になっていた。
2013-06-09 21:11:18式にはアリソン女史やヴィルヘルム殿と直接の縁がない人物も呼ばれていた。これはアリソン女史が「呼びたい人がいれば誰でも呼んじゃっていいわよ」と豪快に宣言されたためであるのだが、そこで殿下は去年の夏に知り合ったという「少年」を招待することになさった。
2013-06-09 21:12:20リリアーヌ嬢はその「少年」の正体を知らなかったらしく、それはもう派手に驚いていた。他にも、リリアーヌ嬢の友人としてメグミカ嬢が、その婚約者としてセロン氏が、そして――「どうせならメグちゃんの部活友達も呼んじゃいなさい!」というアリソン女史の豪快な言により――
2013-06-09 21:13:49彼らの所属する新聞部の生徒たちが参加者に名を連ねていた。殿下にご友人が増えるかもしれない。喜ばしいことである。これからも、これまでのように見守っていくこととしよう。 また、「村」から増援に来た者達の姿もあった。「新人」が今後どう成長していくかも、皆で見守っていこう。
2013-06-09 21:14:36その後、多少の波乱があったものの、式のほうはつつがなく終了した。リリアーヌ嬢もようやく全ての事情を知ることになり、彼女への隠し事がまた一つ消えたことで殿下も晴れやかな表情をされていた。 英雄たちに栄光あれ。
2013-06-09 21:15:23追記 式が終了した後、関係者が集められた部屋でトレイズ殿下とメリエル殿下の口げんかが始まった。このお二人の口げんかを聞くのも久しぶりである。イクストーヴァ万歳。
2013-06-09 21:15:59