薬学たんのスモン講座(?)

薬学たんが薬の日なのでスモンについて行ったツイート群をまとめたものです 一日遅れなのは内緒です
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薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

薬の日なのに特に何もできなかったので、振替休日である今日少し話そうかなと思っています……法学たんも言っていたし、薬害とかやっておきますか!(スモンについて途中でしたし)

2013-05-06 11:09:07
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

まずスモってなんだろう? と思いますよね スモンは、Subacute Myelo-optico-neuropathyの略で、日本語では亜急性脊髄視神経症といいます 薬害の一つで、神経の症状が出ます

2013-05-06 11:12:35
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

具体的にどのような症状が出るのか、といいますと まずは激しい腹痛や下痢など腹部症状、それから手足のしびれ、運動障害、悪くすると失明や、命を落とすこともあります

2013-05-06 11:14:09
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

この疾病は、「キノホルム」という整腸剤による薬害だったのですが、当時はそのことが分からず、様々な仮説が立ちました スモンが初めて登場したのは1955年ごろでしたが、騒がれだしたのは1964年頃でした この年といえば、アレがあった年ですよね……

2013-05-06 11:17:19
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

1964年といえば東京オリンピックの年です! その東京オリンピックのボートレース場付近(戸田市)でスモンが集団発生しました このことを受けて、マスコミは「戸田病」「奇病」などと報じました この時も依然として原因は分からず、様々な方が研究をしていました

2013-05-06 11:23:48
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

ビタミン欠乏症説や鉱毒説、農薬説、アレルギー説……色々な仮説が飛び交う中で注目されたのは、ウイルスによる感染症説でした

2013-05-06 11:28:45
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

感染症説の最たる根拠は、戸田ボートレース場付近の例のように、各地で集団発生が起こっていることでした 他にも、院内感染と思われるようなケースや、家族感染と思われるようなケースがありました

2013-05-06 11:31:29
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

しかし、感染症説には穴もあります 一番大きいのは、日本でしか発生していなかったというところです インフルエンザは全国に広まるのに、スモンは日本だけ……これっておかしくないですか?

2013-05-06 11:40:32
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

しかし、いくらかの研究者たちからスモン感染症説に関する発表がなされました 1963年には三重県立医大の高崎教授らが腸管ウイルス説を、1964年ごろには久留米大学の新宮助教授らが患者さんから病原ウイルスを分離したと発表しました

2013-05-06 11:56:41
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

先のような発表が相次いだこともあり、世間では「スモンは感染症」という認識がすっかり定着し、スモンを研究する学者さんは感染症の専門家ばかりになりました マスコミもこれを取り上げ始め、これに拍車をかけました

2013-05-06 12:11:17
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

1970/2/6の新聞を読みましたが、そこには「スモン病 ウイルス感染説強まる」との記事が一面トップで載っていました もちろん、このようなことを言われて一番困ったのは患者さんです 各地で破断、離婚、失業などが起こり、皆から避けられ、ひどい苦痛を味わいました

2013-05-06 12:17:59
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

1972年までに確認された患者数は11127人、その中でも500人以上が自ら命を絶ちました……いかに凄惨な出来事であったかを物語っています……

2013-05-06 12:21:53
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

もちろん、感染症説に疑問を持つ研究者もいました 彼らの手によって、スモンの正体が明かされていったのは、1970年のことでした

2013-05-06 12:40:35
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

解決の手口は、スモン患者さんに見られる緑舌、緑色尿でした 1970年にこの緑色成分の研究がなされ、東大薬学部の田村教授によって、これがキノホルムと鉄イオンが結合したもの(キレート結合したもの)であったことが判明しました

2013-05-06 12:49:20
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

しかし、この結果は些かわだかまりを残しました なぜなら、キノホルムは体内に吸収されず、そのまま排出されるとされていたからです 田村氏の発表は、この性質と矛盾しています

2013-05-06 12:50:29
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

この発表を受けて、新潟大学の椿教授がキノホルムとスモンの関係性について調査したところ、キノホルムの服用と大きく関わっていることがわかりました このことを受けて、1970年9/7に、厚生省はキノホルムの販売を中止、使用の見合わせを指示しました すると、スモン患者は激減しました

2013-05-06 12:54:05
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

これにて病気としてのスモンは終末を迎えましたが、ここから各地でスモン患者さんが国や製薬会社を相手取り、裁判を起こしました 私が見たのは9件でしたが、そのどれもが原告勝訴でした

2013-05-06 13:04:11
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

キノホルムは、もともとアメーバ赤痢に限定して使われていたお薬でしたが、戦後になって適応が下痢症状にまで拡大されました スモンの初期症状である下痢にキノホルムが投与されるのが悪循環となったのですね

2013-05-06 13:08:20
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

しかし、実はキノホルムを大量服用した際の副作用に関する文献は戦前に既に存在していたのです スモン…キノホルム薬害はなぜ起こってしまったのでしょう……

2013-05-06 13:16:48
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

そうそう、集団感染や院内感染は、あるお医者さんが下痢症状に好んでキノホルムを処方したことが原因だったんですよ ウイルスとは関係していなかったんですね 健康な方でも、ウイルスを検出できることはある……はずです

2013-05-06 13:20:28
薬たんでした@卒業済 @Yakugakutan

さて、こんなところでスモンについてのお話を終えますね! 皆さんが少しでもお薬について考えるきっかけになれれば嬉しいです 

2013-05-06 13:24:21