パブリック・クラウドとプライベート・クラウドとを区別して、クラウドを分かったように思っているが、それでいいのか? パブリック・クラウドと言われているのは、GoogleやAmazonやMSといった企業のプライベート・クラウド。それがリーチを広げて、パブリックと言われるまで成長した。
2009-09-16 16:50:57クラウド間の競争が戦われているのは、自由競争の市場において。パブリック/プライベートという線引きは、プライベート・クラウドを、この競争から守るものにはなりえない。なによりも、そこには、圧倒的な技術力の格差がある。
2009-09-16 16:56:35パブリック・クラウドが、発展したプライベート・クラウドであるなら、我らのプライベート・クラウドは、そうした発展を遂げる可能性を持っているのか? 今のままでは、その可能性はない。
2009-09-16 16:58:50クラウドを、SaaSやHaaSやIaaSに分類して、分かったように思っているが、それでいいのか? それは、現象の表面的な分析。現状をいくら整理しても、それを成立させた力を見ないと、本質は見えてこない。クラウドの成立を歴史的に、その必然性においてとらえる必要がある。
2009-09-16 17:02:42クラウドの日本でのビジネスの現状は、どうか? プライベート・クラウド重視、セキュリティ重視、標準化重視といった傾向がある。ただ、これは、クラウド・ビジネスでの遅れの反映でもある。
2009-09-16 17:06:11ビジネスは最重要な課題。どのように日本のITビジネスを発展させるのか。戦略が重要。クラウドの世界で起きている変化を過小評価したり、戦略抜きに時間稼ぎで戦術的に対応しては、ビジネス自身が危機に陥ることになる。
2009-09-16 17:07:59開発者のスキルについてはどうか? Amazon EC2,GAE,Azureをどう使うか、それは大事なこと。みんな、もっとクラウドをつかって試してみるのはいいこと。知らなければ、話にならない。
2009-09-16 17:11:20ただ、クラウドを利用するだけでは、クラウド技術の本質は見えてこない。クラウド技術の中核は、クラウドのサービス提供技術。Scale-outするシステムを作る技術が最重要。このままでは、クラウドを作る技術と、単にそれを使うだけの技術との、技術格差が広がるだけ。
2009-09-16 17:13:30クラウドの現状の認識で、最大の問題は、「どうせ、かないっこない」と思っていること。現状では、それはあたっている。皆もそうだと思っている。知れば知るほど、そう思うようになる。でも、ここで、もう一度立ち止まって考えないか? このままでいいのかと。
2009-09-16 17:17:45このまま、すすめばどうなるのか? 今、必要なことは、我々が持つ可能性を探ること。敗北主義を克服して、我々自身が、将来的にはクラウドの主体的な担い手になるのだということに、開発者の関心を向けていくこと
2009-09-16 17:19:49クラウドの歴史を振り返ってみよう。そこでは、クラウドの母胎として、インターネット・クラウドの広がりがあるという視点が大事。その中で形成された「Webスケール」という概念に注目する必要がある。
2009-09-16 17:26:20「Webスケール」は、インターネットのグローバルな展開が初めて可能にした概念で、量的には、それまでの基準と比べると桁違いに多数で、かつ、質的には、その数が絶え間なく増大しうるものである。
2009-09-16 17:26:49例えば、Googleは、世界中のネット上の情報を対象にしようとした。それは、Webスケール。eBayには、8,830万人のユーザがいて、一日に20億PVだという。Facebookには、4億人のユーザがいる。そうしたのが、Webスケール。
2009-09-16 17:29:17日本では、21世紀に入ってから、インターネットの普及とそのブロードバンド化が、急速に進んだ。今では、全世帯の9割近くが、高速のインターネットに接続している。日本でのWebスケールの成立は、最近のこと。十年前にはなかった、環境の変化がある。
2009-09-16 17:33:00Webスケールの成立には、単にインターネットが普及したことにとどまらず、ネットワークに個人が登場し始めたことが大きい。
2009-09-16 17:34:38Youtube,Flickr,Facebook,Twitterなどの新しいソーシャル・メディアは、基本的には、個人と個人が情報を共有し、あるいは、個人と個人がコミュニケーションをするという、個人と個人を結ぶPerson to Personのメディアである。
2009-09-16 17:34:53技術的には、こうした個人と個人をつなぐ機能を、中心にあるサーバが担っている。サーバ・セントリックな、Person to Personのシステム。ネットに参加する個人の数が多ければ多いほど、中心にあるサーバは巨大化する。それがクラウドの起源。
2009-09-16 17:36:57Webスケールの顧客とWebスケールのデータは、Webスケールに対応できるシステムを必要とする。何よりも、Webスケールでのビジネスが、Webスケールのシステムを必要としたのだ。それが、インターネット・クラウド。
2009-09-16 17:37:36インターネット・クラウドとは何か? それは、Webスケールの多数の消費者を対象として、彼らにインターネットを通じてサービスを提供しようとする大規模なサーバ群・データセンタ。
2009-09-16 17:39:29大規模なe-コマース・サイトや大規模なSNSサイトも、「インターネット・クラウド」に含まれることになるのだが、それは構わない
2009-09-16 17:39:52「インターネット・クラウド」は、そこから、様々なクラウドのコンセプトや新しいクラウド技術が湧き出してくる、クラウドの原基形態であり、その共通の母胎なのだ。クラウド技術は、インターネット・クラウドの中で、毎日のように再発見され、再発明されている。
2009-09-16 17:41:18「Webスケール」のシステムへの影響を考えよう。ビジネスの拡大につれて、システムの拡大というシステムの変更が日常化する。それが、Scale-out アーキテクチャを生み出す。
2009-09-16 17:42:56また、エンタープライズ・システムの中心では、3-TierモデルでのScale-outの限界が意識されるようになる。多重化を許さないデータベース層が、システム全体のボトルネックになる。現状では、CoherenceのようなCache技術が対応の中心だがKey/Value が生まれる。
2009-09-16 17:45:36より、重要なことは、単なるWebスケールに収まらない処理がうまれてくること。WebスケールのN個のデータとWebスケールのM個のデータをつき合わせる必要がある処理が生まれてくる。これに応えようとしたのが、MapReduceである。
2009-09-16 17:46:50こうしたインターネット・クラウドの課題をクリアして完成させたのが、Googleの技術である。Googleは、インターネット・クラウド技術を集大成させ、卓越した技術でそれを完成させた。それは、クラウドに関心を持つ技術者が、必ず学ぶべき原典である。
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