即興ニンジャよたばなし バトル・オブ・コンプティーク #1
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藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
ブーンブンブン。ブーンブブ。ブーンブンブン。「安い、安い、実際安い」のフレーズで御馴染み、 コケシマートのテーマである単調なベース音が潮風と重金属酸性雨に晒され、朽ちかけたスピーカーから響いていた。
2013-09-14 22:17:54
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@kunshomo_actual
スピーカー支柱と他の支柱との間にはタングステンボンボリが等間隔に吊り下げられ、 時折吹きつける海風に揺られてバチバチと火花を散らせて明滅する。 既に壊れているものも多く、その点灯はまばらだ。
2013-09-14 22:19:02
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
それに照らされる、汚れまみれのショーウィンドウの前を 等間隔で整列し、三人のクローンヤクザが威圧的に闊歩する。 彼らの手には一様に同じ角度でアサルトライフルが握られている。
2013-09-14 22:20:48
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
彼らが歩く頭上には「活気な」「リゾート」「価格粉砕骨折」などの朽ち果てた垂れ幕が下がっている。 色あせたノボリや看板が等間隔に並ぶここは、廃ショッピングモールの一角であるらしい。
2013-09-14 22:23:29
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
威圧的なダークスーツの警備ヤクザはクローンならではの統一された歩幅、スピードでしめやかに廃モールを巡回する。 厳重な警備体制だが、めったに侵入者があることは無い。何故か？
2013-09-14 22:25:57
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
この場所は電子戦争以前、ネオサイタマからやや離れた洋上に存在する、メガフロート商業娯楽施設であった。 過去には毎日定期便が出ており、訪れた観光客にリゾート気分とショッピング娯楽を提供していたが、その定期船も途絶えて久しい。
2013-09-14 22:28:56
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@kunshomo_actual
このメガフロートを所有していたのは、タダオ＆ヒロシ重工である。 タダオ＆ヒロシ重工は、かつてグラントリイ・ブリッジの建設計画に膨大な資金をつぎ込み、尽き果て、倒産した。 主要テナントの借り手であったコケシマートは早々に手を引き、誰の手にも渡らぬまま遺棄されたのだ。
2013-09-14 22:31:26
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
では何故そのような忘れられた地に武装警備ヤクザが居るのであろうか？ その理由は、この地では稀に電子戦争以前の記録情報や遺物が発掘されることによる。 物理的な隔絶、情報的な隔絶の両面が偶然にもそうした遺物をマニアックやトレジャーハンターから守ったのである。
2013-09-14 22:35:03
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
この『宝島』は長らく誰にも知られることはなかったが、ある時アマクダリ・セクトの持つ情報触手にかかったことにより、 アマクダリの下部組織からニンジャとクローンヤクザにより編成された『発掘チーム』及び『警備チーム』が派遣された。
2013-09-14 22:38:10
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
とは言え、一般商業施設である。滅多に有用な情報やテックが発掘されることはなく、侵入者も極めて稀である。 素晴らしい警備IRCシステムは毎日「異常なし」のログだけで埋め尽くされ、 デジャヴめいた様相を呈すこの地に派遣されることはすなわちニンジャにとっての実質的左遷である。
2013-09-14 22:40:14
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
「今日も異常はありませんね」「そうですね」「はやく休憩したい」機械的な会話を交わす 警備ヤクザ三人はショッピングモールエントランスを決められた速度で歩き、決められた場所に異常がないか確認する。 # KEIBI:YAKUZA_4:異常なし// 機械的なIRCログが一つ追加された。
2013-09-14 22:45:12
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
5分後。「今日も異常はありませんね」「そうですね」「はやく休憩したい」機械的な会話を交わす 警備ヤクザ三人は定期船乗り場を決められた速度で歩き、決められた場所に異常がないか確認する。 # KEIBI:YAKUZA_4:異常なし// 機械的なIRCログが一つ追加された。
2013-09-14 22:47:17
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@kunshomo_actual
5分後。「今日も異常はありませんね」「そうですね」「ちょっと待って下さい」 警備ヤクザ三人は貨物船の発着場を決められた速度で歩き、決められた場所に異常がないか確認する。 警備ヤクザのうち一人が何かに気づき、アサルトライフルで前方をさし示す。
2013-09-14 22:53:15
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
「あちらから何か音がしますね」「角の向こうです」「バイオネズミでしょうか」「見てみましょう」 油断のないフォーメーション警戒体制をとったクローンヤクザ3人は物音が聞こえてくるコンテナの向こうへと、 物音を確かめるべく進んでいく。
2013-09-14 22:56:27
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
「アッコラー！」「ダッテメッコラー！」「スッゾコラー！」恐ろしげなヤクザスラングとともに 3人のクローンヤクザは完璧に同期されたタイミングで角から飛び出し、アサルトライフルを構える！ この場にモータルが偶然居合わせていたら間違いなく失禁は免れぬであろう！
2013-09-14 23:00:07
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
しかし、ヤクザスラングユニゾンは虚空に吸い込まれ、消えていった。 コンテナの影に置かれていたのは、古びたゼンマイじかけの玩具であった。 「アッギャッギャッギャッギャ」「ギャッギャッギャッガガピー」ゼンマイ仕掛けの玩具は ひとりでに動き続けている。
2013-09-14 23:03:30
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
「なんでしょう」「妙ですね」 クローンヤクザは互いに言葉を交わし、リーダーヤクザがその見るからに不自然な 玩具をアサルトライフルの銃口で転がし、調べようとしたその時である！
2013-09-14 23:09:28
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
「イヤーッ！」カラテシャウトとともに白い影がコンテナ上からアンブッシュを仕掛ける！ 反応する間もなく鋭いチョップによりクローンヤクザの首が切断され、緑色の血をスプリンクラーのように撒き散らす！ 「チェラッコラー！」「スッゾコラー！」残るクローンヤクザ二人がかろうじて反応し、応戦！
2013-09-14 23:13:13
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
アサルトライフルのトリガーが引かれるも早く、白い影は残るヤクザの片方へとスプリントで猛進！ 「イヤーッ！」恐るべきカラテシャウトを発し、ヤクザの腹にカラテパンチを叩き込む！ 「アバーッ！」一撃で絶命したクローンヤクザはコンテナへと激突、半分埋め込まれた前衛オブジェと化す！
2013-09-14 23:16:21
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
「テメッコラー！」アサルトライフルのトリガーが引かれ、無数の弾丸が白い影へと放たれる！ しかし白い影はコンテナ壁面でパルクールをきめてこれを回避し、決断的ジャンプパンチ！ 「ナムサン！」ほぼ真上からのジャンプパンチを受けたクローンヤクザは頭を鎖骨の間に半分埋め込まれ絶命！
2013-09-14 23:20:46
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
こんなことができるのはニンジャ以外になし！倒れる前のヤクザ死体を蹴飛ばし、 荒々しいザンシンを決めたその白い影はやはりニンジャ、それもアドミラル（編注：提督）ニンジャ装束にその身を包んだ奇怪極まるニンジャだ！ 緑色のバイオ返り血がその白い装束に悪趣味なコントラストを作る。
2013-09-14 23:24:17
藻類(nsfw)
@kunshomo_actual
「やはり敵がいる。間違いない、敵の補給拠点だ」 アドミラル装束のニンジャはIRCインカムで現状を報告する。IRCインカムからは、応答の代わりにザリザリという無機質なノイズだけが流れていた。
2013-09-14 23:26:06