茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1288回「前にならえと、ラジオ体操」
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朝走っていて、ちょうど、公園のところを通りかかったら、数十人が集まっていた。あれ、っとiPhoneで時間を見たら、ちょうど6時30分過ぎだった。誰かがかけているラジオから、「きょうもげんきで運動しましょう」と声が流れている。子どもたちは、元気にブランコで遊んでいる。
2014-07-23 07:19:08熱心なのは高齢の方々で、中心にかたまって、準備万端、運動のかまえを見せている。「準備運動として、腕をぐるぐる回しましょう」と声が流れると、さすがはラジオ体操のベテランたち、何をやったらいいかわかっているらしく、迷いなく腕をくるくる回す運動を始めた。
2014-07-23 07:20:44さて、ブランコに乗っていた子どもたちは、きゃっきゃっと笑っていたが、ラジオから、「それでは、ラジオ体操第一を始めましょう〜」と声が流れ、例のピアノの戦慄が始まると、いっせいにどっとブランコから飛び降りて、集団の方にかけだし始めた。体操が始まると同時に、ちゃんと輪に加わっていた。
2014-07-23 07:22:38話は変わるが、Derek Siversの有名なTED talk, How to Start a movement ted.com/talks/derek_si… で面白いのは、集団の中の人の動き方である。緑の上で、裸踊りをしている若者がいる。やがて、彼のマネを始める人が出てくる。
2014-07-23 07:24:21運動を起こすためには、リーダーの役割に加えて、フォロワーの役割が大切だとDerekは言う。最初にフォローする人は、勇気がいる。次第にフォロワーが増えると、加わることが楽になる。やがて、加わっていないとダサイような雰囲気が生まれる。そのような運動の機微に、Derekは触れる。
2014-07-23 07:25:30それぞれの人が、自律的に動くことで、集団としてある動きが生まれる。これは、何度見ていても飽きない社会の機微である。スティーブ・ジョブスが初代マッキントッシュを発表した時、聴衆が自発的に立ち上がってやがて満場のスタンディング・オベーションになる様子は、何度見ても感動的だ。
2014-07-23 07:27:34日本の教育現場には、なぜそのようなことをやっているのかわからないのに惰性で続いていることがあるが、「前にならえ」はその最たるものだろう。集団の秩序を教えることは、ある見方をすれば必要かもしれない。しかし、それ以上でもそれ以下でもない。何よりも、「前にならえ」は思考を停止する。
2014-07-23 07:28:46小学校では、「前にならえ」の思考停止教育を受けている子どもたちも、朝のラジオ体操の現場で、ラジオ体操第一が始まる直前までブランコに乗って様子を見ていて、いざ始まるとなるとだっとかけてくるという判断力と瞬発力を持っている。未来に希望を与えるのは、そちらの方だろう。
2014-07-23 07:30:00ある集団の、様子を見る。入るかどうか、自分で決める。入るとしても、どのタイミングでどう入るか、誰と入るか、間合いを測る。このようなダイナミクスは社会に必要だ。前にならえにはなくて、朝のラジオ体操の現場にはあるもの。問題だらけの小学校教育だが、統制はほどほどにした方が良い。
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