茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1297回【ジブリが、制作部門を「小休止」:天才とチームワーク】連続ツイート

2014.8/6 茂木健一郎氏 【天才とチームワーク】連続ツイート …スタジオ・ジブリが、制作部門を「小休止」して、著作権管理などに特化する意向だと、鈴木敏夫さんの発言が報じられている。ついに、この日が来たかという思いが強い。スタジオ・ジブリは、宮崎駿、高畑勲という二人の天才による、数々の歴史に残る傑作を生み出してきた…
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1297回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、最近の思い。

2014-08-06 08:08:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

スタジオ・ジブリが、制作部門を「小休止」して、著作権管理などに特化する意向だと、鈴木敏夫さんの発言が報じられている。ついに、この日が来たかという思いが強い。スタジオ・ジブリは、宮崎駿、高畑勲という二人の天才による、数々の歴史に残る傑作を生み出してきた。

2014-08-06 08:11:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』の取材で、宮崎駿さんとお話した時のこと。すべての場面、登場人物の表情。そのラフを、宮崎さんが一人で描き上げる、その姿勢に感銘を受けた。宮崎さんの作品には、その「作家性」が、色濃くにじみ出ている。

2014-08-06 08:12:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

一人のクリエーターが、作品の最初から最後まで、細部にわたり関わり、責任を持つからこそ醸し出される作品の個性、作家性。スタジオ・ジブリが愛されてきたのは、そのユニークな、唯一無二のオンリー・ワンゆえであった。しかし、そこに、心配なこと、脆弱性もあったと言える。

2014-08-06 08:13:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

才能は、そう簡単には出現しない。天才が率いてきた組織が、その天才が現場を去った後も輝くには、一人の個性に頼ったシステムでは、限界がある。ウォルト・ディズニーという天才が去った後のディズニー社のことを考えてみればよい。どのように「接続」するか。本当に難しい。

2014-08-06 08:15:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

最近のアメリカ発のアニメ映画、ピクサーにしろ、ディズニーにせよ、その制作は「システム化」されている。脚本にも複数の人がかかわる。エンドクレジットを見ると、実に多くの人が背景、キャラクター造型、テクスチャー、3D、影、分業体制で一つの「幻想世界」を生み出している。

2014-08-06 08:17:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

アメリカ発のアニメ映画には、スタジオ・ジブリ作品が持つような、一人の作家の匂い立つような個性は存在しない。一方で、そこには一つの「集合知」がある。一人の才能に依拠しない。だから、ビジネスとして、持続可能である。作家性か、チームワークか。どちらが良い、という問題ではない。

2014-08-06 08:18:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

宮崎駿さん、高畑勲さんという天才の個性に依拠してきたスタジオ・ジブリのアニメ制作を、いったんは小休止するという鈴木敏夫さんの決断は、寂しいが、やむを得ないことなのだろう。願わくば、ジブリの持つ「遺伝子」が、特定の個人の才能に依存しない、チーム制作の体勢に接続されればと思う。

2014-08-06 08:20:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1297回「天才とチームワーク」のテーマで、7つのツイートをお届けしました。

2014-08-06 08:21:15